「北斗の拳」の名言・台詞まとめ

アニメ「北斗の拳(ほくとのけん)」の名言・台詞をまとめていきます。

 

北斗の拳

1話

「199X年…世界は核の炎に包まれた」
「海は枯れ、地は裂け、あらゆる生命体は絶滅したかに見えた」(ナレーション)

 

「しかし、人類は死に絶えてはいなかった」(ナレーション)

 

「核戦争は全ての文明を破壊し尽くし」
「世界は、暴力が支配する恐怖と混乱の時代になっていた」(ナレーション)

 

「お前が逃げたら牢の見張り役のあの子はどうなる」(ケンシロウ)

 

「これから生き延びてくためには」
「水と食料さ!」(バット)

 

「力のある奴がこれを奪い、生きていく」
「暴力が支配するんだ!」(バット)

 

「今の世の中、ガキなんてホントにかわいそうなもんさ」
「まっ、言っちまえば生まれた時代が悪かったってことよ」(バット)

 

「つらいか?」
「この子の幼い目は、多くの地獄を見てきたろうに…」(ケンシロウ)

 

「おまじないをしたのさ」
「しゃべれるようにな」(ケンシロウ)

 

「後は彼女の心次第だ」
「心の叫びが言葉を誘う」(ケンシロウ)

 

「ケーーン!」
「来ちゃ、ダメーーッ!」(リン)

 

「北斗百裂拳!」
「お前はもう死んでいる」(ケンシロウ)

 

2話

「やめておけ」
「一子相伝の暗殺拳・北斗神拳の前には、ボウガンの矢など止まった棒にすぎん」
「貴様に俺は倒せん」(ケンシロウ)

 

「貴様らに、今日を生きる資格はない!」(ケンシロウ)

 

「人間は自分の潜在能力の30%しか使うことが出来んが」
「北斗神拳は残りの70%を使うことに極意がある」(ケンシロウ)

 

「北斗残悔拳!」
「708ある経絡秘孔のうちの頭維を突いた」(ケンシロウ)

 

「指を抜いて、7秒後にお前は死ぬ」
「その7秒間に、自分の罪深さを思い知れ」(ケンシロウ)

 

「(種モミは)実るさ…下に老人が眠っている」(ケンシロウ)

 

3話

「誰もが、心地よい音楽に酔うことが出来る」
「だが、悪の華の悦楽に酔いしれる者は限られている」(シン)

 

「神をも引き裂く執念を持った男と最高の美女だけが」
「楽園の真の支配者となることが出来る」(シン)

 

「スペードは敗れ去った」
「だが…俺にはまだ3枚のジャックがある」(シン)

 

「化け物に答える名前はない」(ケンシロウ)

 

「化け物は化け物小屋で眠っていろ」(ケンシロウ)

 

「そう、そしてお前も同じ運命をたどる」(ケンシロウ)

 

「(スローすぎて)あくびが出るぜ」(ケンシロウ)

 

「ひ…ひで…ぶ~」(ダイヤ)

 

「(助けてくれ?) 村人達もそう言ったはずだな」
「落ちろ! 夢のない眠りの中へ」(ケンシロウ)

 

「はべべ…」(クラブ)

 

「戦いを忘れた者は…死ね!」(シン)

 

「ケンシロウ、所詮お前は俺に敗れた男だ」
「俺には勝てぬ」(シン)

 

「ケンシロウ、もう一度地獄を味あわせてやる」(シン)

 

4話

「ブラッディクロス!?」
「あの紋章を使う男は、やはり…」(ケンシロウ)

 

「ケン…生きているのね」(ユリア)

 

「この輝く朝日をあなたも、どこかで感じているのね」
「嬉しい…それだけで嬉しい」(ユリア)

 

「見よ、ユリア。この宝石の輝きを!」
「今これだけのものを集めることが出来るのは、この世に俺だけだ」(シン)

 

「そしてこの宝石の輝きにふさわしい女は…」
「ユリア、お前だけだ!」(シン)

 

「それだけのものを集めるのに」
「今度はどれくらいの人の命を奪ったのですか?」(ユリア)

 

「わたくしは、その宝石を美しいとは思わない」
「わたくしには人々の苦しみや悲しみ、そして怒りや涙しか見えない」(ユリア)

 

「力こそ正義だ。見ろ!」
「ダイヤですら俺の手の中では粉々になるというのに…」
「ユリア、なぜお前は心を開かぬのだ!」(シン)

 

「人間の心を捨てた豚共め!」
「許さん!」(ケンシロウ)

 

「私の体はゴムみたいなもんでしてね」
「どんな攻撃でも全て柔らか~く包み込んでしまうんです」(ハート)

 

「だから君のへなちょこ拳法も、経絡秘孔などというものに届くまでに…」
「とこうなるのです」(ハート)

 

「私に勝てるのは、キング様の南斗聖拳だけだ」(ハート)

 

「北斗の拳は無敵だ!」(ケンシロウ)

 

「シン! お前を倒すために、俺は地獄の底から這い上がって来た」
「地の果てまでも追っていくぞ!」(ケンシロウ)

 

5話

「来るな! これは俺1人の戦いだ!」(ケンシロウ)

 

「1年前…」
「師よ、安らかに眠りたまえ」
「私のことは心配しないで下さい」(ケンシロウ)

 

「私には、北斗神拳があります」
「そして何よりも、ユリアがいます」(ケンシロウ)

 

「こんな時代だ」
「2人で力を合わせて生きていこう」(ケンシロウ)

 

「今日が俺達の旅立ちの日だ」
「2人は永遠に連れ立って歩く」(ケンシロウ)

 

「誓えるか? ユリア」(ケンシロウ)
「誓います」(ユリア)
「俺も、誓う」(ケンシロウ)

 

「力こそが正義、いい時代になったものだ」
「強い者は心おきなく、好きなものを手に入れられる」(シン)

 

「俺は昔からユリアが好きだった」(シン)
「何を! そう思われただけで死にたくなる」(ユリア)

 

「ますます好きになる」
「俺はそういう気が強くて美しい女が好きだ」(シン)

 

「ケン、ユリアは俺がもらったぞ」(シン)

 

「バカな! ユリアは俺の大事な人だ!」(ケンシロウ)
「それならば力で奪うだけだ!」(シン)

 

「そんな老いぼれの戯言…とうに忘れたわ!」(シン)

 

「お前など俺の敵ではないわ!」(シン)

 

「お前ごときでは俺に勝つことは出来ん」(シン)

 

「お前と俺との間には、致命的な違いがある」
「それは欲望…執念だ!」(シン)

 

「欲望こそが強さにつながる」
「お前にはそれがない」(シン)

 

「ユリア、俺を愛していると言ってみろ」
「言えないのか?」(シン)

 

