マンガ「キングダム 合従軍編 函谷関攻防戦」の名言・台詞をまとめていきます。
キングダム 合従軍編 函谷関攻防戦
25巻
「(指令?) 両将はすでに城を出て走っておろう」
「防衛戦を抜かれることがどれほど危ういか」
「現場の将達が最もよく分かっておるわィ」(昌文君)
「しかし…間に合うかどうかは咸陽(ここ)からでは分からぬがな…」(昌文君)
「この南部防衛は一刻を争う状況だ」
「故に一刻かせぐは大きな利益を生む」(騰)
「間に合わなくてスマネェ」
「それに今はお前らを埋葬してやるヒマもねェ」(信)
「今はお前らみてェな犠牲を一人でも出さねェように、走らなくちゃなんねェんだ」
「分かってくれ」(信)
「その代わり、ぜってえ仇をとってやる」(信)
「(三国同時?) 止めねばならん、全軍を使ってな」(昌文君)
「六国が…手を組んだとでも…?」
「何じゃそれは…何じゃそれはァァ」(呂不韋)
「”合従軍”だ!!」(嬴政)
「(合従軍が)形となり戦になったのは一度だけだ」
「今からおよそ四十年前…当時東の超大国であった”斉”」
「その暴威を止めるべく、秦も含めた六国が立ち上がった」(昌文君)
「ああ…(結果は)即墨と莒の二城だけを残し、他の全ての土地を失った!」
「あの時初めて中華は、合従軍の破壊力の凄まじさを知ったのだ」(昌文君)
「(笑顔がない?) 合従軍を描いた張本人として」
「この先に起きることも分かっていますからね」(李牧)
「今は最短・最速で侵攻して秦中枢を麻痺させます」(李牧)
「突如六国に同時に攻められ、なおかつその侵攻の足が早まれば」
「秦の本営は必ず混乱の極みに達し、思考停止となります」(李牧)
「そうすれば、早々に片がつきますから」(李牧)
「こんなもの…どこから手をつければよいと言うのじゃ…」(昌文君)
「立て」
「お前らの目は節穴か…?」
「お前らの頭は飾りか?」(嬴政)
「この地図をちゃんと見ろ」
「今この瞬間、国のいたる所で何千何万の民の命が奪われようとしているのだぞ」(嬴政)
「起こっている事態の全容を知るのは、ここにいる我々だけだ」
「対処を講じられるのも我々だけだ」(嬴政)
「分かってるのか」
「今ここにいる三十人程が、秦国全国民の命運を握っているのだ」(嬴政)
「強大な敵にも目をそらすな」
「刻一刻と国がっ…民が陵辱されていっているんだ」
「全身全霊をかけて対策・打開策を模索しろ」(嬴政)
「合従軍だろうといいようにはさせぬ」
「戦うぞ!!」(嬴政)
「今ならまだ敵の合従軍に、楔を打ち込む手が一つあります」
「まだ秦国に侵入していない──斉を狙います」(昌平君)
「結局”戦争”など所詮、大金を手にするための”仕事”だろうがよ」(王建王)
「李牧は怪物だ、密会した時そう思った」
「王騎・劇辛という大物喰いはまぐれではない」(王建王)
「はっきり言って斉が抜けても大した戦力低下にはならぬ」
「李牧の合従軍に、秦は万に一つ程度しか勝ち目はないぞ」(王建王)
「”外交”のできる仕事はここまで」
「後は本国の者達を信じるだけです」(蔡沢)
「斉離脱の狙いは敵の戦力減少だけが目的ではありません」
「合従軍の背後に奴らが憂う存在を出現させること──」
「これが最大の狙いです」(昌平君)
「全軍止まれェィ!!」
「これより先は臭くてかなわん、引き返すぞ」(麃公)
「長く戦地を往来しておるが、こんな巨大な侵攻は初めてだ」
「下手をすれば秦という国が無くなるであろう」(麃公)
「全ては咸陽・本営の対応次第じゃが」
「しかしそのためには刻(とき)をかせいでやる必要がある」(麃公)
「ここでこの兵力で魏軍の足止めをはかるぞ」
「それが今は前線の漢達の役目じゃァ」(麃公)
