マンガ「キングダム 鄴攻略編(前半)」の名言・台詞をまとめていきます。
キングダム 鄴攻略編(前半)
46巻
「誰にも見えておらぬ道を探すのだ」
「必ずどこかに答えにたどり着く道の入り口がある」(昌平君)
「正気の沙汰じゃないけど面白いね」(蒙恬)
「鄴攻めの”可否”はともかく、西部攻略を”囮”にして一気に鄴を落として」
「趙王都・邯鄲に王手をかける策は恐らく、あの李牧をも欺く恐るべき一手だ」(蒙恬)
「三人を召還したのは作戦に自信がないからではなく」
「戦略上お前達三隊の動きが重要になってくるためだ」(昌平君)
「想定していない事態が必ずふりかかる」
「故にそこで重要になってくるのが、瞬間瞬間での的確な現場判断だ」(昌平君)
「鄴攻めは…これまでにない重大な戦い、かつ過酷な戦いとなる」
「だがあえてこれは中華統一への難関の一つにすぎぬと言いたい!」(嬴政)
「この先も三人の力が必要となる!」
「よいか、必ずこの戦で大功をあげ、三人そろって”将軍”へと昇格しろ!」(嬴政)
「間違っても、死ぬなよ」(嬴政)
「たしかにこの三隊は、そこらの大隊より重要なのは分かる」
「…でも、やっぱり一番重要なのは、鄴攻めの全権を担う総大将だよ」(河了貂)
「六将胡傷こそ、俺の軍略の師だ」
「その胡傷が、昔俺に言ったことがある」
「王翦は……その”軍略の才”だけで、六将の席に割り込んでこれる逸材だと」(昌平君)
「授けた鄴攻めの攻略は、戦局の流れによっては捨てていい」
「適宜、判断を将軍に任せる」(昌平君)
「(気負いがない?) 別に遅かれ早かれ」
「こういう勝負かける大戦は何度か来ると思ってたからな」(信)
「政、そんなことよりあれは!?」
「ああ、王騎将軍の矛だ」(信)
「今、改めて持ってみると…やっぱすっげェ重いし、すっげェ熱い」(信)
「敵の兵糧の量と流れをしっかり追うように」
「それで敵の意図が分かります!」(李牧)
「鄴攻めを知る中で昌文君とお前が一番力が入りすぎている」
「その不自然な緊張は下の兵にも必ず伝わる」(楊端和)
「そして、それがそのまま敵にも伝わる」(楊端和)
「いつもの戦と変わらぬ気配を装え」
「これだけの大軍、敵の間者も必ず紛れ込んでいる」(楊端和)
「相手はあの李牧だ」
「戦はすでに始まっているぞ、河了貂」(楊端和)
「雨ン中の行軍は、バカみてェに疲れるからな、体力温存しとけってことだろ」
「ま──逆に言えば…走る時はとことん走らすぞってことだ」(桓騎)
「軍の体力調整…王翦将軍の本番への助走はもう始まっているんだ…」(河了貂)
「兵糧中継地が隠すものなら決まってるだろ」
「それは──二十万の兵が何十日も食える分の兵糧だ」(舜水樹)
「フッ、”戦国”か」(王翦)
「対秦で西に軍を固めすぎれば東が手薄になる」
「それを黙って見守る程、お人好しではないぞ」(オルド)
「李牧、俺とも少しは遊ばんかい」(オルド)
「(夜営せず)すぐ発つ故、手短に話す」
「全軍この金安より進路を変え、”鄴”へと向かう」(王翦)
「各将責任を持って己の軍・隊を動かせ」
「もたつく小隊が一つでもあれば、その上に立つ者、つまりここにいる誰かの責任となり」
「容赦なくその者の首をはねる」(王翦)
「よいな」(王翦)
「……欺かれている──!?」
「二十万もの連合軍を興して、どこを攻めに向かう」(李牧)
「南へはすぐに黄河に道を阻まれる」
「そこから東へ向かっても、その先にあるのは鉄壁の王都圏──!?」(李牧)
「”鄴”か──!!」
「正気か、秦軍(お前達)は!!」(李牧)
「少しでも早く気付いてくれたおかげで、逸早く鳥を邯鄲に飛ばせました」
「その”差”が、勝敗を大きく分けるかも知れません」(李牧)
47巻
「──城の作りはともかく、まずは何より厄介なのはあの士気の高さだ」(蒙恬)
