「銀河英雄伝説(2期)」の名言・台詞まとめ

原作小説「銀河英雄伝説(アニメ2期前編相当)」の名言・台詞をまとめていきます。

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銀河英雄伝説3巻

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第一章 初陣

「抵抗できない部下をなぐるような男が、軍人として賞賛に値するというなら」
「軍人とは人類の恥部そのものだな」(ヤン・ウェンリー)

 

「そんな軍人は必要ない」
「すくなくとも、私にはね」(ヤン)

 

「なぜトリグラフを旗艦になさらなかったのですか?」
「あれは旗艦にふさわしい風格を持っていると思うのですが…」(ムライ)

 

「たしかにトリグラフはみばえのいい艦だ」
「だからこそ旗艦にしなかったのさ」(ヤン)

 

「自分がそれに乗ったら、その美しさを観賞するわけにいかないじゃないか…」(ヤン)

 

「まったく、何てことだ」
「おれはボーイスカウトを指揮して敵と戦わねばならんのか」(ダスティ・アッテンボロー)

 

「彼ら(新兵)にも戦ってもらう。特等席で戦争ゲームを見物させてやる余裕はない」
「出動させろ」(アッテンボロー)

 

新兵たちのうち幾人が、イゼルローン要塞内の宿舎のベッドに帰ることができるだろう。
せめて救援が来るまで、被害を最小限にくいとめるしかない。(アッテンボロー)

 

「勝つ」ことより「負けない」ことを方針として採用する。(アッテンボロー)

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「安全だと思ったから送り出したんだがなあ…」(ヤン)
「きっと無事に還ってきますわ。才能も運も豊かな子ですから」(フレデリカ・グリーンヒル)

 

「一度も死んだことのない奴が、死についてえらそうに語るのを信用するのかい?」(ヤン)

 

「増援なさるのであれば、緊急に」
「しかも最大限の兵力をもってなさるがよろしいと小官は考えます」(ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ)

 

「…それによって敵に反撃不可能な一撃を加え、味方を収容して」
「すみやかに撤収するのです」(メルカッツ)

 

「兵力の逐次投入は、この際、かえって収拾の機会を減少させ」
「なしくずしに戦火の拡大をまねくだろう」(ヤン)

 

「全艦隊をもって急行し、敵の増援が来る前に一戦して撤退する」(ヤン)

 

「ユリシーズの武運にあやかりたいものだな」
「みんな、かっこうが悪くてもいい、生き残れよ!」(アッテンボロー)

 

「敵は戦意を喪失して逃走にうつっております。追撃しますか?」(フレデリカ)
「いいさ、逃してやろう」(ヤン)

 

「こいつはおどろいた。天禀というやつだな」
「おれの初陣だってこんなにはでじゃなかった」(ワルター・フォン・シェーンコップ)

 

「この将来、どれほど伸びるか、末おそろしい気さえする…」(シェーンコップ)
「なに、単に一生分の好運をまとめて費いはたしただけだろう」(ヤン)

 

「これで戦いを甘く見るようになったら、かえって本人のためにならない」
「真の器量が問われるのはこれからだ」(ヤン)

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第二章 はばたく禿鷹(ガイエ)

「百戦して百勝というわけにもいくまい」
「いちいち陳謝は無用である」(ラインハルト・フォン・ローエングラム)

 

「体制に対する民衆の信頼をえるには、ふたつのものがあればよい」
公平な裁判と、同じく公平な税制度。ただそれだけだ」(ラインハルト)

 

「いいか、ミッターマイヤー、よく聞け」
「お前は結婚なんかしたがな、女という生物は男を裏切るために生を享けたんだぞ」(オスカー・フォン・ロイエンタール)

 

「昨日は酒の勢いでつまらんことを言った」
「忘れてくれ」(ロイエンタール)

 

「何のことだ、まるで憶えてない」(ウォルフガング・ミッターマイヤー)
「…ふん、そうか、それならいい」(ロイエンタール)

 

「滅びるべき男だったのだ」
「ことさら、おれが滅ぼしたのではない」(ラインハルト)

 

「ふむ、私の犬に見えるか」
「そうか、私の犬に見えるのか」(パウル・フォン・オーベルシュタイン)

 

「ふん、われらが参謀長どのは、人間には嫌われても犬には好かれるわけか」
「犬どうし気が合うのだろう」(フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト)

 

「ビッテンフェルトはたしかに強い」
「おれと奴が戦場で相まみえるとしたら、戦いが始まったとき、優勢なのは奴だろう」(ロイエンタール)

 

「だが、戦いが終わったとき、立っているのはおれさ」(ロイエンタール)

 

簒奪が世襲より悪いなどと、誰が定めたのか。(ラインハルト)

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第三章 細い一本の糸

「あいつ(ヤン)は首から下は非必要な男だ」(アレックス・キャゼルヌ)

 

「傷ついてるんです」
「独身の間はお兄ちゃまと呼ばれたい、と思っているんですがね」(ヤン)

 

「とんだ贅沢だ」
「30歳を過ぎて独身だなんて、許しがたい反社会的行為だと思わんか」(キャゼルヌ)

 

「生涯、独身で社会に貢献した人物はいくらでもいますよ」
「4、500人リストアップしてみましょうか」(ヤン)

 

「おれは、家庭を持った上に社会に貢献した人間を、もっと多く知っているよ」(キャゼルヌ)

 

「…ヤン、お前さんは組織人としては保身に無関心すぎる」
「そいつはこの際、美点ではなくて欠点だぞ」(キャゼルヌ)

 

「ですが、ただでさえ忙しいんですよ。そんなことまで考えていたら…」
「昼寝をする暇もなくなってしまう」(ヤン)

 

「暇のあるなしじゃないだろう」
「お前さんは、嫌なんだ」(キャゼルヌ)

 

「それについて考える必要を充分に承知しているくせに、考えたくない」
「と、そういうことだろう」(キャゼルヌ)

 

「それほど潔癖な人間じゃありませんよ、私は」
「めんどうくさいんです。ほんとうに、ただそれだけです」(ヤン)

 