「それにしても噂通り変わった敵だ、麃公軍とは」(呉鳳明)
「各軍の置き方、戦い方、まるであべこべで」
「どの兵法書でも禁とするものが平気で目につく」
「現に無意味なほど兵を死なせている」(呉鳳明)
「しかし代わりに要所要所では有り得ぬような勝ちをおさめて」
「その差を帳消しにしてくる」(呉鳳明)
「あれが本当に全て”勘”だと言うのなら、軍略家にとっては笑えぬ相手だ」
「父が討たれたのもうなずける」(呉鳳明)
「李牧殿、先にまずはっきりさせておきたい」
「此度の合従軍の起案者は貴殿だが、別に我々はそれに従属したわけではない」(呉鳳明)
「魏軍・趙軍は互いに同列」
「上官でもない貴殿に、この軍のことをとやかく言われる筋合いはない」(呉鳳明)
「(どこまでやる?) もちろん秦国が滅ぶまでです」(李牧)
「元々詰んでいる盤面」
「対する上策など存在しませぬ」(昌平君)
「あらゆる策で模擬戦を行ったが、いずれも百戦すれば全て咸陽まで落とされました」
「しかし…ようやくわずかに光明を感ずる策が一つ…」(昌平君)
「(模擬戦の結果は) 百戦中、秦軍二十勝、合従軍八十勝」(昌平君)
「(勝率は) 五つに……一つか…」
「──フム! 上出来だ」
「賭けとしては十分成立する」(呂不韋)
「今配置の軍はそのままで、将軍達を咸陽(ここ)へ召集して下さい」
「秦の抱える名だたる将軍全員です」(昌平君)
「知っての通り総数五十万からなる合従軍に侵攻され、秦は正に国家存亡の危機にある」
「合従軍は強力であり、これを防ぐには──」(昌平君)
「秦の抱える全戦力」
「つまり今ここにいる大将軍級の貴公らの力を集結して戦う必要がある」(昌平君)
「これは文字通りの”総力戦”であり」
「失敗すれば秦はこの中華から消え去るであろう」(昌平君)
「この合従軍の中には上も下もなく、各国の軍同士は横並び対等です」
「しかし、軍である以上はそれを束ねる者が必要不可欠です」(李牧)
「楚の宰相にして軍総司令・春申君に合従軍の総大将を務めて頂きます」(李牧)
「この戦を描くのは、最初から最後まで合従軍参謀を務める李牧だ」
「俺はお前らのケツを蹴って回る役についただけだ」(春申君)
「(一番血を流させる?) ……望む所だ」(蒙武)
「(出し抜かれた?) 俺の落ち度だ、弁明の余地もない」(昌平君)
「情報戦の敗北もある」
「だが、それ以上に俺がたかをくくっていたことが大きい」(昌平君)
「まさか”山陽攻略の真意”を見抜く者がいるとはな…」(昌平君)
「そのことに気付いたのは、恐らく中華で俺と李牧くらいであろう」(春申君)
「大国楚は多少のことではビクともせぬが」
「お前らが秦に糾合されればさすがにやっかいだ」(春申君)
「詰みの手をうってきたなら、その盤上を叩きつぶすのが一番だ」(春申君)
「(上層部の失態?) いや……これが”戦国”だろ」(信)
「俺は五千将を目指す」
「そうすれば、もうその上は──”将軍”だ」(王賁)
26巻
「春申君。あなが楚軍の大将・汗明に揺るがぬ信を置いておられるように」
「私も全幅の信頼を置いています」
「趙軍の指揮官・副将慶舎に」(李牧)
「麃公自身もあのぶ厚い李白軍を、ただの突撃だけで抜けるとは思っていない」(慶舎)
「あれは闇雲に討って出たように見えるが、実は”火”の起こし所を探しに来たのだ」
「いや、作りに来たと言った方が正しいか」(慶舎)
「下手に動けば奴の思惑通りに戦が運び出す」
「ああいう連中を相手にする場合」
「序盤ではその爪のひっかかる所を作らせぬことが賢明だ」(慶舎)
「そうすれば奴らは必ず混惑の色を表に出す」(慶舎)
「弱まっている部分を攻めるのが自然界の鉄則だ」