「合従軍の蕞でもそうだったように」
「守る人間の士気しだいで、城は何倍にも強くなる…」(蒙恬)
「(二日以内?) 半日で落とす」(楊端和)
「城攻めは単純だ」
「城壁を登って裏に回って内から門を開け、部隊を突入させて中を制圧する」
「それ以外に何か手があるのか?」(楊端和)
「心配無用だ」
「山の民には山の民の戦い方がある」(楊端和)
「見ていろ」
「楊端和は、いつも敵を真正面からねじ伏せる」(バジオウ)
「あんな小城が、この山界の王の刃を受け止めきれると思うか」
「あんなものでっ、山の刃をふせげると思うかっ」(楊端和)
「平地に見せつけてやれ、百の山界の戦士達よ」
「山の民の力を!」
「恐ろしさを!!」(楊端和)
「者共、血祭りだァァッ」(楊端和)
「(殺られる?) 気にするな」
「うちは大体、こんな感じだ」(楊端和)
「俺達は、ちゃんと分かって来たはずだ」
「ちゃんと……!」
「だけど、予想外のことが二つ起こった」(蒼仁)
「一つは、覚悟が少し足りてなかったこと」
「そしてもう一つは、手の震えが止まらないってことだ」(蒼仁)
「大丈夫だ。覚悟を今決めればいいし」
「俺達にとってこの距離の弓なら、多少の手の震えなど何の問題でもない」(蒼仁)
「俺達が撃てない間に、敵の矢が梯子を登る味方を一方的に殺してる」(蒼仁)
「それを止める、今は…それだけだ」
「それだけを考えて、兄ちゃんに続け」(蒼仁)
「お前らみたいなはねっ返りは、初陣で舞い上がってよくすぐ死ぬ」(崇原)
「だからこの乱戦じゃ、生き残ることだけ考えて戦え」
「生き残ったら、後で少しだけ褒めてやる」(崇原)
「何言ってんの」
「列尾はここ(落として)からが忙しいんだよ」(河了貂)
「一生に一度の初陣の夜の酒だ」
「どんな味かしっかりと味わっとけ」(松左)
「それにね、震えてこその飛信隊だよ、仁」
「その優しさと弱さは、これから強くなれる証だ」(河了貂)
「だから…この手の震えは、決して恥じるものではないよ、仁」(河了貂)
「勢いでどうにかなる戦いではない」
「不用意にこのまま王都圏に侵入して行けば、この二十万本当に全滅するぞ」(王賁)
「やっぱ若ェな、ザコ共は」
「何でそこに第四の選択肢がねェんだよ」(桓騎)
「逆にこっちからこの列尾を捨てて、全軍で王都圏に雪崩れ込み」
「兵糧が尽きる前に”鄴”をぶん捕っちまうって手だ」(桓騎)
「(鄴) 完璧だ」
「完璧な城だ、あの城は攻め落とせぬ」(王翦)
「昌平君の授けた鄴攻略の策は、この列尾で潰えた」
「よって、この連合軍は私の策をもって列尾を越える」(王翦)
「つまりここからは、この王翦と李牧の知略の戦いだ」(王翦)
「全ての兵糧を持ち、全軍で出陣だ」
「鄴を奪うぞ」(王翦)
「総大将の決定だ」
「俺達は持ち場で命をかけるだけだ」(王賁)
「別に興味はねぇが一応王翦とは、白老の下で副将やってた時からの付き合いだ」
「俺の知る限りあの野郎は、負ける戦は絶対に始めねェ」(桓騎)
48巻
「兵糧攻めを受けときながら、相手の民を使って兵糧攻めで返すのかよ…」
「やっぱお前ぶっ飛んでんな、王翦」(桓騎)
「王国を滅ぼすのは敵に非ず──と言います」
「商の紂王然り、周の厲王しかり」
「現趙王がその類に入らぬことを願うばかりです」(李牧)
「しのいでみせる」
「この暗闇をしのげば…嘉太子の時代が来た時、趙に真の光がさす……」(李牧)
「(偏りすぎ?) 閼与が”本命”だからだ」
「李牧は必ず閼与軍に入って攻めて来る!」(王翦)
「……ここからは、いよいよ力と力の勝負です」
「鄴の”陥落”か”解放”かは」
「どちらが相対す敵を討ち破るかどうかにかかることになりました!」(李牧)
「……着きましたか」
「では将校らを今すぐここへ、勝利までの作戦を伝えます」(李牧)