「おれがこんなことを言うのもな」
「われらが敬愛する元首、トリューニヒト閣下のことが気になるからだ」(キャゼルヌ)

 

「奴には理想も経綸もないが、打算と陰謀は充分にあるだろう」
「笑ってくれてかまわんが、じつのところ、最近、おれは奴が少々こわいのだ」(キャゼルヌ)

 

「詭弁と美辞麗句だけが売り物の二流の政治屋だと思っていたが」
「このごろ何やら妖怪じみたものを感じる」(キャゼルヌ)

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「とんでもないことを平気でやらかすのじゃないか、と、その危惧が強まる一方さ」
「何と言うか、そう、悪魔と契約を結びでもしたような印象だ」(キャゼルヌ)

 

「志を継ぐのは、べつに血を分けた息子である必要はないでしょう…」
「志があれば、の話ですがね」(ヤン)

 

「お前さんの保護者は昨日のことはよく知っている」
「明日のこともよく見える」(キャゼルヌ)

 

「ところが、そういう人間はえてして今日の食事のことはよく知らない」
「わかるな?」(キャゼルヌ)

 

「まあ、そう心配しないでください」
「私だって何も考えていないわけじゃありません」(ヤン)

 

「ミスター・トリューニヒトのおもちゃになるのはごめんですし」
「安定した老後を迎えたいですからね」(ヤン)

 

「ローエングラム公にしてもオーベルシュタインにしても」
「全知全能というわけではありません」(アドリアン・ルビンスキー)

 

「乗じる隙はありますし、なければつくることもできるでしょう」(ルビンスキー)

 

「権力にしろ機能にしろ、集中すればするほど」
「小さな部分を制することによって全体を支配することができますからな」(ルビンスキー)

 

「同盟の権力者たちは」
「同盟それ自体を内部から崩壊させる腐食剤として使えます」(ルビンスキー)

 

「およそ、国内が強固であるのに」
「外敵の攻撃のみで滅亡した国家というものはありませんからな」(ルビンスキー)

 

「まったくだ」
「狂信的な教条主義者というやつは冬眠からさめたばかりの熊よりあつかいにくい」(ルビンスキー)

 

「現在は無意味に見えても、後になって使途のでてくる駒があるものだ」
「預金にしても債権にしても、長期になるほど利率がよいだろう?」(ルビンスキー)

 

「石油が地層に形成されてから、ものの役に立つようになるまで何億年もかかる」(ルビンスキー)

 

「それに比べれば、人間は、いくら晩成でも、半世紀もたてば結果が出るものだ」
「あせることはない」(ルビンスキー)

 

「人間の心理と行動はチェスの駒よりはるかに複雑だ」
「それを自分の思いどおりにするには、より単純化させればよい」(ルビンスキー)

 

「相手をある状況に追いこみ、行動の自由をうばい、選択肢をすくなくするのだ」(ルビンスキー)

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第四章 失われたもの

「そうです。これがフェザーンのやりかたです」
「必要とあらば権道を用います」(ルパート・ケッセルリンク)

 

「軽蔑なさってけっこう」
「ただし、勝者に対する敗者の軽蔑ほどむなしいものは世にすくないと私は思いますがね」(ケッセルリンク)

 

「勝っている間は、そう思えるでしょうな」(レオポルド・シューマッハ)

 

武力とは政治的・外交的敗北をつぐなう最後の手段であり、
発動しないところにこそ価値があるのだ。(ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ、通称:ヒルダ)

 

「(要塞のワープは)成功してほしいものですわね」
「失敗すれば、あたら有能な提督を失うことになります」(ヒルダ)

 

「それで死ぬとしたら、ケンプもそれまでの男だ」
「永らえたところで、たいして役にたつまい」(ラインハルト)

 

「あくまで茶飲み話です」
「そんな目をなさるとこわいですわ」(ヒルダ)

 

「国家、組織、団体──どう言ってもよいのですけど」
「人間の集団が結束するのに、どうしても必要なものがあります」(ヒルダ)

 

「敵ですわ」(ヒルダ)

 

「心配ない、フロイライン。私も幼児殺害者になるのはいやだ」
「皇帝は殺さぬ」(ラインハルト)

 

「あなたが言ったように、私には敵が必要だ」
「そして私としては、敵より寛大で、なるべく正しくありたいと思っているのだから…」(ラインハルト)

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「(ワープは)必ず成功させてごらんにいれます」(カール・グスタフ・ケンプ)

 

「父さんはな、これから遠くの宇宙まで悪い奴を退治しに行くのだ」
「ふたりとも男の子だ。母さんを守って、いい子でいるんだぞ」(ケンプ)

 

「あたりまえだ、帰ってくるさ」
「おれがいままで戦場に出て帰ってこなかったことがあるか」(ケンプ)

 

「たとえ、戦術上の新理論を発見したからといって、出兵を主張するなど」
「本末転倒もはなはだしい」(ミッターマイヤー)

 

「主君に無名の師をすすめるなど、臣下として恥ずべきことではないか」(ミッターマイヤー)

 

「自由惑星同盟はいずれ滅ぼさねばならないが、今度の出兵は無益で無用のものだ」
「いたずらに兵を動かし、武力に驕るのは、国家として健康なありようじゃない」(ミッターマイヤー)

 

「ジークフリード・キルヒアイスが生きていれば」
「きっとローエングラム公をお諌めしただろうな」(ミッターマイヤー)

 

「どう思う、金髪の孺子とやらを?」(ミッターマイヤー)
「昔からよく言う──虎の児と猫を見誤るなかれ、とな」(ロイエンタール)

 

「あれは多分、虎のほうだろう」
「皇帝の寵妃の弟だからといって、わざと負けてやる義理は敵にはないからな」(ロイエンタール)

 

「巨大な象を一頭殺すのと、一万匹のねずみを殺しつくすのと、どちらが困難か」
「後者に決まっている」(ロイエンタール)

 

「集団戦の意義も知らぬ低能に、何ができるものか」(ロイエンタール)

 

「失うべからざるものを失った後、人は変わらざるをえんのだろうよ」(ロイエンタール)

 

「ただし(劇的なのは)、あくまで成功すれば、の話だがな」(ロイエンタール)