「これが南斗聖拳の処刑だ」
「普通の人間ならこの1本でも耐えられまい」
「ケンシロウは何本目に死ぬのかな?」(シン)

 

「やめてえ! ケンが死んだらわたくしも死ぬ!」(ユリア)

 

「この処刑を止められるのはお前だけだ」
「お前のたった1つの言葉でいい」(シン)

 

「わたくしの愛する人は、ケンシロウ唯1人」(ユリア)

 

「ユリア、生きてくれ!」
「俺のために生き続けてくれ!」(ケンシロウ)

 

「俺は前からお前の生き方が許せなかった」
「死ねえ!」(シン)

 

「聞こえん。その程度で俺の心が動くと思っているのか?」(シン)

 

「聞いたか、ケンシロウ」
「俺を死ぬほど嫌いだと言った女が、俺を愛するとよ」
「一生どこへでもついていくとよ」(シン)

 

「女の心変わりは恐ろしいのう、ええ?」(シン)

 

「さあ来るんだ、ユリア」
「享楽の花園だ」(シン)

 

「シン。お前を倒すため俺は地獄から這い戻った」(ケンシロウ)

 

「ケンシロウならすぐ近くまで来ている」
「今頃は城の中だ」(シン)

 

「そこが奴の旅の終わりだ」
「今度こそ奴は本当の地獄へ落ちる」(シン)

 

「俺の邪魔をする奴は…死ぬ」(ケンシロウ)

 

「俺は地獄から這い戻った男だ」
「このぐらいのことでは死なん」(ケンシロウ)

 

6話

「シン、あなたは何も分かっていない」
「わたくしが欲しいのは海のような優しさ」
「緑の草原のような瞳の輝き」
「太陽のような温かい心」(ユリア)

 

「ケンシロウ、見てみろ」
「お前が地獄をさまよっている間に俺が地上で築いたものを」
「俺の命令1つで何千何百のつわものがお前を襲う」(シン)

 

「お前の肉体は砂漠のチリとなり、お前の心は闇をさまよう」
「見てろ、ケンシロウ。俺の力を…」(シン)

 

「お前のバカ力などこんなもの(指1本)だ」(ケンシロウ)

 

「無駄だ。お前らのようなハイエナに負ける北斗神拳ではない」(ケンシロウ)

 

「(殺されに来た?) 死ぬのは、お前達の方だ!」(ケンシロウ)

 

「(久しぶり?) そして、お前が地獄へ行く前に会った最後の男になる」(ケンシロウ)

 

「どうだ、これから処刑される気分は?」(ケンシロウ)

 

「お前には地獄がふさわしい」(ケンシロウ)

 

「不幸な時代だ」(ケンシロウ)

 

7話

「なんの関係もない人々を、ただ虫けらのように殺した罪は許せん」
「あいつはもう死んでいる」(ケンシロウ)

 

「お前達の攻撃など少しもこたえていない」
「ボスを倒すためにわざと捕まったのだ」(ケンシロウ)

 

「そうか、どうやら死ななければ分からないようだな」(ケンシロウ)

 

「北斗神拳は潜在能力を100%使い切る」
「毒への抵抗力もお前らとでは比較にならん」(ケンシロウ)

 

「俺にしてみれば、レッドベレーなど赤子も同然だ」(ケンシロウ)

 

「殺されたことに気がつかなかったようだな」(ケンシロウ)

 

「貴様のような奴を、俺が生かしておくと思うか」(ケンシロウ)

 

8話

「ゴッドアーミー、神の名をかたるならず者達」
「善良な人々を恐怖に陥れた罪、許すことは出来ん」(ケンシロウ)

 

「しばらく眠ってもらうぜ」(ケンシロウ)

 

「ケン、死んじゃ嫌。死ぬなら私も一緒」(リン)

 

「俺は超能力者だ。貴様の動きは全て読める」(カーネル)

 

「北斗神拳・空極流舞!」
「空気の動きを知り、流れに逆らわずに飛ぶ」
「どこから攻めても無意味だ!」(ケンシロウ)

 

「お前の拳法はしょせん真似事に過ぎぬ」
「俺は生まれた時から戦いのプロだ」(ケンシロウ)

 

「2000年の北斗神拳の血が技が、俺の体に染み付いている」(ケンシロウ)

 

「既に俺は、経絡秘孔の1つ”瞳明”を突いている」
「今度は貴様が暗闇に怯える番だ」(ケンシロウ)

 

「貴様に、明日の光はない!」(ケンシロウ)

 

9話

「早死にしたくなかったら、こういう物はしまっておくんだな」(ケンシロウ)

 

「(演奏を続けろ?) 心の嘆きをですか?」
「わたくしの…」(ユリア)

 

「ケンはきっと、どこかで生きている」
「わたくしを必ず、助けに来てくれる」
「今にきっと…」(ユリア)

 

10話

「このワインは村人の血だ」
「そして、村の人達は息子や娘を奪われている」(ケンシロウ)

 

「人の生き血をすする吸血鬼共」
「お前達に生きている資格はない」(ケンシロウ)

 

「お前の遺言か?」
「冴えないセリフだな」(ケンシロウ)

 

「目で追うな、心で気配を見るのだ」(ケンシロウ)

 

「パトラも1人では地獄への旅が寂しかろう」
「お前が送ってゆくがいい…死ね」(ケンシロウ)

 

「シン。わたくしは、あなたのしもべではありません」(ユリア)

 

「今日はなぜか、心が弾むのです」
「木枯らしさえ、歌声に聞こえます」(ユリア)

 

「わたくしの命、わたくしの希望」
「わたくしには見える、ケンが近づいて来るのが…」(ユリア)

 

11話

「やるだけ無駄だ、去れ」(ケンシロウ)

 

「わずかな水のために、幼い子まで危険な目に遭う」
「嫌な時代だ」(ケンシロウ)

 

「帰れ、俺の敵ではない」(ケンシロウ)

 

「聞こえんな、悪党の泣き声は」(ケンシロウ)

 

12話

「”新一”という秘孔を突いた」
「お前は自然にしゃべり出す」(ケンシロウ)

 

「それだけ喋れば十分だ」
「いずれにせよお前は死ななければならない」(ケンシロウ)

 

「ジャッカル、今まで人を追い回すことしか知らなかったケダモノめ」
「追われる恐怖をじっくりと味わうがいい」(ケンシロウ)

 

「無駄だ、ジャッカル!」
「追い込まれれば、ネズミでも牙をむくという」
「逃げてばかりいないで、お前も戦ったらどうだ」(ケンシロウ)

 

「北斗神拳は万に1つもない」
「絶対に勝つ」(ケンシロウ)

 

「それでは、貴様の処刑を始めようか」(ケンシロウ)

 

13話

「ジャッカル。悪党の最期、しっかりと見届けてやる」(ケンシロウ)