「(まともに来た?) だったら仕方がない、こっちも行こーか」
「……いつも通りだよ、また後で会おう」(蒙恬)
「狩り場へようこそ」(蒙恬)
「(策?) 必要ありません」
「心配せずとも楽華隊の戦い方で、きっちり麻鉱軍の”波状攻撃”につなげますよ」(蒙恬)
「最高の形を作って待っているので、そこからはしっかり頼みますよ、麻鉱将軍」
「もたついたら”主攻”の座をうちがもらいますからね」(蒙恬)
「一度、敵の視界から消えようか」
「次の一手で大将・紀彗の首を取る」(蒙恬)
「(俺を幕僚に?) 笑えないな」
「俺を入れるくらいなら…その前に入れるべき男がいるのではありませんか?」
「王翦将軍」(蒙恬)
「誰の練った策だ」
「愚策だ、今から練り直すぞ」(王賁)
「奴らはこの一国を滅ぼすつもりで来ている……」(馬南慈)
「道を踏み外す程に思い上がった愚か者共に」
「実はずっとこの馬南慈の怒りの鉄槌を喰らわしたく思っておったのですよ」(馬南慈)
「(馬南慈?) 知らぬ名だな、それに覚えるまでもない」
「この玉鳳隊・王賁が一撃で貴様の眉間に風穴をあけてやる」(王賁)
「名を知らぬか。まァ、そうであろうな」
「それに本物の修羅場では、飾られた名など何の意味も持たぬ」(馬南慈)
「互いの思いの折り合いがつかぬから、”力”で是非を決するこの戦場がある」(王賁)
「来い、馬南慈」
「秦王の刃として、貴様をここに沈めてやる」(王賁)
49巻
「この趙峩龍軍の出陣は敵がもっと弱ってからだ」
「十分に弱ってから食しに行く」(趙峩龍)
「隊内で足の速い八百騎を選りすぐって、今すぐ出陣せよ」
「左の戦場へ割って入り…お前が趙将・紀彗の首を取って来い!」(王翦)
「この戦いで勝つにしても奴らを深く引き込んで」
「一人残らず息の根を止めたいと思っている」(舜水樹)
「そのまさかだ…”橑陽の牙”で、あの秦軍の肉を引き裂く」(舜水樹)
「敵が退がる理由として考えられるのは二つだ」
「一つは、この先に趙軍に有利な戦場があるのか」
「もう一つは、強力な援軍が待っているかだ」(楊端和)
「この城には…橑陽城には、趙人とは異なる人種の人間が巣くっているのだ」(舜水樹)
「”犬戎”だ」
「かつて中華の周王朝をその手で滅ぼした、大犬戎族の末裔が城を占拠している」(舜水樹)
「分かっている」
「我らと同じく──連中からも獣の気配がする」(楊端和)
「(山民族?) 存じておる、我らこそ西戎の祖だ」
「”山の王”などとのぼせあがった小娘の生皮を、この手で全てはぎとってくれるわ」(ロゾ)
「我らがここで勝ち、向こうの戦場でも李牧様が勝つ──」
「それで秦は終わりだ」(舜水樹)
「テン、旗を掲げさせろ」
「この数で突っ込んで紀彗が気付かねェはずがねェ」
「だったら堂々とっ…てか、飛信隊の力を知らしめる」(信)
「そしてっ…俺はこの戦いで”将軍”になる!」(信)
「(本命は飛信隊?) 我が殿の策は、そう浅いものではない」
「戦は”流れ”だ」(麻鉱)
「どれでも本命になりうる流れ」
「これが敵にとって最も恐ろしい戦局よ」(麻鉱)
「無論、左(ここ)の主役はあくまで、この麻鉱であるがな」(麻鉱)
「今のこの形を崩すわけにはいかぬ!」
「窮地にあるのは…我々だけではない」(紀彗)
「目を光らせているのは、王翦だけではない…」
「”必殺”の別働隊を用いるのは…王翦だけではない!!」(紀彗)
「この戦いは、両翼の戦いと言っても過言ではありません」(李牧)
「その左右の戦いで相手に”隙”があれば」
「私が介入するということだけ頭に入れておけば十分です」(李牧)
「私がそういう手を使うと知らない相手には、必ず成功します」(李牧)
「この初日で必ず、決して覆らぬ程大局をこちらに傾ける決定打を私が打ち込みます」(李牧)