「どうした麃公、この戦場に火は起こったぞ」
「お前の足元にだがな」(慶舎)
「”沈黙の狩人”」
「本能型の武将で私が最も恐ろしいのは彼(慶舎)です」(李牧)
「静かに、聞こえるか?」
「身動きとれぬ麃公軍に情けなき万極の牙が喰い込み、その肉をはぎ取ってゆく音が」(慶舎)
「目と耳を集中しろ、今が一番いいところだ」(慶舎)
「ここが俺らの正念場なんだ」
「寄っかかるもんが必要なら、この飛信隊・信につかまって奮い立ちやがれ、麃公兵!!」(信)
「童・信よ」
「己で気付いておるまいが、貴様、本能型の武将の才が目覚めてきておるぞ」(麃公)
「…しかし、王騎の矛を受け取った男が本能型とは笑えるわィ」(麃公)
「戦場が大きく動き揺らいでおる」
「この今、儂の獲物は奥で縮こまっておる趙将に決まっておろうが」(麃公)
「……このっ、たわけ者共が」
「そんなもの(井闌車)が、この函谷関に届くと思ったのか」(張唐)
「何も分かっておらぬ」
「函谷関が何物かが分かっておらぬ」(張唐)
「おびただしい程の秦人の血と汗と…”命”を費やして積み上げられた」
「この”高さ”と! この”屈強”さ!」(張唐)
「中華に比肩するものは一つもない!」
「故に函谷関は作られてより百余年、一度も敵に抜かれたことがない」
「一度もだ!!」(張唐)
「その歴史を貴様らが超えられると思うか」
「この壁に手が届くとでも思っているのか」
「たわけた夢だ」(張唐)
「今も、この先百年も、秦の敵は唯一人としてここを通れぬ」
「それが秦国門・函谷関だ!」(張唐)
「それが届くんだよ」
「対函谷関のために俺が設計したのだからな」(呉鳳明)
「騒ぐな、薄らバカ共」
「仕方ねェな、遊んでやるか」(桓騎)
「魏には…秦に大きな借りがある」
「魏のなめた辛酸を今ここで、この鳳明が清算する!」(呉鳳明)
「沈むがいい函谷関、その不落の伝説と共に」(呉鳳明)
「ちょーっとばかり魏は、でけェもん作りすぎたんじゃねェのか?」
「てめェは、はしゃぎすぎなんだよ」(桓騎)
「迷うな兵共よ、この場に奇策は必要ない」
「たとえ敵に登られたとはいえ」
「ただの地上戦と思えば断崖際に敵を包囲したようなものだ」(張唐)
「我が軍の優位は変わらぬ」
「一人残らず地べたに叩き落としてやれィ」(張唐)
「本当はこれを言いに来たんだよ」
「どうかご武運を、父上」(蒙恬)
「俺が狙うのは、楚軍総大将の首だ」(蒙武)
「恬、武運を祈る」(蒙武)
「貴様が臨武君か」
「そのおかしな頭切り刻んで、あの世の同金に喰らわせてやる!!」(録嗚未)
「録嗚未一人でつぶせるほど、楚軍一軍は甘くない」
「その他の力が必要だ」(騰)
「量より質。”量”で劣る秦軍が勝つには、”質”で上回る必要がある」
「現場に点在する、部隊長達の質だ」(騰)
「将自ら入り乱れる戦場にあって凄腕の狙撃手は…必殺の動きをする」(蒙恬)
「録嗚未の援護のため、また先の戦いのために」
「この脅威は早めに取り除いておく必要がある!」(蒙恬)
「将軍級だと? 笑わせる」
「貴様らと楚では、”将軍”の意味が違うのだ」(臨武君)
「大国楚で将軍になることがどれ程のことか、貴様らは理解(わか)っておらぬ!」(臨武君)
「貴様らと楚では国土の広さが違うが故に、人の数が違う!」
「つまりは競い合う底辺の数が違うのだ」(臨武君)
「(自信?) そんなあやふやなものを口にする意味はない」
「それよりも確定的なことを言っておいてやろう」(騰)
「蒙武。我が主であった大将軍王騎の死は、お前を強くした」
「そして──私は元から強い」(騰)
「それが紛れもなき事実」
「この戦に関して言うことがあるとするなら、これだけだ」(騰)