 

「よかろう。仁王拳がデビルの化身なら」
「北斗神拳は戦う神・インドラの化身であることを教えよう」(ケンシロウ)

 

「この転龍呼吸法の奥義は、静から動に転じる時にある」
「そして、その奥義を見た者は死あるのみ」(ケンシロウ)

 

「北斗七死星点!」
「呼吸法により極限まで力をため、7つの経絡秘孔を突いた」
「後は死あるのみ」(ケンシロウ)

 

「得意の芝居で、もう一度説得してみるんだな」
「説得できたら、お前は助かる」(ケンシロウ)

 

「眠れ、悪魔達よ」(ケンシロウ)

 

「ケン、わたくしは生きていきます」
「あなたとの約束を守ります」
「どんなことがあっても…」(ユリア)

 

「あの微笑み」
「なぜ俺には与えてくれぬのだ、ユリア…」(シン)

 

「ケンシロウ…どうやらお前は昔のケンシロウではないようだな」
「だがお前はこのサザンクロスに来ることは出来ん」(シン)

 

「今より強い南斗聖拳の勇者達が、お前を襲う」
「お前の地獄はこれからだ」(シン)

 

14話

「いつ見ても美しい街だ」
「今の世の中、どこを捜してもこれ以上美しい街はあるまい」(シン)

 

「ユリア、見ろ」
「太陽でさえ、この街を照らすためだけに輝くのだ」(シン)

 

「わたくしに見えるのは、遥か彼方の荒野だけ」(ユリア)

 

「あなたはまだ、血に染まった自分の手が見えない」(ユリア)

 

「無理だ。この世で俺より強い奴はいない」(ケンシロウ)

 

「具足という秘孔を突いた」
「お前の足はもはや、勝手に進むのみ」(ケンシロウ)

 

15話

「お前達の相手をしている暇はない」
「どけ」(ケンシロウ)

 

「死者の眠りさえ奪うとは…許せん!」(ケンシロウ)

 

「弔いの鐘は既に鳴った」
「3つ数えろ…死ね」(ケンシロウ)

 

16話

「誰だ、死に急ぐ者は?」(ケンシロウ)

 

「何本に見えようともムチは1本」
「北斗神拳の前には子供の縄跳びだ」(ケンシロウ)

 

「北斗繰筋自在拳、2人の経絡秘孔を突いた」
「お前達の手は自然に互いの体を強く抱きしめ合う」(ケンシロウ)

 

「似合いのカップルだ」(ケンシロウ)

 

「ユリア…俺はお前の心が欲しい!」
「そのためにも必ず…必ずケンシロウを…倒す!」(シン)

 

17話

「天空に2つの極星あり、すなわち北斗と南斗」
「だが暗殺拳に2つの星は要らぬ」(シン)

 

「この世に光り輝くのは、我が南斗聖拳だけだ!」(シン)

 

「ケンシロウ…わたくしの婚約者」
「命よりも大切な人…」(ユリア)

 

「この俺の戦いは全て、ユリア…お前のためなんだ」(シン)

 

「もうすぐだ、ユリア」
「もうすぐお前に、きらめくような街をプレゼントするぞ」(シン)

 

「そこでは何もかもがお前のものだ」
「お前は女王だ!」
「全ての人間がお前の前でひれ伏す」(シン)

 

「そうすればお前の気持ちも変わる」
「絶対に変わる!」(シン)

 

「わたくしの気持ちは変わらない」
「ケンとの約束がある限り…」
「どんなことがあっても、生きてゆかなければならない」(ユリア)

 

「ケンシロウ、ユリアは俺のものだ」
「絶対にお前には渡さん!」(シン)

 

18話

「ケンシロウ、お前の姿が見える」
「地獄の底に這いつくばり、あえぐお前の姿がな」(シン)

 

「やめろ」
「お前の捜している男は、ここだ」(ケンシロウ)

 

「何か、言い残すことはないか?」(ケンシロウ)

 

「ここまでだ。停角という秘孔を突いた」
「お前の体は、もう自分の意思では動けない」(ケンシロウ)

 

「大事な鉄の棺桶の中で…死ね」(ケンシロウ)

 

19話

「ほう…俺に従えんと言うのか?」
「この俺が掟ではないのか?」(シン)

 

「喜べ。お前の技が初めて人の役に立つ」(ケンシロウ)

 

「名も知らぬ男が、人々のため死を覚悟して俺に会いに来た」
「いや、無駄ではない」(ケンシロウ)

 

「彼の残した言葉に鍵がある」
「”緑の大地、悪魔の目”」
「シン。とうとうお前の影が見えてきた」(ケンシロウ)

 

「俺は必ずお前を倒す!」
「そして、人々とユリアを救い出す」
「待っていろ、シン!」(ケンシロウ)

 

20話

「キングは私から全てのものを奪った男だ」
「必ずこの手で倒す」(ケンシロウ)

 

「せっかくだが、私に武器は必要ない」(ケンシロウ)

 

「ジェニファーの仇は必ず取る」
「お前達は死を覚悟しろ」(ケンシロウ)

 

「悪党共、逃しはしない」(ケンシロウ)

 

「くだらん武器を蘇らせて操る愚か者め」
「この俺が許すと思うのか?」(ケンシロウ)

 

21話

「ケン…本当に死んじゃったの?」
「私そんなの信じない」
「ケンはきっと生きている」(リン)

 

「しかし本当に奴は死んだのか?」
「奴の死体を確認したわけではない」(ジョーカー)

 

「奴は今までも、幾多の死地から脱出してきた男だ」(ジョーカー)

 

「お前の美しさを称えるために作った像だ」
「今はただの石像だが、世界中より黄金と宝石を集めて飾り立てよう」(シン)

 

「お前は美の女神として永遠に名を残す」(シン)

 

「(また戦い?) そうだ、俺の力を見せつけるために」
「お前の美しさを知らしめるために俺は戦う」(シン)

 

「また多くの血が流れる…」
「罪のない人々が苦しむ…」(ユリア)

 

「この俺に逆らうというのか?」
「よかろう、相手になってやろう」(シン)

 

「思い上がるな、将軍」
「あれしきのことでキングの座が取れると思ったのか?」(シン)

 

「人に頼らず自分の力でキングの座を奪い取ってみよ」(シン)

 

「貴様の最後の技、見切ったぞ」
「間合いを詰めすぎたのが敗因だったな」(シン)

 

「今度は俺の奥義を見せてやろう」
「南斗飛竜拳!」(シン)

 

「体をいくら鍛えても無駄だ」
「南斗聖拳は地上のどんな物質をも力で打ち砕く」(シン)

 

「自分の力を見誤ったようだな」
「その思い上がり後悔せよ」
「死ね!」(シン)

 