「(殺る?) 無用です」
「(馬の)脚で引き離せばいいだけの話です」(李牧)
「諸事情があったとしても、いずれの時もあなたの刃は私に届きませんでした」
「そして今も」(李牧)
「結局最後まで、あなたの刃が私に届くことはありませんよ」(李牧)
「李牧、よく目に焼きつけとけ」
「これがお前の策で討たれた王騎将軍の矛!!」(信)
「最後の六大将軍・王騎から俺が受け継いだ矛だ!!」
「これでお前を討つ!!」(信)
「李牧が自ら麻鉱を討ったんだ。あの流れは、もう止められない…」(河了貂)
「いや止めないと、この戦そのものが負けてしまう」(蒙恬)
「本当にここで会えて嬉しいよ、信」
「俺達で麻鉱軍を復活させるんだ」(蒙恬)
「失われた士気の回復」
「全てはそこにかかっている」(蒙恬)
「次の言葉で、麻鉱兵を復活させるんだ」
「麻鉱と共に練兵に明け暮れた日々の中で、麻鉱があんたらに一番多くかけた言葉だ」
「それを皆に伝えてもらいたい」(蒙恬)
「立って、戦え」(麻鉱)
「士気が戻っても、正しい軍略の下で兵を動かさねば意味はない」
「日没まで麻鉱軍が生きていられるかは、その”軍略”にかかっている」(蒙恬)
「躊躇も失敗も許されない」
「これからが本陣の本当の戦いだ」(蒙恬)
「蒙恬……あの昌平君(先生)ですら、その才能の底が見えなかったと言われた男」(河了貂)
「私に話しかけるな」
「今は、機嫌が悪い」(楊端和)
「誰が死のうが、あの人にとっては駒の一つを失ったにすぎぬ」(王賁)
「下手な感傷を一切持たぬという強み」
「何が起ころうとその中で冷静に策を組み重ねて、勝つために戦略を練り上げていく」(王賁)
「それが王翦だ、そう簡単に崩れはせぬ!」(王賁)
「若いが蒙恬は、私と李牧の間に割って入る程、戦が見えておる」(王翦)
「それに左ではない」
「明日以降火がつくのは、右翼だ!」(王翦)
「初日に左翼の将・麻鉱が死んだ」
「二日目は右翼で一人死ぬという流れだ」(趙峩龍)
「優秀な将を討つには策を積み重ねて追い込み、終盤に討つ方法と」
「初日に相手慣れする前に仕掛けて討ち取る方法がある」(趙峩龍)
「(二日目?) 私に対しては初日だ」(趙峩龍)
「数も質も完璧なる挟撃」
「勘の鋭いお前なら分かるであろう、王賁」
「助かる術(すべ)は一つもない」(趙峩龍)
「間違いなく、一つもだ」(趙峩龍)
50巻
「逃げ場など必要ない」
「俺達は攻めに行っているのだ」(王賁)
「王賁。六将とかの類の大将軍ってのは、どんな戦局どんな戦況にあっても常に」
「主人公である自分が絶対に戦の中心にいて」
「全部をぶん回すっていう自分勝手な景色を見てたんだと思うよ」(蒙恬)
「(真逆の作戦?) 仕方なかろう、今よい案を思いついたのだ」
「敵味方全てを掌で転がして勝つ、それが大将軍というものだ」(藺相如)
「中央軍の…大将・王翦の最終決戦のために、ひたすら血を流し敵を屠り続けるぞ」
「よいな、玉鳳ォ!!」(王賁)
「相手のことより、まずは己だ」
「見えざる敵を相手に練兵はしてきたが、実戦は久しぶりだ」
「それこそ本気の戦いとなると十数年ぶり」(尭雲)
「気付いておるか、峩龍」
「この地こそ、偉大なる主が最後に我らに予言された朱海平原だ」(尭雲)
「夢を…見た…お前達二人が…」
「朱き地に勇ましく立ち、大いに敵を屠っておったわ」(藺相如)
「二人には、まだ…役割が残っている」
「故に、絶対に俺を追ってはならん」
「よいな」(藺相如)
「尭雲。その時は…朱き平原を…敵の血でさらに深き朱に染めてやれ……」(藺相如)
「危ういな……」
「尭雲に趙峩龍…王都圏にまで来れば、寝ていた虎も目を覚ますか…」(王翦)
「(矛に熱が?) 当然だ……」
「主を失ってなお生き長らえたこの年月が無意味でなかったと、今知った」(趙峩龍)