 

「ガイエスブルクに行ってみる」
「しばらくひとりになりたい。誰もはいってきてはならん」(ラインハルト)

 

お前は誓いを守った。
だから、おれもお前に対する誓いを守る。(ラインハルト)

 

どんなことをしてでも、宇宙を手に入れる。
そして姉上を迎えに行く。(ラインハルト)

 

だが、おれは寒いのだ、キルヒアイス。
お前と姉上がいない世界には、温かい光が欠けている。(ラインハルト)

 

時のページを逆にめくって、12年前のあのころにもどれたら、
そしてもう一度やりなおすことができたら。(ラインハルト)

 

おれにとって世界はもうすこし明るく温かいものでありうるのだろうが…。(ラインハルト)

 

「現在の同盟の権力者どもにふさわしいやりかただな」(ルビンスキー)

 

「口に民主主義をとなえながら、事実上、法律や規則を無視し、空洞化させてゆく」
「姑息で、しかも危険なやりかただ」(ルビンスキー)

 

「権力者自らが法を尊重しないのだから、社会全体の規範がゆるむ」
「末期症状だ」(ルビンスキー)

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第五章 査問会

「軍法会議はともかく、査問会などというものは」
「同盟憲章にも、同盟軍基本法にも規定がありません」(フレデリカ)

 

「超法規的存在ってやつかな」(ヤン)
「つまり恣意的なもので、法的根拠を持たないということですわ」(フレデリカ)

 

「とは言っても、国防委員長が私に出頭命令を出すこと自体は」
「りっぱに法的根拠を持つからな」(ヤン)

 

「虚栄と背徳の都へ、赴かざるをえないらしいよ」(ヤン)

 

「警護隊をつれておいでになりますか? 私が指揮をとりますが…」
「(ひとりなら)知勇兼備の私でいかがです」(シェーンコップ)

 

「(マシュンゴなら)首都に残っている柔弱な連中なら」
「片手で一個小隊はかたづけるでしょうよ」(シェーンコップ)

 

「私なら一個中隊ですな」(シェーンコップ)

 

何十年かに一度出るかどうかという偉人に変革をゆだねること自体、
民主政治の原則に反する。(ヤン)

 

英雄や偉人が存在する必要をなくすための制度が民主共和制であるのだが、
いつ理想は現実に対して勝者となれるのだろうか。(ヤン)

 

「将兵の生命より無人の衛星が惜しいとおっしゃるなら」
「私の判断は誤っていたことになりますが…」(ヤン)

 

「それが非難に値するということであれば、甘んじてお受けしますが」
「それにはより完成度の高い代案を示していただかないことには」(ヤン)

 

「私自身はともかく、生命がけで戦った部下たちが納得しないでしょう」(ヤン)

 

「あれは私には珍しく見識のある発言だったと思います」(ヤン)

 

「国家が細胞分裂して個人になるのではなく」
「主体的な意志を持った個人が集まって国家を構成するものである以上」(ヤン)

 

「どちらが主でどちらが従であるか、民主社会にとっては自明の理でしょう」(ヤン)

 

「そうでしょうか」
「人間は国家がなくても生きられますが、人間なくして国家は存立しえません」(ヤン)

 

「無用な誤解とは、どういうものか、具体的に教えていただけませんか」(ヤン)

 

何か証拠があっての深刻な疑惑ならともかく」
「無用の誤解などという正体不明のものに対して備える必要を、小官は感じません」(ヤン)

 

「それでは、ひとつ、お願いがあるのですが」
「模範解答の表があったら、見せていただけませんか」(ヤン)

 

「あなたがたが、どういう答えを期待しておいでか知っておきたいんです」(ヤン)

 

「ヤン提督の副官として、上司との面会を要求します」
「提督はどこにおいでですか」(フレデリカ)

 

「わかりました。査問会とは非公開の精神的拷問をさして言うのですね」(フレデリカ)

 

「ちがうとおっしゃるのなら、査問会の公開、弁護人の同席」
「及び被査問者との面会をかさねて要求します」(フレデリカ)

 

「軍法会議には該当いたしません」
「国家機密保護法には、査問会なるものの規定はございませんし」(フレデリカ)

 

「したがって、その内情を公開したところで、犯罪を構成することはありえません」(フレデリカ)

 

「どうしてもヤン提督の人権を無視して秘密の査問会を強行なさるのでしたら」
「こちらも可能なかぎりの手段をとらせていただきます」(フレデリカ)

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第六章 武器なき戦い

「新しい技術と言うわけでもない。スケールを大きくしただけのことだろう」
「それも、どちらかというと、あいた口がふさがらないという類だ」(シェーンコップ)

 

「だが意表を突かれたこと、敵の兵力が膨大なものであること、これは確かだ」
「しかもヤン司令官は不在」(キャゼルヌ)

 

「留守番の吾々だけで、すくなくとも当面は敵をささえなくてはならない」(キャゼルヌ)

 

「要塞砲と要塞砲の撃ちあいか…?」(キャゼルヌ)
「さぞ盛大な花火でしょうな」(シェーンコップ)

 

「至急、ヤン提督に首都からもどっていただかねばなりませんな」(フョードル・パトリチェフ)

 

「ざっと計算して、吾々は最低でも四週間、敵の攻撃をささえなくてはならない」
「しかも、この期間は、長くなることはあっても短くなることはないだろう」(キャゼルヌ)

 

「楽しい未来図ですな」(パトリチェフ)

 

「もしイゼルローン要塞が失われたらどうなると思う?」
「ローエングラム公のひきいる大軍が回廊から同盟領へなだれこんでくるぞ」(ムライ)

 

「そうなれば同盟は──」(ムライ)

 

「閣下にこのことをお話しするかどうか、じつはずいぶん迷いました」(フレデリカ)

 

「ヤン提督を窮状からお救いするのに、助力をいただければありがたいのですけど」
「悪くしますと、軍部と政府との対立ということになりかねませんし…」(フレデリカ)

 

「もっともな心配だ」
「だが、同時に無用の心配でもあるな」(ビュコック)

 