「北斗神拳は2000年の一子相伝」
「どんな状況でも生き抜いてみせる」(ケンシロウ)

 

「(逃げる?) これも星の巡り合わせ、時が来たのよ」
「お前とはいつか戦う運命(さだめ)だったのだ」(ジョーカー)

 

「シンに伝えよ、ユリアは必ず俺が助け出すと」
「そうすれば貴様の命、助けてやろう」(ケンシロウ)

 

「ケン…あなたもサキもいない。わたくしは独りぼっち」(ユリア)
「ユリア、お前には俺がいる」(シン)

 

「シン、あなたには分からない」
「あなたは戦士…広大な帝国さえ築くでしょう」(ユリア)

 

「でも、わたくしが欲しいのは」
「海のような優しさ、太陽のような温かい心、草原を渡る風の輝き」(ユリア)

 

「燃えている…街が燃えている」
「俺の築き上げたものが、全て失われてゆく…」(シン)

 

22話

「虚しいわ。力だけで築いたものは、やがて崩れていくのね」(リン)

 

「邪魔しちゃいけねえよ」
「今日はケンとシンにとって、北斗神拳と南斗聖拳にとって一番長い日なんだ」(バット)

 

「シン、とうとう追い詰めたぞ!」(ケンシロウ)

 

「ユリア、もう一度やり直そう。新しい街を作るんだ」
「このサザンクロスより華麗できらびやかな街を…」(シン)

 

「俺ならば出来る、お前がいてくれれば出来る」
「ユリア…」(シン)

 

「ユリア…やはり答えてはくれぬのか?」
「心を開いてはくれぬのか?」(シン)

 

「シン。貴様に会うために、地獄の底から這い上がってきたぜ」(ケンシロウ)
「ケンシロウ、久しぶりだな」(シン)

 

「ユリアはどこだ?」(ケンシロウ)
「自分で見に来たらどうだ」(シン)

 

「忘れてもいい」
「生きていてくれただけで…」(ケンシロウ)

 

「ケンシロウ、お前は俺に敗れた男」
「何度やっても同じことだ」(シン)

 

「だが己の愛した女の前で切り刻まれるのも面白かろう」(シン)

 

「逃げ足だけは速くなったな」
「だが貴様には俺の技を見切ることは出来ん」(シン)

 

「ケンシロウ、もう一度貴様をあの地獄へ突き落としてやる」(シン)

 

「や…やはりお前は、昔のケンシロウではないな」
「なぜ?」(シン)

 

「執念だ…」
「俺を変えたのは、貴様が教えた執念だ!」(ケンシロウ)

 

「今の俺には、お前など敵ではない」
「やめておけ」(ケンシロウ)

 

「貴様の執念など、たかが知れてるわ」(シン)

 

「シン、貴様の技は全て見切っている」
「貴様の負けだ」(ケンシロウ)

 

「俺様を見下したような台詞は吐くな!」(シン)

 

「安心しろ。秘孔は外してある」(ケンシロウ)

 

「たとえ物音1つ立てずに近づこうとも、俺の背後を取ることは出来ん」(ケンシロウ)

 

「た…確かに貴様の執念は見せてもらった」
「ならばその執念の元を断ってやろう」(シン)

 

「ユリア…死に顔までも美しい」(シン)

 

「この俺を倒しても、ユリアはもういない」
「これで貴様の執念も半減したというわけだ」(シン)

 

「シン…貴様だけは殺す!」(ケンシロウ)

 

「貴様の奥義を破ったのは…怒り!」
「執念に勝る、俺の怒りだ」(ケンシロウ)

 

「俺の命は、後どのくらいだ」(シン)

 

「ブラッディクロスの形に秘孔を突いた」
「お前の紋章を抱いて死ね」(ケンシロウ)

 

「(後) 3分だ」(ケンシロウ)

 

「そう…俺達の戦いは…まだ終わっていない」(シン)

 

「いない…ユリアはもう…いないんだ」
「俺とお前の戦いは、永遠に決着がつかないんだ」(シン)

 

「あなたは、また同じことを繰り返すのですか…」
「今までよりも、もっとひどいことを…」(ユリア)

 

「あなたは、わたくしの心が変わらない限り、同じことを続けるのですね」(ユリア)

 

「また罪もない人々が、何人も…死んでゆく」
「そんなこと、もうわたくしには…」(ユリア)

 

「ケン…あなたとの約束、守れなかった…」(ユリア)

 

「バカな…な…なぜ…なぜだ、なぜだ…」
「ユリアーーッ!」(シン)

 

「泣いた…生まれて初めて俺は泣いた」(シン)

 

「最後まで…とうとう最後までユリアの心をつかむことは出来なかった」
「ユリアの中には、いつでもお前がいたからだ」(シン)

 

「この街…ユリアのために築いたサザンクロスが」
「今では灰となってしまったサザンクロスが…」
「あいつの墓標になってしまった」(シン)

 

「見ろ! ユリアの墓標を、サザンクロスの街を」
「だがこんな街も富も権力も、全て虚しいだけだ」(シン)

 

「俺が欲しいものはたった1つ!」
「ユリアだぁぁぁーーー!!!」(シン)

 

「どうやらここまでのようだな」
「だがな、俺はお前の拳法では死なん!」(シン)

 

「ケンシロウ…さらばだ!」(シン)

 

「同じ女を、愛した男だから…」(ケンシロウ)

 

「さらば…宿敵(とも)よ」(ケンシロウ)

 

第2部 風雲龍虎編

23話

「もうその辺でやめておけ、ハイエナ野郎」(ケンシロウ)

 

「貴様がボスか?」
「これ以上やると死ぬことになる」
「こいつらを連れてさっさと消えろ」(ケンシロウ)

 

「もう花なんて…咲かないと思ってた」(リン)

 

「お見事、なかなかの腕ね」
「大抵の男はこれで額を割られているわ」(マミヤ)

 

「水が欲しければ自分達で掘れ」
「食い物が欲しければ畑を耕せ」(ケンシロウ)

 

「それをせず、略奪と殺しに明け暮れるハイエナ野郎」(ケンシロウ)

 

「武器を置いて立ち去れ」
「それとも死にたいのか」(ケンシロウ)

 

「死ね、悪党共」(ケンシロウ)

 

「迷い言は地獄で言え」
「お前はもう死んでいる」(ケンシロウ)

 

「そうかい。ではそいつ(食い物)をいただくとするか!」(レイ)

 

「女の格好をしていれば、貴様らのようなウジ虫がすぐ飛びついてきやがる」
「そんなお前らでも役に立つことはある」(レイ)

 

「それは…俺の所へ食い物を運んでくることだ」(レイ)

 

「俺か? 俺の名は…レイ」
「南斗水鳥拳のレイだ!」(レイ)

 