「燃え上がらぬはずがない」
「なァ、そうであろう、尭雲」(趙峩龍)
「お前は全っ然嬉しくねーだろうが」
「助けに来てやったぜ、王賁」(信)
「力業(わざ)はあの二人の本流に任せる」
「私達は周りを援護するぞ」(羌瘣)
「あの二人は嫌な臭いだ」
「玉鳳隊・王賁と飛信隊・信……」(尭雲)
「二人はかつて列国に禍(わざわい)をなした」
「あの六人と同じ臭いをすでに発している……」(尭雲)
「俺はあの二人を討ちに行く」
「化ける前にここで沈めておく」(尭雲)
「蒙恬の覚醒で左は膠着する」
「つまり右翼で勝ち、全体の勝利に繋げねばならぬ」(王翦)
「想定より早いが…飛信隊(お前達)の主戦場もこれで確定した」
「行け、飛信隊。いよいよお前達の本戦だ」(王翦)
「(援軍?) 待て、テン」
「直感だが、その”揺らぎ”が起きるのを、あの敵は待ってる気がする」(信)
「それに、この飛信隊はそんなに”ヤワ”じゃねェ」(信)
「まさか飛信隊(うち)の歩兵団に突入して来て」
「生きて帰れるなんて思ってないよなァ」(崇原)
「かっての”英雄”だ。強ェのは、見ただけで十分分かるが…」
「奴をぶっ倒して、俺達が今の”英雄”になる!」(信)
「この大戦はきっと永く語り継がれる」
「史に名を刻みなよ、信」(河了貂)
「小隊・中隊同士の力が拮抗しているなら、勝敗を決めるのは──」
「用兵術、つまり戦術の差だ」(羌瘣)
「ダメだ…さっきから何をやっても裏目に出る」
「オレの意図が全て見透かされてるみたいに…」(河了貂)
「なのにオレは相手の考えが全く読めてない…」
「読めないから受けきれず、隊がやられていく…」(河了貂)
「何で読めない」
「相手は基礎戦術から変化をつけてくるだけなのに…」
「その変化が全く読めない……」(河了貂)
「一体何なんだ、この敵は……」(河了貂)
「(通じぬ?) いや、優秀な軍師であるからこそはまるのだ」(趙峩龍)
「奴も私も大軍師・藺相如の弟子」
「最上級の戦術までしっかり叩き込まれている」(趙峩龍)
「だが尭雲の強さは、それとは別の所にあるのだ」(趙峩龍)
「(敵の考え?) ああ、分かる」
「ただの”直感”だ」(信)
「これまでと気配が違っている、指揮官が代わったか」
「しかも”同型”か」(尭雲)
「面白い…どこまでついて来れるか見物だ……」(尭雲)
「……俺に見えたってことは、向こうにも見えたってことだ」
「なァ、そうだろう? 尭雲!!」(信)
「”怪鳥”王騎の矛だ」
「半信半疑だった故一刀試したが、どうやら本物の王騎の矛のようだ」(尭雲)
「いきなりその矛に出くわすとは、これも我が主の誘(いざな)いか」
「俺はかつてその矛を叩き折るために戦っていた」(尭雲)
「いや…その矛だけではない」
「秦六将全員の首を飛ばすために戦っていた」(尭雲)
「秦の人間共よ」
「今のお前達はある”幸運”の上に立っているに過ぎぬことを知っているか?」(尭雲)
「”寿命”だ」
「我が主・藺相如が短命でなかったならば、中華の歴史は…」
「ことさら秦の歴史は大きく変わっていた」(尭雲)
「藺相如さえ永くご健在であれば」
「廉頗との両輪で貴様ら六将など、全員地の底に沈めていた」(尭雲)
「死んだ奴が生きてたらこうなってたなんてのは、戦場じゃ下らねェ寝言だ」(信)
「大昔に死んだ主人の影にしがみついていてェなら」
「ンなとこに出て来ねェで家ン中でそのまま朽ち果てとけ」(信)
「俺も無様に朽ちると思っていた…だがそうもいかなくなった」
「なぜなら、お前達が”約束の地”に来てしまったからだ」(尭雲)
「止まっていた俺の刻(とき)が動き出したのだ…」(尭雲)
「その程度で我が主を侮辱したのか、飛信隊・信」
「矛の嘆きが聞こえるようだ」(尭雲)
「その矛は多くのものを宿す、正に名刀」