「というのは、軍部全体が一丸となって政府と対立するなど」
「もはやありえんことだからだよ、大尉」(ビュコック)

 

「二派! ふむ、二派にはちがいない」
「圧倒的多数派と少数派とを、同列に並べてよいものならな」(ビュコック)

 

「むろん、わしは少数派さ」
「自慢にもならんことだがね」(ビュコック)

 

「なに、べつに困ってはおらんよ。いまいましいだけだ」
「ごそごそとうるさくてな」(ビュコック)

 

「じつは、この部屋にも盗聴器が隠されておるかもしれんのだ」
「確率は9割以上だろうな」(ビュコック)

 

「それを知っていてこういう話をしたのはな、いまさら旗色をごまかすこともできんし」
「盗聴の記録が法律上の証拠になることもないからだ」(ビュコック)

 

「逆にこちらが、盗聴による人権侵害を訴えることもできる」
「政府に同盟憲章を尊重する気があれば、だがね」(ビュコック)

 

「政府は民主主義のたてまえを公然と踏みにじることはできません」
「いざというとき、武器に使えると思います」(フレデリカ)

 

「訪ねてきておいて、いまさらそんなこと(迷惑)を気にせんでいい」
「わしはあの若いのが好きだしな」(ビュコック)

 

「ああ、このことを本人に言ってはいかんよ」
「若い者はすぐいい気になるからな」(ビュコック)

 

「ほんとうに感謝いたします」
「お人柄に甘えて申しあげますと、わたくしもビュコック閣下が好きですわ」(フレデリカ)

 

「大尉、これが民主主義の総本山の現状だよ」
「まだ雨はふりはじめてはおらんが、雲の厚さたるやたいへんなものだ」(ビュコック)

 

「どうも加速度的に悪くなっとる」
「天候を回復させるのは容易なことじゃないぞ」(ビュコック)

 

「わしらは仲間というわけだ」
「世代はちがってもな」(ビュコック)

 

「すばらしいご意見です」
「戦争で生命を落としたり肉親を失ったりしたことのない人であれば」
「信じたくなるかもしれませんね」(ヤン)

 

「まして、戦争を利用して、他人の犠牲の上に自らの利益をきずこうとする人々にとっては」
「魅力的な考えでしょう」(ヤン)

 

「ありもしない祖国愛をあると見せかけて他人をあざむくような人々にとってもね」(ヤン)

 

「あなたがたが、口で言うほどに祖国の防衛や犠牲心が必要だとお思いなら」
「他人にどうしろこうしろと命令する前に、自分たちで実行なさったらいかがですか」(ヤン)

 

「人間の行為のなかで、何がもっとも卑劣で恥知らずか」(ヤン)

 

「それは、権力を持った人間、権力に媚を売る人間が、安全な場所に隠れて戦争を賛美し」
「他人には愛国心や犠牲精神を強制して戦場へ送り出すことです」(ヤン)

 

「宇宙を平和にするためには、帝国と無益な戦いをつづけるより」
「まずその種の悪質な寄生虫を駆除することから始めるべきではありませんか」(ヤン)

 

「いっそ退場を命じていただけませんか」
「はっきり申しあげますがね、見るに耐えないし、聞くに耐えませんよ」(ヤン)

 

「料金を払っていないといっても、忍耐には限度が…」(ヤン)

 

「わかりました。イゼルローンにもどりましょう」
「あそこには私の部下や友人がいますから」(ヤン)

 

「そうだ、たいせつなことを忘れていた」(ヤン)

 

「帝国軍が侵攻してくる時機をわざわざ選んで」
「小官をイゼルローンからお呼びになった件に関しては」(ヤン)

 

「いずれ責任のある説明をしていただけるものと期待しております」(ヤン)

 

「むろん、イゼルローンが陥落せずにすめば、の話ですが」
「では失礼…」(ヤン)

 

「目上? 政治家とは、それほどえらいものかね」
「私たちは社会の生産に何ら寄与しているわけではない」(ホワン・ルイ)

 

「市民が納める税金を、公正にかつ効率よく再分配するという任務を託されて」
「給料をもらってそれに従事しているだけの存在だ」(ホワン)

 

「私たちはよく言っても社会機構の寄生虫でしかないのさ」(ホワン)

 

「ありがとう、大尉、何と言うか、その、お礼の言いようもない」(ヤン)
「副官として当然のことをしたまでです、閣下。でも、お役に立ててうれしく思います…」(フレデリカ)

 

「さてと、イゼルローンに帰るとしても、手ぶらというわけにはいくまい」
「いろいろ準備しなきゃならんが、その前にみんなで昼食としよう」(ビュコック)

 

「吾々が食事をしている間くらい、イゼルローンは保ちこたえるだろうさ」(ビュコック)

 

「いま国民が政治に信頼を失いつつあるとき」
「実力と人望を兼ねそなえた高級軍人がいっぽうには存在する」(ジョアン・レベロ)

 

「つまり君のことだがね、ヤン提督」(レベロ)

 

「これは民主共和政体にとって危険きわまる状態だ」
「独裁政治の芽を育てるための温室とさえ言ってもよい」(レベロ)

 

「まかりまちがえば、ヤン提督」
「君が第二のルドルフ・フォン・ゴールデンバウムになる未来の歴史さえ」
「仮定することが可能なのだ」(レベロ)

 

「…ちょっと待ってください。レベロ閣下、私は権力者になる気はありません」
「その気があるなら、昨年のクーデターの際にいくらでも機会はありました」(ヤン)

 

「人間とは変わるものだ。私は、500年前」
「ルドルフ大帝が最初から専制者となる野望を抱いていたのかどうか、疑っている」(レベロ)

 

「権力を手に入れるまでの彼は、いささか独善的であっても理想と信念に燃える改革志向者」
「それ以上ではなかったかもしれない」(レベロ)

 

「それが権力を得て一変した」
「全面的な自己肯定から自己神格化へのハイウェイを暴走したのだ」(レベロ)

 

「私も権力を手に入れたら変質するだろう、と、お考えなんですか」(ヤン)
「私にはわからん。ただ祈るだけだ」(レベロ)

 