「(やめろ?) もう遅い」(レイ)

 

「(かわした奴はいない?) では俺が最初の男になってやろう」(レイ)

 

「俺の動きをとらえることは出来ん」(レイ)

 

「七つの傷の男!」
「俺はお前を殺すまで、たとえ泥をすすってでも生き延びる!」(レイ)

 

24話

「この花はね、あなた達の幸せな未来を示しているのよ」(マミヤ)

 

「この花が村いっぱいに咲くようになった時」
「悲しい思いをする子はもういなくなってるわ」(マミヤ)

 

「こんなに…こんなに水が…」
「髮を洗えるほど…」(リン)

 

「う~ん…(ケンは)あったかいの」(リン)

 

「美しい…盗賊達に渡すには惜しい」(レイ)

 

「次に死にたい奴、前に出ろ」(ケンシロウ)

 

「気が変わった」(レイ)

 

「奴等とお前とでは勝負は見えている」
「俺は強い方に寝返っただけだ」(レイ)

 

「俺は生きねばならん」
「胸に七つの傷の男を殺すまでは!」(レイ)

 

「俺のたった1つの目的だ」
「そのために人を裏切り、人を殺し、今日まで生き延びてきたのだ」(レイ)

 

25話

「助けに行くことは、私が許しません」
「表に出たら奴等の思うツボ」
「また犠牲者を増やすだけよ」(マミヤ)

 

「奴等に捕まったのはコウが無謀なことをしたからです」
「そんな男のために、巻き添えを食うことはありません!」(マミヤ)

 

「それは、コウも分かっているはず…」(マミヤ)

 

「弱い人間から先に死んでいく世の中」
「女の言ってることももっともだ」(レイ)

 

「いいえ、今は泣いてる時ではありません」
「私は、みんなの命を守る義務があります」(マミヤ)

 

「お父さん…お母さん…こんな戦いがいつまで続くのでしょうか?」
「私は…私は…人が言うほど…強い女じゃない」(マミヤ)

 

「お前はここから動かぬことだ」
「経絡秘孔の1つ”新伏免”を突いた」
「1歩でも動いたら…ボンッだ」(ケンシロウ)

 

「貴様らごとき、南斗聖拳の前にはゴミクズ同然」(レイ)

 

「わめいてないでさっさとかかってこい」
「雑魚が1000匹かかってこようと俺は倒せん」(レイ)

 

「よくしゃべる狼だ」(ケンシロウ)

 

「お互い、女の涙には弱いと見えるな」(レイ)

 

「(痛くもかゆくもない?) しかし、お前の命は後7秒だ」(ケンシロウ)

 

「もはや、アイリは殺されたかもしれん」
「だが、俺にはそうは思えない」(レイ)

 

「俺には見える、アイリの泣き顔が…」
「俺を呼ぶアイリの声が今も聞こえるんだ!」(レイ)

 

「悲しいプレゼントだ」(ケンシロウ)

 

26話

「(マミヤさん) でもどこか寂しそう」
「何かが違う、きっと何かを捨ててるんだわ」(リン)

 

「でも…戦うって不幸せなことなのよ」(マミヤ)

 

「お前が戦うことはない」
「お前は女だ」(レイ)

 

「私はとうに女を捨てたわ」(マミヤ)

 

「今のあなたの目の前に立っているのは、女ではない」
「この村を守るための、1人の戦士マミヤよ!」(マミヤ)

 

「女でなければ、胸を隠す必要などない」(レイ)

 

「いいか、女は自分の幸せだけ考えていればいいのだ」(レイ)

 

「女は戦闘服より、これがよく似合う」
「アイリが着けるはずだった、ケープ…」(レイ)

 

「いつの日か、お前にも純白のケープを贈ろう」(レイ)

 

「(ついて来る?) 死ぬぞ」(レイ)
「構いません!」(マミヤ)

 

「お前のような腰抜けが、七つの傷の男のはずはないな」
「死ねい!」(レイ)

 

「レイ…もし俺の胸にも七つの傷があるとしたら、どうする?」(ケンシロウ)
「何いっ!」(レイ)

 

「悪い冗談だ。俺は悪党共の中を生き抜いてきた男」
「目を見れば、そいつがどんな男か分かるつもりだ」(レイ)

 

27話

「寒い…とっても寒い」
「ケンがいない町。それがこんなに寒いなんて」(リン)

 

「ではそろそろ、化け物退治といくか」(ケンシロウ)

 

「北斗神拳は2000年にわたる一子相伝」
「お前の動きなど最初から見切っている」(ケンシロウ)

 

「ア…アイリ、俺が分からんのか!」(レイ)

 

「どれほど、むごい目に遭ったのか」
「彼女には、お前の声が届いていない」(ケンシロウ)

 

「そんな…そんな…」
「生きて兄さんに会えるなんて」(アイリ)

 

「兄さんに会えるのだったら…」
「私、希望を捨てるんじゃなかった」(アイリ)

 

28話

「俺はお前達を抹殺するために雇われた男だ」
「もしその娘を殺せば、百倍千倍にして返す!」(ケンシロウ)

 

「落ち着け、レイ」
「奴等の狙いはまず俺達のどちらかを殺すことだ」(ケンシロウ)

 

「奴の挑発に乗るな」
「南斗と北斗が戦ったら、どうなるか考えろ」(ケンシロウ)

 

「同じだ」
「俺もかつて1人の女のためだけに生きた」(ケンシロウ)

 

「俺は、ある男に俺の婚約者ユリアを奪われた」
「そのユリアをこの手に取り戻すためだけに俺は生きた」(ケンシロウ)

 

「だが…ユリアは既に死んでいた」
「そして、死闘の果てに残ったものは、例えようもない孤独だけだった」(ケンシロウ)

 

「俺は、お前とは戦いたくないだけだ」(ケンシロウ)

 

「お前といると、ふと昔を思い出す」
「お前はなぜか、平和な時代の懐かしい匂いがする」(レイ)

 

「だが、お前を倒さねばならん!」
「いくぞ!」(レイ)

 

「なぜだ! なぜ戦おうとせん?」
「仮にも南斗聖拳を極めたこの俺に、無防備の男を殺せと言うのか!」(レイ)

 

「やはり貴様が死ぬしかない!」(レイ)

 

「レイ。奥義を尽くさねば、この俺は倒せんぞ」(ケンシロウ)

 

「敵を欺き活路を開くのも我等が拳法の奥義!」(レイ)

 

「悪党共にルールは無用」
「お前は最初から死神に取り憑かれている」(ケンシロウ)

 

29話

「悪党、死すべし」(ケンシロウ)

 

「お前達のために多くの人々が苦しみ、そして死んだ」
「人の心を知らぬ悪党共、お前達に生きている資格はない」(ケンシロウ)

 