「あの男(騰)の力など知るか」
「ただ分かっていることは──」
「奴は王騎が認めていた男だということだ」(蒙武)
「(何者?) 天下の大将軍だ!」(騰)
「その(王騎の)傘を支え続けることの凄さは考えぬのか」(騰)
「お前は修羅場をくぐってきた己の力に絶対の自信があるのだろうが」
「私には、中華をまたにかけた大将軍王騎を傍らで支え続けた自負がある」(騰)
「(天下の大将軍は楚将だけ?) それは違う、お前にそんな器はない」(騰)
「しかし強かったのは認めよう、これほど血を流したのは久しい」
「あの世で同金・鱗坊・録嗚未と酒でも飲むがいい」(騰)
27巻
「乱戦が長すぎる」
「もはや隊の形なんてなく、中でバラバラになって戦ってるのに間違いない…」(河了貂)
「突入するぞ、中で隊を立て直す」(河了貂)
「(長平?) 知るかよ、それは俺が生まれる前とかの話だ」(信)
「ここは戦場だ」
「戦いの最中に、ふざけたもん見せんじゃねェ!!」(信)
「オレがいない間にお前らが全滅なんてしたら、軍師になった意味がないだろうが」(河了貂)
「何が同じだ」
「長平はたとえ投降しようとそれは、寸前まで兵士だったんだ」(河了貂)
「それとお前がこれまで手にかけてきた人間が、同じだなんて絶対に言わせるか」(河了貂)
「無力な女子供まで殺してんじゃねェよ、このクソヤロォが」(河了貂)
「子供に何の罪がある、赤子に何の罪がある」
「まだ何も分からないで、ただ一方的に…命を奪われてっ…」(河了貂)
「お前は長平の復讐と称して、虐殺目的で戦争をしてる最低の異常者だ」(河了貂)
「俺も戦争孤児で万極ほどひねくれちゃいねェが」
「戦争は”あるもん”だって思って生きてきた」(信)
「それがどうこうなんて考えが及ぶもんでもねェって感じで生きてきたんだ」(信)
「この出口のねェ戦争の渦を解く答えを持ってる奴を」
「実はおれは知ってたんだってなァ」(信)
「そいつの答えはこうだ」
「境があるから内と外ができ、敵ができる」
「国境があるから国々ができ、戦いつづける」(信)
「だからあいつは国を一つにまとめるんだ」
「そして俺は、その金剛の剣だ」(信)
「てめェの痛みはしょってやる」
「だからお前はもう、楽になりやがれ!!」(信)
「俺は長平みてェなことは絶対にやらねェし!」
「絶対やらせねェ!!」(信)
「飲むぞ、小童ァ」
「夜は勝利の美酒に酔いしれる」
「これが戦人の醍醐味じゃァ」(麃公)
「戦は生き物じゃァ、始まってみねば分からぬわ」
「展望などあるかァ」(麃公)
「重要なのは一つ──」
「”火つけ役”が”火の起こし場所”に出現できるかどうかじゃ」(麃公)
「どこの戦場も同様だが」
「秦軍の今ある力だけで、この合従軍をはねのけるのは至難の業じゃ」(麃公)
「成すためには、”中”からの新しい力の台頭が不可欠じゃろう」(麃公)
「つまらぬ感傷に浸っている場合ではないぞ」
「今は国が生きるか死ぬかの瀬戸際じゃろ」
「この大戦(おおいくさ)で化けてみろ、童・信」(麃公)
「(第二将軍) …一言で言うなら、”性格に問題あり”といった所だ」
「それは無論、戦いの天才だからだ」(春申君)
「秦将なんてチンケなもの討つ作戦じゃありませんよ」
「函谷関を落とす作戦ですよ」(媧燐)
「全軍大いなる凡戦を連ねて十日後に函谷関を落とすべし」(媧燐)
「老将には老将にしか務まらぬ役目がある」(蒙驁)
「才能という面なら、王翦や倅の武がおる」
「彼らのそれは六将に決してひけをとらぬ」(蒙驁)
「じゃがあの二人では函谷関は守れぬよ」
「それはなぜか」
「”重み”が足りぬ」(蒙驁)
「親父達……か」
「極端に単純明快な蒙武と、何を考えてるかさっぱり分からん王翦」(蒙恬)