「君が自分の身を守るためにルドルフの道をたどらざるをえなくなる」
「そういう日が来ないことを」(レベロ)

 

「ローエングラム公ラインハルト自身ならともかく」
「彼の部下にまで負けてはたまらないからな…」(ヤン)

 

「何にしても、わが同盟政府には」
「両手をしばっておいて戦いを強いる癖がおありだから、困ったものですよ」(ヤン)

 

「おっしゃるとおりです。何と言ってもイゼルローンは私の家ですからね」
「じゃあ、大尉、わが家に帰るとしようか」(ヤン)

 

第七章 要塞対要塞

「あのときは全員が不安でした」
「何しろヤン提督がおいでになりませんでしたから…」(ユリアン・ミンツ)

 

「でも、逆に言うと、ヤン提督がお帰りになるまで保ちこたえられれば助かる」
「という考えがあって、それが救いでもありました」(ユリアン)

 

「防御に専念するのはけっこうですが、あまりに消極的だと」
「かえって敵の疑惑を招くことになりませんか」(アッテンボロー)

 

「それはそれで、ヤン司令官の策略かもしれないと敵に思わせることもできるさ」(シェーンコップ)

 

「その(バレた)ときは、苦労して占領したイゼルローンが」
「また帝国のものになるだけのことだな」(シェーンコップ)

 

「叛乱軍、いや、同盟軍の諸君」
「小官は銀河帝国ガイエスブルク派遣部隊総司令官ケンプ大将です」(ケンプ)

 

「戦火を交えるにあたり、卿らに一言あいさつをしたいと思ったのです」(ケンプ)

 

「できれば降伏していただきたいが、そうもいかんでしょう」
「卿らの武運を祈ります…」(ケンプ)

 

「…そうだね、べつに偉そうに見える人ではなかったね」
「多勢の、威風堂々とした軍人たちの間にまじると、まるで目立たなかった」(ユリアン)

 

「だけど、その多勢のなかにいないとなると、いないということがすぐわかる」
「そういう人だったよ…」(ユリアン)

 

「(返信が無く)いささか残念だな」
「ヤン・ウェンリーという男の顔を見てみたかったが、やはり武人は武人らしく」
「実力であいさつすべきか」(ケンプ)

 

「しかし、いまの(敵主砲の破壊力)を見たろう」
「双方で主砲を撃ちあえば共倒れになってしまうぞ」(キャゼルヌ)

 

「そう、このまま要塞主砲どうしで撃ちあえば、共倒れということにもなる」
「その恐怖を敵に教えれば、敵もうかつに主砲は撃てなくなるでしょう」(シェーンコップ)

 

「双方、手づまりになれば、つまり時間をかせぐこともできる」
「いま弱みを見せるわけにはいきません」(シェーンコップ)

 

「敵もどうして、打つ策が早い!」
「白兵戦の用意をしろ。大至急だ。おれが直接、指揮をとる」(シェーンコップ)

 

「すこし運動してくるだけです、すぐもどりますよ」(シェーンコップ)

 

「何とか追い帰しましたがね。どうです、さっきも言いましたが」
「今度はこちらから工兵と歩兵を送りこんでみたら」(シェーンコップ)

 

「いや、やはりそれはだめだ」
「貴官は敵の工兵を数人、捕虜にした。それとは逆の事態が生じたらどうする」(ムライ)

 

「わが軍の兵士が敵の捕虜になり、自白剤なり拷問なりによって」
「ヤン提督が不在であることをしゃべてしまったら…」(ムライ)

 

「それにしても、第一撃は大技、第二撃は小技」
「第三撃はどんな手段で来ることやら…」(シェーンコップ)

 

「ヤン・ウェンリーか。あの男は逃げ上手でな一昨年」
「アムリッツァ会戦に先だつ戦闘で、まんまと逃げられたことがある」(ケンプ)

 

「奴は勝っているくせに逃げ出したのだ。奇妙な男だ」(ケンプ)

 

「奇妙な男ですか…それだけに、どんな奇策を使ってくるか」
「容易に判断しかねますな」(ナイトハルト・ミュラー)

 

「それを待っていることはない」
「先手先手を打つとしよう」(ケンプ)

 

「一秒ごとにヤン提督はイゼルローンへ近づいている」
「その分、吾々も勝利へと近づいているのだ」(パトリチェフ)

 

「そうなれば(要塞内に突入できれば)、イゼルローン要塞と回廊は、吾々のものだ」(ミュラー)

 

「坊や、こいつは人生の──いや、生命そのものの香りさ」
「いまにわかるようになる…」(オリビエ・ポプラン)

 

「ウイスキー、ウォッカ、ラム、アップルジャック、シェリー、コニャック」
「各中隊そろっているな」(ポプラン)

 

「いいか、柄にもないことを考えるな」
「国を守ろうなんて、よけいなことを考えるな!」(ポプラン)

 

「片思いの、きれいなあの娘のことだけを考えろ」
「生きてあの娘の笑顔を見たいと願え」(ポプラン)

 

「そうすりゃ嫉み深い神さまにはきらわれても、気のいい悪魔が守ってくれる」
「わかったか!」(ポプラン)

 

「コーヒーを一杯たのむ」
「砂糖はスプーンに半分、ミルクはいらない。すこし薄めにな」(シェーンコップ)

 

「生涯最後のコーヒーかもしれんのだ、うまいやつを頼むぞ」(シェーンコップ)

 

「コーヒーの味に注文をつける余裕があるうちは、まだ大丈夫だな」(キャゼルヌ)
「まあね、女とコーヒーについては、死んでも妥協したくありませんでね」(シェーンコップ)

 

「司令官代理! 私に艦隊の指揮権を一時お貸し願いたい」
「もうすこし状況を楽にできると思うのですが」(メルカッツ)

 

「自分はヤン提督を支持する」
「したがって、ヤン提督の支持するメルカッツ提督を支持するであろう」(アッテンボロー)

 

「この回廊は、やがて名を変えるだろう。ガイエスブルク回廊とな」
「それとも、ケンプ=ミュラー回廊という名になる、ということもありうるぞ」(ケンプ)

 

「ミュラーは何をしているのだ」
「決断すべきときに迷うから、あんなことになるのだ」(ケンプ)