「だがお前は違う、ただの”勘違い”だ」(尭雲)
「幸運なる秦人が、さらに幸運を重ねただけの人間」
「お前は運よく王騎の死に居合わせ、ただ矛をもらっただけ」(尭雲)
「ただ運がよかっただけの男だ」(尭雲)
「もらっただけだと…!?」
「あ……あれが……ただもらっただけだと!?」
「ふざけるなっ!!」(信)
51巻
「言ってみろ、尭雲」
「この矛のどこに、そんな軽さがある!!」(信)
「強いな、飛信隊・信」
「少し安心したぞ」
「どうやら貴様は、その矛を手にとる資格はあるようだ」(尭雲)
「(当たり前?) 当たり前のようで当たり前ではない」
「単純な武の話ではなく、重要なのは貴様が”人の強さ”が何かを知っていることだ」(尭雲)
「……自覚はなさそうだがな」
「まァいい、どうせ貴様はここで死ぬ」(尭雲)
「横でおきた”大炎”は貴様らを余さず焼き尽くす」
「そして貴様は俺に討たれ、飛信隊の光はこの朱海平原の野に消える!」(尭雲)
「飲み込まれる前に”策”を使うぞ」
「(一瞬でやられる?) それは分かっている」
「でも何かやらないとこのままじゃ必ず負ける」(羌瘣)
「(一網打尽されるのはこっち?) だが何か行動に出ないとふつうに負ける」
「だったら、歩兵の”最大火力”を集めて勝負に出た方がまだ光がある、と思う」(羌瘣)
「共に戦って勝利を摑むぞ!」(羌瘣)
「(羌瘣はもっと強い?) 当たり前だ」
「あいつが本気出せば、もう…人じゃない」(尾平)
「分かってるよ、緑穂」
「わざと早めに休んでこまめに呼吸を戻してるんだ」(羌瘣)
「そっちの方がより長く戦える」
「つまり、より多くの敵を斬れる」(羌瘣)
「一人でも多く私が敵を倒さないと、この乱戦は勝てない!」(羌瘣)
「(嫌な報告?) 情けなくも”勘”が鈍っておるのか…それとも…」
「我が矛も復帰戦で力半分というところだ」(尭雲)
「朱海平原が開戦してまだ三日だけど、緑穂が日に日に緊張を増していく」
「きっと……この戦いは…私達が死力を尽くしきらないと勝てないんだと思う」(羌瘣)
「(五千将如き?) 侮るな」
「あの”六将”達も、かつては五千将であり、三千将であり、百将であった」(尭雲)
「我ら二人は、秦の暴威をくじかんとあの時代に放たれた必殺の矢だ」(尭雲)
「だが、俺も趙峩龍も単なる刃の一つ」
「この戦いを勝利に導くのは無論、歴代最強の三大天・李牧様だ」(尭雲)
「今さらうろたえるな!」(嬴政)
「これまでで最も難しい戦だと分かってしかけたのだ」
「故にあらゆる苦境をはね返す人選も準備もしっかりして送り出した」(嬴政)
「あとは戦場にいる者達を信じるだけだ!!」(嬴政)
「よく見とけ、平地のバカ共」
「飢えが進むとこうやって戦どころじゃなくなるんだからな」(キタリ)
「難しいのは重々承知!」
「故に明日からは大いなる”犠牲”…我らの身を切る作戦で挑む必要がある」(楊端和)
「(どうして?) 今さらそれを聞くのか、壁」
「とうの昔に、お前を戦友(とも)と思っていたが」(楊端和)
「……端和殿」
「ならば我が軍も等しく命を…いや当然それ以上に命を捧げて明日戦いまする」(壁)
「ゆっ、故に、大将・楊端和様どうかっ…どうか私に挽回の機をお与え下さいっ」(壁)
「明日三軍の一角を、どうか私の軍にお任せ頂きたい!!」
「この壁もう決して、あなたを失望させることは致しませぬ!!」(壁)
「兵糧の切れかかってきた敵は、まずはこちらの三将を狙ってくる」
「猿共の考えることなどお見通しだ!」(舜水樹)
「(入れ換わる?) 心遣い感謝する。しかし無用な申し出だ、カタリ殿」
「この壁、端和殿と約束したのだ、男を見せると!!」(壁)
「大丈夫だ!」
「この八日でさすがに敵には慣れた、ならば次は我らの力が発揮される!」
「ああ、”基本戦術”だ」(壁)