「どっちも困ったもんだよなァ」
「結果、子もひねくれるって…」(蒙恬)
「一緒にするな」
「お前の不真面目さは父親とのことに起因する」
「俺はお前みたいに逃げはしない」(王賁)
「待て、野盗」
「貴様に国を守る覚悟はあるか?」(張唐)
「この国をしょって立つ武将になる覚悟が、貴様にあるかと聞いている」
「野盗・桓騎」(張唐)
「恐らく長期戦に出ているのではない」(昌文君)
「全ての戦場で等しく秦軍(こちら)の弱体化をはかり、機を見て一気に全軍総攻撃をかける」
「長期戦ではなく、逆に最短の短期戦をしかける気だ」(昌文君)
「ここからでは(総攻撃が)いつとは申せません」
「しかし現場の鋭い人間達は、すでに感じ取っているはずです」(昌平君)
「…わざわざ集める必要もなかったようですね」
「ならば皆さんに伝える言葉は一つだけです」
「明日の夜は函谷関の上で祝杯をあげましょう!」(李牧)
「俺の号令に従い、全力で戦え」
「以上だ、解散」(蒙武)
「俺が全中華最強の男・蒙武だ!!」(蒙武)
「この俺を止める者など天下に存在せぬ」
「楚将・汗明よ、貴様の頭はこの蒙武自ら叩きつぶす」(蒙武)
「最強の男が率いる軍勢も最強だ」
「この蒙武軍は無敵である!!」(蒙武)
28巻
「私自身も蒙武の檄に乗せられているのだ!」
「乗せられたまま暴れてやるぞ!」(壁)
「この兵力差──何か工夫をせねばと考えたのなら、それは大きな誤りだ」
「不器用は不器用に戦うのが一番強い」(貝満)
「蒙武は誰よりも勝ちにこだわる男だ」
「俺は信じるぞ、我らの将を」(壁)
「戦ってのは始め方が大事なんだよ」
「そこでその将が何を大切にしているかが分かる」(媧燐)
「私の場合は、”華やかさ”と”恐怖”」
「そしてひとそえの”かわいらしさ”だ」(媧燐)
「(退げる? 援軍?) ……いや、どちらも必要ない」
「獣ごときに遅れをとる二人ではない」(騰)
「戦は人を魅了してなんぼだろ?」(媧燐)
「そういう意味では戦象さん達は、いい仕事をした」
「その大きさ、もの珍しさに敵は、はしゃぎにはしゃいだからな」(媧燐)
「だが、戦場でそれはとても恐ろしいことだ」(媧燐)
「なぜならおっかない奴ほど」
「一緒にはしゃいどいて、気付かれないうちに首に手を回す」(媧燐)
「つまりは、華やかな最初の演目が風に消えた時──」
「ほぼ詰みの布陣が姿を現すってわけさ」(媧燐)
「ここから畳み込まれる中で一つでも対処を誤れば」
「お前ら、昼のお日様は拝めないぜェ?」(媧燐)
「援軍は送らぬ」
「この劣勢配置の中、もはや全ては救えぬ」(騰)
「今は二軍を見殺しにしてでも、本陣の崩壊を防ぐ刻(とき)だ」(騰)
「(大抜擢?) いや、そんなことはない」
「客観的に見て今この状況下で戦えるのは、騰軍内では俺と王賁くらいだ」(蒙恬)
「(じィ) 無茶はよせよ」
「俺の子を抱くまでは死ねないんだろ」(蒙恬)
「作戦通りだ」
「ここを守る歩兵が主力だが、命運を握るのは我ら騎馬隊であること忘れるな」(蒙恬)
「これは長期戦になる、一騎の損失も軽く考えるな」
「騎馬隊(我々)こそが、この戦いの生命線だ!」(王賁)
「巨大井闌車に巨大床弩」
「色んな天才がいるものだな、天下には」(春申君)
「国を守る覚悟だと? クク、笑わせる」
「秦が滅びようがどうしようが、俺の知ったこっちゃねェんだよ」(桓騎)
「(なぜここにいる?) …そうだな」
「一言で言やァ…戦が抜群に強ェからだろ」(桓騎)
「武将だ何だと偉そうにしてるバカ共の何倍もなァ」(桓騎)
「函谷関(ここ)を守りきれるかどうかは」
「この俺の才覚にかかっているからな…」(桓騎)
「今はそれ所じゃねェ」