 

「卿は善戦はした。だが、単にそれだけのことだ」
「何の実りもなかった」(ケンプ)

 

「しかし、そんなことがありうるだろうか」
「あの恐るべき男が要塞にいないなどと…」(ミュラー)

 

「卿はあの要塞を、味方の血を一滴も流すことなく陥落させることができるか?」
「誰ひとり想像もできなかった方法で」(ミュラー)

 

「では、やはり、ヤン・ウェンリーは恐るべき人物だ」
「すぐれた敵には、相応の敬意を払おうじゃないか、少佐」(ミュラー)

 

「そうすることは、吾々にとってけっして恥にはならんだろうよ」(ミュラー)

 

まったく、それにしてもヤン・ウェンリーという男は、
いればいたで、いなければいないで、どれほど帝国軍を悩ませることだろう。(ミュラー)

 

「魔術師ヤン」とはよく言ったものだ…。(ミュラー)

 

「索敵と警戒の網を、回廊全体に張りめぐらせ」
「ヤン・ウェンリーの帰途を待って彼を捕えるのだ」(ミュラー)

 

「そうすれば、イゼルローンどころか同盟軍そのものが瓦解し」
「最終的な勝利は吾々の手に帰するだろう」(ミュラー)

 

「卿の言うことは正しい。副司令官は総司令官の意にしたがうべきだ」
「わかった、我を捨てよう。先刻の命令は撤回する」(ミュラー)

 

第八章 帰還

「いよいよ、年寄りひとり孤立無援さ」(ビュコック)
「私がいますよ」(ヤン)

 

「ローエングラム公は皇帝を殺すでしょうか」(フレデリカ)
「いや、殺さないと思うね」(ヤン)

 

「歴史上、簒奪者は数かぎりなくいる」
「王朝の創始者なんて、侵略者でなければ簒奪者だものね」(ヤン)

 

「だけど、すべての簒奪者がそのあと先君を殺したかというと、けっしてそうじゃない」
「貴族として優遇した例がいくらでもある」(ヤン)

 

「しかし、その場合、旧王朝が新王朝を倒して復古した例は絶無だ」(ヤン)

 

何百年かにひとり出現するかどうか、という英雄や偉人の権力を制限する不利益より、
凡庸な人間に強大すぎる権力を持たせないようにする利益のほうがまさる。(ヤン)

 

それが民主主義の原則である。(ヤン)

 

「奇襲? 私は最初からそんなものする気はなかったよ」
「帝国軍が吾々を見つけてくれて、じつは安心しているんだが…」(ヤン)

 

「つまり、帝国軍の指揮官は、敵の援軍を、というのは吾々のことだけどね」
「発見して選択に迫られることになる。彼はさぞ迷うだろう」(ヤン)

 

「このままイゼルローン要塞を攻撃しつづけて、吾々の攻撃に背を向けるか」
「その逆に吾々と戦って、イゼルローンに後ろを見せるか」(ヤン)

 

「兵力を両方向に分散して二正面作戦をとるか」
「時差をつけて各個撃破するという賭に出るか」(ヤン)

 

「勝算なしと見て退去するか…」
「まあ、追いこまれたわけだ。これだけでも吾々が有利になったんだよ」(ヤン)

 

「私としては、ぜひ五番目の選択を彼にしてほしいね」
「そうすると、犠牲者が出ないし、第一、楽でいい」(ヤン)

 

「わが軍、有利」(ケンプ、ラインハルトへの報告)

 

「そこ(ケンプの感情)まで卿が心配する必要はない」
「第一、ケンプが功績をたてているならともかく、そうとはかぎらないではないか」(ラインハルト)

 

「戦線をむやみに拡大するな」
「それ以外のことは卿らの善処にゆだねる」(ラインハルト)

 

「ローエングラム公は、どういうおつもりかな」
「戦闘が膠着状態におちいっているなら、吾々の赴く理由は充分にある」(ロイエンタール)

 

「ケンプが勝っていれば、吾々が赴く必要はない」
「彼が負けていれば、いまさら赴いても遅きに失する」(ロイエンタール)

 

「いずれにせよ、吾々は宰相閣下のご命令をうけたのだ」
「最善をつくすとしよう」(ミッターマイヤー)

 

「さしあたり、戦場へ着くそうそう、戦わねばならぬという状況であったとき」
「どうするかだ。後はよかろう」(ミッターマイヤー)

 

「ケンプはもうすこしやると思っていたが、どうやら敵を苦しめたというあたりが」
「彼の限界のようだな」(ラインハルト)

 

「目的はイゼルローンを無力化することにあるのだ」
「必ずしも攻略、占拠する必要はない」(ラインハルト)

 

「極端なことを言えば、要塞に要塞をぶつけて破壊してしまってもよかったのだ」(ラインハルト)

 

「ですが、ケンプはガイエスブルク要塞を拠点として」
「正面から堂々と敵に挑戦したそうです」(オーベルシュタイン)

 

「だから限界だと言っている」(ラインハルト)

 

「あのような男でも、何か役に立つかもしれません」
「武力だけで宇宙を手に入れるのは困難です」(オーベルシュタイン)

 

「駒はより多くおそろえになったほうがよろしいかと存じます」
「たとえ汚れた駒でも…」(オーベルシュタイン)

 

「誤解するな、オーベルシュタイン」
「私は宇宙を盗みたいのではない。奪いたいのだ」(ラインハルト)

 

「これが権力をにぎるということか」
「おれの周囲には、おれを理解しようとしない奴ばかり残る」(ラインハルト)

 

「それとも、やはり、おれ自身の罪か…」(ラインハルト)

 

「吾々に、それほど時間はないんだ」(ヤン)

 

「これまでは時間が味方してくれたけど、これからはそうではないということですか?」
「閣下が敵の指揮官なら、とうにイゼルローンを陥していらっしゃったでしょうね」(フレデリカ)

 

「そうだね。私だったら、要塞に要塞をぶつけただろうね」
「どかんと一発、相撃ち。それでおしまいさ」(ヤン)

 