「私同様に、我が軍には派手さはない」
「だが、あらゆる基本戦術は何百回と繰り返した」(壁)
「修復と防衛、我々はどの軍よりも素早く的確に実行する」
「数にものいわせる騎馬の突撃など、繰り返し何度でも返り討つ」(壁)
「はまれば崩れぬ”基本戦術”ほどやっかいなものはないぞ、犬戎軍よ!」(壁)
「久しぶりだな」
「この後の無い感じは……」(楊端和)
「(さっさと退散?) ……ああ、本気(マジ)でそう(兵糧切れに)なったならな」(桓騎)
「一手で趙左翼は討てぬ」
「理由は向こうには討ち取れば勝ちとなる大将がいないからだ」(王賁)
「だが上下がない故の弱みもある」
「上から総監する者がいない故、”各個撃破”されやすいという点だ」(王賁)
「いくらでも攻めてくるがいい、趙三将」
「王翦様より授かったこの防陣、貴様ら如きに破られるわけがない」(亜光)
52巻
「この右翼において亜光将軍の代わりはきかぬ」
「玉鳳本隊は左に反転、亜光将軍の救出に行くぞ!」(王賁)
「岳嬰には飛信隊・信が迫っている」
「岳嬰の首は信(あいつ)に託す」(王賁)
「岳嬰を討てど亜光が討たれ、その首をさらされては右翼は終わる」
「何としてもそれだけは避けねばならん」(王賁)
「亜光…生還を期待するが、もし無理であっても」
「せめて骸(むくろ)だけは必ず連れ帰るぞ…」(王賁)
「キタリ殿を置いて逃げるわけがないだろうが」
「先に助けてくれたのはキタリ殿達だ」(壁)
「何度も何度も我々は助けてもらってばかりでっ…」
「今度は我々が体を張ってキタリ殿だけでもっ…」(壁)
「お前達を絶望の淵に追いやるのは、犬戎王の軍だけじゃない」
「忘れてはおるまいな」(舜水樹)
「私が族長で本当にいいのか!?」
「ならば新族長キタリの言葉として全員に伝えろ」
「今この時よりカタリの仇を討つまで、一切の涙を禁ずる」(キタリ)
「顔を上げろ、山界の雄達よ」
「この戦いは盟友・秦国の夢と存亡をかけた戦いだ」
「我らがしくじるわけにはいかない」(楊端和)
「これまでの山界の力の結集は、この戦いのためであったと思い最後まで戦え」
「明日の太陽は、我らの勝利を祝う太陽だ」(楊端和)
「(降伏?) まだそうはいかない」
「お前達が私の居場所を知らせるために笛を吹きまくってるせいで、駆けつけてしまったぞ」
「最強の戦士がな」(楊端和)
「ずっと綱渡りみたいなものだ」
「梟鳴族もメラ族も強かった…」(楊端和)
「だが今まで戦った中で一人の戦士として一番手強いと感じたのは」
「バジオウお前だった」(楊端和)
「いいか」
「お前がこのまま獣でいる気なら、今この場でお前を殺す」(楊端和)
「だがそうじゃなく人に戻るのなら、今からお前を私の家族に迎え入れる」(楊端和)
53巻
「(厄介な軍?) 笑わせるな」
「雑魚が何人湧こうが、このロゾの相手ではないわ」(ロゾ)
「私がカタリの仇ブネンを討ち、楊端和を助ける」
「壁将軍、お前は…犬戎王ロゾの首を取りに行け!!」(キタリ)
「壁将軍。お前は戦いもパッとしない上に、兵糧も焼かれた最低の男だ」
「だがここで敵の大将ロゾの首を取れば、全部帳消しにしてやる」(キタリ)
「楊端和に…我々の将軍・壁が男であることを見せてみろ!!」(キタリ)
「カタリは私の十倍速かった」
「カタリは私の百倍強かった」
「なのにお前なんかに…お前なんかにッ…」
「死んで詫びやがれ、クソヤロォ」(キタリ)
「(覚えてない?) それだけ必死だったということだ」
「男をみせたな、壁。本当によくやった」(楊端和)
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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