「汚えツラ近づけるな!」(ケンシロウ)

 

「悪党共! 俺が相手をしてやる!」(レイ)

 

「その(鋼鉄の)体、この鉄柱で試してやろう」(ケンシロウ)

 

「よほど俺の拳を味わいたいらしいな」(ケンシロウ)

 

「”大胸”という秘孔を突いた」
「お前の筋肉はもはやブヨブヨの脂肪だ」(ケンシロウ)

 

「貴様らはこの俺が生かしておかん!」(レイ)

 

「お前にかける情けはない」(ケンシロウ)

 

「お前の肉体は既に死に始めている」
「確実な死は5つ数え終わった時だ」
「念仏でも唱えろ!」(ケンシロウ)

 

「これで俺達の仕事も終わったというわけだ」(レイ)

 

「(これから?) アイリと、どこか静かな所で暮らすさ」(レイ)

 

「ケン。例えお前がアイリを連れ去った本人だと言っても、俺は信じない」
「それぐらい俺には分かる」(レイ)

 

「おいお前、俺の名を言ってみろ?」(ジャギ)

 

30話

「(頼み?) 例え命を寄越せと言われても拒まん」(レイ)

 

「今度の敵は恐らく身内…北斗神拳同士の戦いになる」(ケンシロウ)

 

「俺には3人の兄弟がいた」
「我が父リュウケンは男の子に恵まれず、4人の養子を取った」(ケンシロウ)

 

「だが、北斗神拳は一子相伝」
「奥義を伝えられるのは唯1人…」(ケンシロウ)

 

「そのため、兄弟の間に血で血を洗う多くの悲劇が起きてしまった」
「俺はこの手で、継承者争いの決着をつけねばならん」(ケンシロウ)

 

「今度こそ、生きて帰れぬかもしれん」(ケンシロウ)

 

「死ぬなよ」(レイ)

 

「追っても無駄…」
「あの人は、この服を見ても眉1つ動かさなかった」(マミヤ)

 

「あの人は…ケンの心の中には、今でもユリアさんの面影が生きている」
「その面影がある限り、あの人はあえて自分を戦いの中に…」(マミヤ)

 

「それほどこいつの名が知りたいか?」
「ならば教えてやろう」(ケンシロウ)

 

「こいつの名はジャギ」
「かつて、兄と呼んだ男だ」(ケンシロウ)

 

「どのような手を使おうと、要は勝てばいいのだ」(ジャギ)

 

「親父、見たか?」
「この通りケンシロウは、まだひよっこだ」(ジャギ)

 

「これでは北斗神拳を継ぐことは出来ん」
「継承者は俺と、早く決めたらどうだ」(ジャギ)

 

「いいか、ケンシロウ」
「お前が俺に勝つことなどあり得ん」
「絶対にあり得んのだ」(ジャギ)

 

「ケンシロウ、なぜわざと負けた?」
「義理とはいえ兄だからか?」(リュウケン)

 

「だがそのお前の優しさは、いずれ災いとなってお前に降りかかるであろう」
「特にジャギ、あの男はな」(リュウケン)

 

「北斗神拳は2000年の一子相伝」
「お前ごときが使えるほど甘くはない」(ケンシロウ)

 

「ジャギ! 俺は北斗神拳唯一の継承者として」
「必ずこの拳で決着をつける」(ケンシロウ)

 

「この世に兄より強え弟なんぞ、存在しねえ!」(ジャギ)

 

「ケンシロウ。2000年の永きにわたる無敵の暗殺拳」
「北斗神拳唯一の継承者の座、この俺がもらったぞ」(ジャギ)

 

31話

「ジャギ…貴様には、地獄すら生ぬるい!」(ケンシロウ)

 

「親父の言う通り、かつての俺の甘さが」
「今のこの事態を生んでしまったのか?」(ケンシロウ)

 

「この痛み…お前たち兄弟が受けた痛みとして…」
「必ずあの男に届けよう」(ケンシロウ)

 

「やめろ!」
「お前達が束になってもこの俺には勝てん」(ケンシロウ)

 

「この胸の傷の痛み、分かったか?」(ケンシロウ)

 

「よ~っく見ろ!」
「俺のこの姿がケンシロウへの憎しみの全てだ!」
「分かるかーーっ!」(ジャギ)

 

「場所を選べ」
「そこがお前の死に場所だ」(ケンシロウ)

 

32話

「相変わらずそんなもの(銃)に頼っているのか?」(ケンシロウ)

 

「早く死に場所を選べ」
「貴様は死すべき男だ」(ケンシロウ)

 

「ほざくな!」
「今の俺は昔の俺じゃあねえ!」(ジャギ)

 

「ここ(屋上)なら邪魔が入ることもない」
「これで心おきなく貴様を殺せるってわけだぜ」(ジャギ)

 

「どういう心境の変化だ」
「闇討ちが得意のお前が」(ケンシロウ)

 

「貴様あの時、俺に勝ったとでも思ってるのか?」
「思い出してみろ」
「あの時のこと、よ~く思い出せ」(ジャギ)

 

「分かっているのか、兄者達は?」
「北斗神拳は一子相伝、伝承できるのは唯1人」(ジャギ)

 

「俺は知っているぞ」
「伝承者争いに敗れた人間がどういう運命をたどるのか」(ジャギ)

 

「拳を封じられ、名乗ることも許されん」
「そのためある者は拳を潰され」
「またある者は記憶を完全に奪われた」(ジャギ)

 

「それが北斗神拳を目指し、そして敗れた者の」
「2000年の永きにわたって受け継がれてきた宿命なのだ!」(ジャギ)

 

「ふぬけたか、兄者達は!」
「だが俺は許さねえ、認めねえ!」(ジャギ)

 

「この俺の拳を俺より劣る弟に、潰されてたまるか」(ジャギ)

 

「奴ではケンシロウに勝てぬ」
「だが、ケンシロウはジャギを殺せまい」
「親父は伝承者を誤った」(ラオウ)

 

「2000年の北斗神拳も、もはやこれまで…」(ラオウ)

 

「よいな、ケンシロウ」
「北斗神拳が一子相伝である理由は」
「この拳法が無敵の暗殺拳であるからじゃ」(リュウケン)

 

「決して誤って使ってはならぬ」
「誤った人間が伝承すれば、この世は滅びるであろう」(リュウケン)

 

「なぜ含み針や銃を使う」
「どうして拳だけで戦おうとしない」(ケンシロウ)

 

「うるせえ!」
「俺は拳法だけが全てだとは思っちゃいねえんだ」
「要は強ければいいのよ」(ジャギ)

 

「どんな手を使おうが勝てばいいのよ」
「それが全てだ!」(ジャギ)

 

「この俺様が伝承者になれば」
「北斗神拳はますます強くなるんだ!」(ジャギ)