「何もかもなくなった後に、別の要塞を運んでくれば、それでいい」(ヤン)

 

「もし帝国軍がその策できたら、どうにも対策はなかったが」
「帝国軍の指揮官は発想の転換ができなかったみたいだ」(ヤン)

 

「もっとも、それですでにやられていたら、むろん対策はないんだが」
「これからその策で来る、ということであれば、ひとつだけ方法はあるけどね」(ヤン)

 

「イゼルローン要塞が外から陥ちることは、けっしてないように思えるのですけど…」(フレデリカ)

 

「さて、それはどうかな」(ヤン)

 

「(敵の援軍か、それとも罠か?)両方かもしれません」
「ヤン提督の援軍はたしかに近くに来ています」(ユリアン)

 

「帝国軍はそれを知って、逆に罠に利用しようとしているんじゃないでしょうか」
「帝国軍の動きが不自然すぎます」(ユリアン)

 

「…なるほど、坊やがおれやポプランの弟子であるという以前に」
「ヤン提督の一番弟子であるということがよくわかった」(シェーンコップ)

 

「そういうことであれば、話はむずかしくない」
「吾々は、彼らに封じこめられたふりをすればよいのです」(メルカッツ)

 

「そして彼らが反転したとき、突出してその後背を撃つ」
「救援軍との呼吸が合えば、理想的な挟撃戦が展開できるでしょう」(メルカッツ)

 

「ユリアンくんには、戦艦ヒューベリオンに同乗してもらおう」
「艦橋にな」(メルカッツ)

 

「戦争を登山にたとえるなら…登るべき山をさだめるのが政治だ」
「どのようなルートを使って登るかをさだめ、準備をするのが戦略だ」(ユースフ・トパロウル)

 

「そして、与えられたルートを効率よく登るのが戦術の仕事だ…」(ユースフ)

 

「敵が縦深陣をしいて、吾々をそのなかに引きずりこもうとしている可能性はないのか?」
「では、奴らの意図は時間かせぎだ」(ケンプ)

 

「イゼルローンから艦隊が突出するのを待って、前後から挟撃する気だろう」
「こざかしい、その策にのるか」(ケンプ)

 

「退却するな! 退却してはならん」
「あと一歩だ。あと一歩で銀河系宇宙が吾々のものになるんだぞ!」(ケンプ)

 

「そうだ、あれがあった…まだ最後の手段がある」
「あれを使って、イゼルローン要塞を破壊するのだ」(ケンプ)

 

「艦隊戦では負けたが、まだ完全に敗れたわけではないぞ」
「ガイエスブルク要塞だ」(ケンプ)

 

「あのうすらでかい役たたずを、イゼルローン要塞にぶつけてしまうのだ」
「そうすれば、イゼルローン要塞とて、ひとたまりもない」(ケンプ)

 

「気づいたな…だが、遅かった」(ヤン)

 

「全員、退去せよ」
「おれはもう助からん。これを見ろ」(ケンプ)

 

「(不死身?) いい台詞だ。私の墓碑銘はそいつにしてもらおう」
「で、全治にはどのくらいだ」(ナイトハルト・ミュラー)

 

「ミュラーに詫びておいてくれ」(ケンプ、ミュラーへの伝言)

 

「大神オーディンも照覧あれ。ケンプ提督の復讐は必ずする」
「ヤン・ウェンリーの首を、この手につかんでやるぞ」(ミュラー)

 

「いまはだめだ。おれには力がない。奴とは差がありすぎる…」
「だが、見ていろ、何年か将来を!」(ミュラー)

 

「わが軍は敗れたが、司令部は健在である」
「司令部は卿ら将兵の全員を、生きて故郷へ帰すことを約束する」(ミュラー)

 

「誇りと秩序を守り、整然として帰途につこうではないか…」(ミュラー)

 

「ケンプが死んだか──卿は後方へ赴いてローエングラム公に復命するがいい」
「ケンプの復讐戦はおれたちにまかせろ」(ミッターマイヤー)

 

「最大戦速で前進をつづけろ」
「ミュラーを追ってきた敵の先頭集団に逆撃を加える」(ミッターマイヤー)

 

「急襲して一撃、然る後に離脱する」
「それ以上の戦いは、この際、無意味だ」(ミッターマイヤー)

 

「そうか、ケンプは死んだか」(ロイエンタール)

 

勝因のない勝利はあっても、敗因のない敗北はない。
敗れるべくしてケンプは敗れたのだ。同情の余地はない。(ロイエンタール)

 

第九章 決意と野心

「ケンプの讐だ」
「一艦も余さず、屠ってしまえ」(ミッターマイヤー)

 

「主砲、斉射三連!」(ロイエンタール)

 

「こいつら、ほんとうにヤン・ウェンリーの部下か」
「アムリッツァで戦ったときは、こんなものではなかったぞ」(ミッターマイヤー)

 

「ヤン・ウェンリーご自身のおでましらしいな」
「どうする? 卿は戦いたかろう」(ロイエンタール)

 

「まあな。だが、いま戦っても意味はない」(ミッターマイヤー)

 

「大軍どころか要塞まで動かして数千光年の征旅をくわだてたというのに」
「ことごとく挫折して」(ミッターマイヤー)

 

「ひとりヤン・ウェンリーに名をなさしめたのみか」
「やれやれだな」(ミッターマイヤー)

 

「まあ百戦して百勝というわけにもいくまい」
「こいつはローエングラム公のおっしゃりようだがな」(ロイエンタール)

 

「ヤン・ウェンリーの首は、いずれ卿とおれとでいただくことにするさ」(ロイエンタール)

 

「これが名将の戦いぶりというものだ」
「明確に目的を持ち、それを達成したら執着せずに離脱する」
「ああでなくてはな」(ヤン)

 

「小官こと、閣下より大命をおおせつかりながら」
「任務を果たすことかなわず、主将たるケンプ提督をお救いすることもできず」(ミュラー)

 

「多くの兵を失い、敵をして勝ち誇らせました」(ミュラー)

 

「この罪、万死に値しますが、おめおめと生きて還りましたのは」
「事の次第を閣下にお報せし、お裁きを待とうと愚行したからであります」(ミュラー)