「あのでけェ弩の出現で、潮目が完全に向こうに行っちまっただろうが」(桓騎)
「笑えねェ流れだ」
「のまれたくなけりゃ、こっちも今すぐでけェ手が必要だ」(桓騎)
「身を切ってエサを差し出すから、でけェ魚が釣れんだろうが」(桓騎)
「心配すんな、雷土。全部上手くいく」(桓騎)
「齢(よわい)十五にして初陣を飾った」
「そこから五十年、矛と共に泥と血にまみれて戦場を渡り歩いて来た」(張唐)
「今では秦軍でも最長の戦歴を持つ老将の一人だ」
「我ながらわるくない道のりであった」(張唐)
「あとはどう儂なりの”花道”を飾るかだ」
「別にそれが戦場で死ぬのなら、それでも構わぬ」(張唐)
「だが……毒は…ない。毒はなかろうが」
「こんなもの武将の死に方ではないわァ」(張唐)
「何をさらしてくれとんじゃ、このゲス共がァ」(張唐)
「……下らぬ。毒は人を殺す効率化を求めた歴(れつき)とした”武器”だ」
「老いぼれの下らぬ武将論でそこを歪めるでないわ」(成恢)
「やはり分かっておらんな、成恢」
「いや、分かるはずがない」(張唐)
「貴様のように己で戦うこともなく、姑息な毒と戯れてきた男には」
「人の力がっ、武将の力が分かるものか」(張唐)
「このたわけがっ」
「大将が背を見せて逃げるなァ!!」(張唐)
「貴様は戦が楽しいのだ」
「己の力で戦に勝つ快感にはまっておる」(張唐)
「…そしてそれは…名武将の持つ気質そのものだ」(張唐)
「腹立たしいが才能も…ある」
「土下座などせぬが…儂と約束せィ」(張唐)
「秦国一の武将となれ、桓騎」
「秦を…頼むぞ」(張唐)
「寝言は死んで言えよ、ジジイ」(桓騎)
「戦況を見るということは自軍の余力を見ることも含む」
「そこを抜かすと味方を多く殺すぞ、愚か者」(麃公)
「もうこうなったら、これも”戦国の女の常”として腹をくくるしかないよ」
「私達は出来る限りの備えをしておいて、後は男達の勝利を祈るだけだよ」(陽)
「この愚か者が」(王翦)
29巻
「矢の残数を考えず射ちまくれ」
「敵は山岳族の寄せ集めだ」
「すでに統制はなく、退却には時間を要する」
「今が討ち刻(どき)だ」(王翦)
「ハゲの第一軍の中で一番見込みがあるのはお前だ」
「ガキだがここで男見せろよ」(媧燐)
「騰の首を挙げたなら、今晩寝所に呼んでやるよ」(媧燐)
「盛り上がって来たねー」
「さァて、私も久々に見せてやるかなァ」(媧燐)
「場所を変えるぞ」
「いーや、もっと面白そうな所へ行くんだよ」(媧燐)
「全て作戦通りだ」
「あいつのな」(蒙武)
「待たせたな、貴様ら」
「俺並に血の気の多い貴様らの出番が一番最後になった」
「だがその沈黙も、全て今この時のためとしれ!!」(蒙武)
「全軍、突撃だァ!!」(蒙武)
「力を示してみよ」
「この汗明本陣は、ただの一万ではないぞ」(汗明)
「蒙武よ、この策は後戻りがきかぬ」
「四万全軍を使いきって、お前を敵本陣に向かわせるからだ」
「失敗は許されぬ」(昌平君)
「溜め込んだ力を爆発させろ」
「何が何でもこの一撃で合従軍の武の象徴、楚軍総大将の首を獲るのだ!」(昌平君)
「いんや、このままでいい」
「何でも早けりゃいいってもんじゃないんだよ」(媧燐)
「媧燐の狙いは恐らく蒙武だ」
「隣の戦場が敗北すれば、今度は汗明軍がこっちに流れ込んで敗北する」(蒙恬)
「それに…父が死んだら……弟が悲しむからな」(蒙恬)
「奇遇だな、俺も中華最強の自負がある」
「貴様もそうだと言うのなら、決めねばなるまい」(汗明)
「中華の注目する今この地で、どちらが本物の漢かをな」(汗明)
「思ったより口数が多い男だ」
「どっちが本物かは決まっている、さっさと来い」(蒙武)