 

「行け。貴様に伝承者の資格はない」(ケンシロウ)

 

「バカめ、今が俺を殺す最後のチャンスだったんだ」
「それを逃した貴様の不運、思い知らせてやる」(ジャギ)

 

「いいかケンシロウ、殺してやる」
「必ず殺してやるからな!」(ジャギ)

 

「この矢が何か分かるか?」
「お前は、まだ年端もゆかぬ子供まで操り、俺を殺そうとした」(ケンシロウ)

 

「この矢には、その子供達の怒りと悲しみが込められている」(ケンシロウ)

 

「そんなクズ共の命など」
「この傷の痛みの比ではないわ」
「見るがいい」(ジャギ)

 

「この傷が痛むたびに」
「貴様への憎悪を燃やし募らせて生きて来たのだ」(ジャギ)

 

「ケンシロウ、覚悟しろ!」
「あの時は俺が足を滑らせたおかげで運良く勝てたが」
「今度は貴様が俺のようなツラになる番だぜ」(ジャギ)

 

「まだ気がつかないのか?」
「あれは足が滑ったのではない」
「既に俺が秘孔を突き、貴様の足の自由を奪っていたのだ」(ケンシロウ)

 

「だが、今は貴様を生かしておいた自分の甘さを後悔している」
「その悔いを今この場で断つ」(ケンシロウ)

 

「これから貴様に生き地獄を味わわせてやろう」(ジャギ)

 

「こんな物(銃)、もはや使うまでもないわ」
「今こそ己に、北斗神拳の真髄を見せてやるわ」(ジャギ)

 

「見ろ。この俺様の速い突きがかわせるか?」(ジャギ)

 

「(銃を)使え、無理をするな」(ケンシロウ)

 

「バカめ、勝てばいいんだ」
「何を使おうが勝ち残ればな」(ジャギ)

 

「(勝てばいい?) 銃で俺を殺せればな」(ケンシロウ)

 

「早く離さんと、指が引き金を引くぞ」(ケンシロウ)

 

「こ…この非情さ、この凄み」
「昔のケンシロウではないな」(ジャギ)

 

「俺は今日まで、無数の敵の血を流してきた」
「友とも呼べるライバル達…」
「その友たちの血が俺を変えた」(ケンシロウ)

 

「貴様の命も…ここまでだ」(ケンシロウ)

 

「なぜ俺がこのヘリポート(屋上)を選んだと思う?」
「俺にはガソリンという切り札があったのだ」(ジャギ)

 

「どこに逃げようとも炎が貴様を追い詰める」
「ここは地上200メートルだ」
「貴様はどこにへも逃げられん」(ジャギ)

 

「俺はこの顔の痛みを、いっときも忘れたことはなかった」
「今度はお前がその痛みを味わう番だ」(ジャギ)

 

「まだ分からんのか」
「死ぬのは貴様だ!」(ケンシロウ)

 

「貴様が黒焦げになる前に面白い話をしてやろう」
「貴様が友と呼んだシン」
「そのシンの魂を悪魔に売らせたのはな、この俺様よ」(ジャギ)

 

「ジャギ、俺の名前を言って見ろ」(ケンシロウ)

 

「今さら逃げても無駄だ」
「ここは、貴様が選んだ死に場所だ」(ケンシロウ)

 

「その通り、俺も昔のジャギではない」
「俺の北斗神拳は見切れても、南斗聖拳は見切れまい」
「今度こそ貴様のツラ、八つ裂きにしてやる」(ジャギ)

 

「そんなスローな南斗聖拳では、俺は殺せん」(ケンシロウ)

 

「貴様の謀略のために地獄を見た4人の怒りと悲しみ」
「じっくりと味わうがよい」(ケンシロウ)

 

「もはや北斗神拳の真髄すら忘れたか」
「怒りは肉体を、鋼鉄の鎧と化すことを!」(ケンシロウ)

 

「最後にこれは…貴様によって全てを失った、俺の…」
「俺の…この俺の怒りだーーっ!」(ケンシロウ)

 

「貴様には、その醜い死に様がふさわしい」
「あと数秒で、貴様の肉体は地上から消えうせる」
「終わりだ」(ケンシロウ)

 

「終わりだと? バカ言え!」
「これが貴様の地獄行きの始まりよ」(ジャギ)

 

「貴様にはまだ2人の兄がいることを忘れたか」
「貴様の地獄が目に見えるわ!」(ジャギ)

 

33話

「もし生きているなら、俺は会わねばならん」
「特にトキ、あなたには…」(ケンシロウ)

 

「手を離せ」
「死に急ぐこともあるまい」(ケンシロウ)

 

「北斗七星は死をつかさどる星」
「乱を呼ぶは、北斗神拳伝承者の宿命か」(レイ)

 

「私、ケンが心配なの」
「何か悪いことが起こりそうで…」
「私、ケンの所へ行きます」(リン)

 

「ケンシロウ。俺にはな、1つの夢があるんだ」
「この世には現代医学でも治せぬ病に苦しむ人々が何万といる」(トキ)

 

「しかし、人の体にはまだ神秘が隠されている」
「経絡秘孔は強く突けば肉体を内部から破壊する」
「逆に柔らかく押せば、体の自然な治癒力を促進させる」(トキ)

 

「俺は北斗神拳を拳法としてより」
「医学の1つとして生かしたい」(トキ)

 

34話

「人間を使っての実験…」
「あり得ない、俺は信じる」
「トキ、あなたを!」(ケンシロウ)

 

「食料は要らん」
「(勝負に)お前達の命を懸けてもらおう」(ケンシロウ)

 

「相手を見てケンカを売るべきだったな」(ケンシロウ)

 

「断る。俺は誰の命令も受けない」(ケンシロウ)

 

35話

「お前は…お前は、昔のトキではない!」(ケンシロウ)

 

「貴様…貴様!」
「貴様は断じてトキではない」(ケンシロウ)

 

「こ…これが、北斗の宿命か」
「逃れられない運命(さだめ)なのか」(ケンシロウ)

 

「ジャギだけではなく…」
「もう1人の兄までも倒さなくてはならぬのか」(ケンシロウ)

 

36話

「トキ、最後だ。せめて祈るがいい」(ケンシロウ)

 

「お前のために苦しみそして死んでいった」
「汚れなき村人達の叫びが俺には聞こえる」(ケンシロウ)

 

「トキ…北斗神拳の伝承者の名を背負い、今日まで戦い」
「そして生き抜いてきたこの俺の拳を受けるがいい」(ケンシロウ)

 

「心配するな、リン」
「ニセの北斗神拳などに、やられるようなケンシロウではない」(レイ)

 

「北斗神拳の正統伝承者が」
「お前ごときのニセ北斗神拳などで、本当に倒せると思っているのか?」(レイ)