 

「敗戦の罪はすべて小官にありますれば」
「部下たちにはどうか寛大なご処置をたわまりたく」(ミュラー)

 

「卿に罪はない。一度の敗戦は、一度の勝利でつぐなえばよいのだ」
「遠路の征旅、ご苦労であった」(ラインハルト)

 

「私はすでにケンプ提督を失った」
「この上、卿まで失うことはできぬ」(ラインハルト)

 

「傷が全快するまで静養せよ」
「しかる後に、現役復帰を命じるであろう」(ラインハルト)

 

「…そうだな、ミュラーのような男は得がたい存在だ」
「無益な戦いで死なせるような愚行はやめよう」(ラインハルト)

 

「それでいいだろう、キルヒアイス?」(ラインハルト)

 

「奪ったにせよ、きずいたにせよ、最初の者は称賛を受ける資格がある」
「それは当然だ」(ラインハルト)

 

「…だが、自分の実力や努力によることなく」
「単に相続によって権力や富や名誉を手に入れた者が」
「何を主張する権利を持っているというのだ?」(ラインハルト)

 

「奴らには、実力ある者に対して慈悲を乞う道が許されるだけだ」
「おとなしく歴史の波に消えていくことこそ、唯一の選択だ」(ラインハルト)

 

「血統による王朝などという存在自体がおぞましいと私は思う」(ラインハルト)

 

「権力は一代かぎりのもので、それは譲られるべきものではない」
「奪われるものだ」(ラインハルト)

 

「すると、宰相閣下は、ご自分の地位や権力を」
「お子さまにお継がせにはならないのですね」(ヒルダ)

 

「私の跡を継ぐのは、私と同じか、それ以上の能力を持つ人間だ」
「そして、それは、何も私が死んだ後とはかぎらない…」(ラインハルト)

 

「…私を背後から刺し殺して、それですべてが手にはいると思う人間は」
「実行してみればいいんだ」(ラインハルト)

 

「ただし、失敗したらどんな結果がもたらされるか」
「その点には充分な想像力をはたらかせてもらおう」(ラインハルト)

 

自分はオーベルシュタインを相手どって闘うことになるかもしれない。
避けることのできない闘いなら、闘って、そして勝たなくてはならない。(ヒルダ)

 

「決意はりっぱだけどね、ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ…」
「勝算はあるの? 決意だけで勝てるものなら、誰も苦労しないわよ」(ヒルダ)

 

「そうね、彼の姉君グリューネワルト伯爵夫人に」
「お目にかかる機会をつくることでしょうね」(ヒルダ)

 

「ああ、それにしても、キルヒアイス提督が健在なら」
「わたしなどがでしゃばる必要はないのだけど」(ヒルダ)

 

「聞いてくれ、ミッターマイヤー」
「貴族どもを打倒し、自由惑星同盟を滅ぼし、宇宙を手に入れるのは」(ロイエンタール)

 

「ローエングラム公とおれたちとの共通の目的であり、共通の作業だと」
「おれは以前には思っていたが…」(ロイエンタール)

 

「このごろ、おれは思うのだ」
「部下とは、あのかたにとって便利な使い捨ての道具にすぎないのかもしれないとな」(ロイエンタール)

 

「本心だったさ、あのときはな」(ロイエンタール)

 

「だが、おれは生まれたときから正しい判断と選択のみをかさねて」
「今日にいたったわけではない」(ロイエンタール)

 

「いまはそうではないが、いつかその選択を後悔するようなときがくるかもしれない」(ロイエンタール)

 

「めったなことは口にしないほうがいいぞ」
「オーベルシュタインの耳にでもはいったら、粛清の対象にもされかねん」(ミッターマイヤー)

 

「ローエングラム公は一代の英雄だ」
「おれたちはあのかたの手足になって動き、それ相応の恩賞をいただけばいい」(ミッターマイヤー)

 

「おれはそう思っているがね」(ミッターマイヤー)

 

「ふん、またしても、おれとしたことが…」(ロイエンタール)

 

あたらしい時代とは、あたらしい不和をもたらす時代ということなのであろうか。(ミッターマイヤー)

 

「ああ、何にもいいことのない人生だった…いやな仕事は押しつけられるし」
「恋人はいないし、せめて酒でも飲もうとすれば叱られるし…」(ヤン)

 

「風邪ぐらいで気分を出さないでください!」(ユリアン)

 

「ヤン提督…」
「ぼく、正式な軍人になりたいんです」(ユリアン)

 

「はい、自由と平等を守る軍人になりたいんです」
「侵略や圧政の手先になるような軍人ではなくて、市民の権利を守るための軍人にです」(ユリアン)

 

「なあ、ユリアン。あんまり柄にない話をしたくはないんだが」
「お前が軍人になるというのなら、忘れてほしくないことがある」(ヤン)

 

軍隊は暴力機関であり、暴力には二種類あるってことだ」
「支配し、抑圧するための暴力と、解放の手段としての暴力だ」(ヤン)

 

「国家の軍隊というやつは…本質的に、前者の組織なんだ」
「残念なことだが、歴史がそれを証明している」(ヤン)

 

「ルドルフ大帝を剣によって倒すことはできなかった」
「だが、吾々は彼の人類社会に対する罪業を知っている」(ヤン)

 

「それはペンの力だ」
「ペンは何百年も前の独裁者や何千年も昔の暴君を告発することができる」(ヤン)

 

「剣をたずさえて歴史の流れを遡行することはできないが」
「ペンならそれができるんだ」(ヤン)

 

「人類の歴史がこれからも続くとすれば」
「過去というやつは無限に積みかさねられてゆく」(ヤン)

 

「歴史とは過去の記録というだけでなく」
「文明が現在まで継続しているという証明でもあるんだ」(ヤン)

 

「現在の文明は、過去の歴史の集積の上に立っている」
「…だから私は歴史家になりたかったんだ」(ヤン)

 

「それが最初のボタンをかけまちがえたばかりに、このありさまだものなあ」(ヤン)

 

「まあ、なかなか思いどおりにはいかないものさ」
「自分の人生も他人の人生も…」(ヤン)

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 
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