「その武器に剣ではさすがに刃が欠けそうだ」
「十数年ぶりだぞ、俺に”大錘”を持たせる者はな」(汗明)
「どうした、思ったより軽いではないか」(汗明)
「この汗明は失望はせぬ」
「もはや自分が最強であることを知っているからだ」(汗明)
「なぜならとっくに悟っていたからだ」
「この汗明は天の気まぐれで人の枠を越えて生まれ落ちた者」
「超越者であることを」(汗明)
「つまらぬ……か」
「俺は逆だ」(蒙武)
「汗明、俺は貴様ほどの強者と戦うのは初めてだ」
「故に高揚している」(蒙武)
「好敵手に出会えたなどと感傷的なことではない」
「俺がうれしいのは、ようやく、生まれて初めて」
「全力を引き出して戦う刻(とき)が来たからだ」(蒙武)
「汗明、貴様は超越者などではない」
「…ただ、昨日まで相手に恵まれていただけだ」(蒙武)
「大将同士の一騎討ちとは、単純な武力のぶつけ合いではないと言う」
「積み上げた武将としての”格”の力を双肩に宿して戦うそうだ」(仁凹)
「汗明様の双肩には中華の大将軍の力が宿る」
「武才が等しくても、一騎討ちで蒙武が汗明様に勝つことはない」(仁凹)
「蒙武」
「積み重ねた戦歴、大将軍としての”格”、それらが力となって双肩に宿るとするならば」
「汗明の武は今の中華で正に最強やも知れぬ」(昌平君)
「その時、お前であっても汗明は揺らがぬ山に見えるだろう」
「汗明はお前よりも強い」(昌平君)
「だが俺は信じている」
「それを打ち破るのが蒙武という漢だと」(昌平君)
「お前に理屈は必要ない」
「この一戦で天下に示せ、誰が最強の漢であるかを」(昌平君)
「汗明ェ!! 中華最強はこの俺だ!!」(蒙武)
「一騎討ちなんてバカな男の酔狂に付き合う気はない」(媧燐)
「死にはせぬ」
「この蒙武の倅だ、その程度で死にはせぬ」(蒙武)
「なーに、おっ死んでんだよ、あの大男は」
「これじゃあ、私の位が一つ上がっちまったじゃないかよ」(媧燐)
「しかし驚いたな…」
「私の他にも世に名の通っていない怪物がいたとはな」
「蒙武…」(媧燐)
「お気持ちは分かりますが、冷静になって下さい」
「敗戦の地ですぐに何かやろうとしても、ロクなことはありませんよ」(李牧)
「騰や蒙武の首がこの戦いの目的なら、最初から媧燐様はそうしてんだよ」
「この戦いの目的は函谷関の突破だ」(媧燐)
「裏を取るのが目的なら、秦軍を倒すのはその手段だ」
「手段は別に一つじゃねェだろ」(媧燐)
「お前らはみんな全っ然見えてねェんだよ」
「戦象さんから始まり、包囲し、私自ら打って出て、隣の戦場に赴いた」(媧燐)
「全部まやかし、全部ただの目くらましさ」
「本命は今頃もう、目的地に着いてるってお話さ」(媧燐)
30巻
「終わりだ」(媧燐)
「平(ひれ)伏せよ」
「函谷関も、春申君も、李牧も、全員まとめてこの媧燐様に平伏せェェ」(媧燐)
「(命拾い?) ああ、秦国全部がな」(桓騎)
「(戦う力がない?) いや、姿を見せて圧力をかけるだけで十分だ」(壁)
「我々は王翦将軍に救われた」
「将軍は”盾”の役目を果たしてくれたのだ」(昌文君)
「(休め?) オレはいいよ」
「みんなみたいに血を流して戦ってるわけじゃないんだから」
「これくれいどうってことない……」(河了貂)
「事態の深刻さを理解しているのか」
「これ程大がかりな戦争を仕掛けておいて、咸陽はおろか函谷関すら抜けずに手ぶらで帰ることになるとしたら、正に天下の笑い者だ」(呉鳳明)
「……史に愚将として名を刻むぞ」(呉鳳明)
最後まで読んで頂き、ありがとうございました。
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