 

「もし…もし本当のトキが俺を突いたのなら」
「いかに俺でも秘孔を破ることは出来なかったろう」(ケンシロウ)

 

「死ぬぞ」(トキ)

 

「誰かは知らぬが」
「生半可で覚えた拳法は使わぬことだ」(トキ)

 

「バカな奴だ」
「ケンの怒りに、わざわざ火をそそぐとは」(レイ)

 

「貴様は長く生き過ぎた」(ケンシロウ)

 

「北斗神拳の歴史は2000年!」
「貴様ごときに極められるような拳法ではない」(ケンシロウ)

 

「貴様の足は自分の意思と無関係に後ろへ進む」
「地獄まで自分の足で歩いて行けい」(ケンシロウ)

 

「安心して落ちろ」
「貴様などに殺されるトキではない」(ケンシロウ)

 

「俺には分かる」
「トキはどこかで、俺の来るのを待っている」(ケンシロウ)

 

37話

「トキ…本来なら彼が北斗神拳の伝承者になるべきはずの男だった」(ケンシロウ)

 

「技のキレ、流れ、速さ、心技体」
「どれをとっても非のうちどろこなく」
「あのジャギさえも認めていた」(ケンシロウ)

 

「だが、あの日…」(ケンシロウ)

 

「俺とユリアのために」
「そしてトキは、伝承者への道を断念した」(ケンシロウ)

 

「ケンシロウ」
「俺はこの先、人の命を助ける人間として生きる」(トキ)

 

「いずれは死ぬ体、それまでに何人の命を助けることが出来るか」
「それが、俺が生きていたという証しだ」(トキ)

 

「(マミヤ) あんたには、悪しき星が集まっている」
「待ち構える運命は死」(占い師)

 

「しかし運命に従うも運命、運命に逆らうも運命」
「万物を支配する星の定めさえも不変ではない」(占い師)

 

「古き星死せば、新しい星が生まれる」
「己の運命は己の手で切り開くのじゃ」(占い師)

 

「哀れな連中だ」
「俺達の待ち合わせの場所に現れるとは」(レイ)

 

「(人質を)殺してみろ」
「次の瞬間、貴様も死んでいる」(ケンシロウ)

 

「これも伝えておけ」
「この世に俺より強い奴はいないと」(ケンシロウ)

 

「帰れ」
「これは、俺自身の問題だ」(ケンシロウ)

 

「その報われぬ愛のために(鐘の音を)…」(レイ)

 

38話

「悲しい目だ」
「お前に、人は殺せん」(ケンシロウ)

 

「お前だけは、許さん!」(ケンシロウ)

 

「経絡秘孔の1つ”百会”を突いた」
「指を離して3秒後に、お前は爆発する」(ケンシロウ)

 

「ベラ…お前もまた、一子相伝の宿命を背負った人間」
「女ゆえに、悲しい」(ケンシロウ)

 

39話

「道を空けんと死ぬぞ」(ケンシロウ)

 

「この門は開けておけ」
「もはや二度と閉ざされることはない」(ケンシロウ)

 

40話

「俺に”無謀”という言葉はない」(ケンシロウ)

 

「その墓穴は大きめに作ってあるのか?」
「では、出来るだけ小さく畳んでやろう」(ケンシロウ)

 

「まだ分からんのか?」
「その墓にはいるのは…お前だ」(ケンシロウ)

 

「人の命をもてあそぶより」
「自分の命を心配したらどうだ?」(ケンシロウ)

 

「もしここで勝てぬようなら」
「この先ケンシロウを待ち受けている苦難にはしょせん耐えられぬ」(トキ)

 

「ここまでだ、ウイグル」
「お前の築き上げてきた全てのもの」
「カサンドラ伝説は、今消え失せる」(ケンシロウ)

 

「いいだろう。お遊びもここまでだ」(ケンシロウ)

 

「6本だ。この6本の指で、お前の”蒙古覇極道”を受けてやろう」(ケンシロウ)

 

「貴様の悪に彩られた、悲しみと絶望の伝説」
「今、俺の拳で打ち砕く」(ケンシロウ)

 

「墓穴が小さ過ぎたようだな」
「だが、じきにちょうどよくなる」(ケンシロウ)

 

「安心して…死ね」(ケンシロウ)

 

「悪党に、墓標は要らぬ」(ケンシロウ)

 

「また、墓標のない墓を増やすつもりか?」(ケンシロウ)

 

「よくやった、ケンシロウ」
「だがこれは、まだ地獄のほんの入り口に過ぎぬぞ」(トキ)

 

42話

「鎖につながれ恐怖に怯え」
「それで人と言えるのか」(ケンシロウ)

 

「悪魔に屈した時、人は人でなくなる」
「その場の状況に流され続けるつもりか」(ケンシロウ)

 

「人は、己自身のために戦うのだ」
「悪魔共、かかってこい!」(ケンシロウ)

 

「お前など、俺の敵ではない」
「貴様らに殺された人々の痛みを知れ!」(ケンシロウ)

 

「鬼達が、地獄で待っているぞ」(ケンシロウ)

 

「そんな芝居が通用すると思ったか」
「お前は本当のトキを…北斗神拳を知らん」(ケンシロウ)

 

「しかし遅かったようだな」
「ケンシロウはもうそこまで来ている」(トキ)

 

43話

「やってみるがいい」
「お前達にも、トキという男がよく分かるだろう」(ケンシロウ)

 

「北斗有情破顔拳」
「せめて痛みを知らずに死ぬがよい」(トキ)

 

「北斗有情破顔拳」
「この拳をかけられた者は」
「死ぬ間際に天国を感じる」(ケンシロウ)

 

「待っていたぞ、ケンシロウ」(トキ)

 

「(痩せた?) だが、まだ生きている」(トキ)

 

「俺の体では旅は出来ん」
「だから、あえて捕らわれの身となり待っていた」(トキ)

 

「お前の来るのを…信じてな」(トキ)

 

「安心して眠れ」
「悪の炎は俺が消す!」(ケンシロウ)

 

「ラオウ、確かに彼は強かった」
「いや、強すぎた…」
「そして彼の野望も…」(ケンシロウ)

 

「彼は北斗神拳2000年の暗殺者の掟など」
「眼中になかった」(ケンシロウ)

 

「彼こそ、失われた北斗の男だった」(ケンシロウ)

 

「(何に使う?) 知れたことを」
「己のためだ」(ラオウ)

 

「(何を目指す?) 天!」(ラオウ)

 

「この世に生を受けたからには」
「俺は全てをこの手に握る!」(ラオウ)

 

「ならば神とも戦うまで!」(ラオウ)

 

「2人の死は無駄にはしない」
「そして拳王に死を!」(ケンシロウ)

 

「お前らに今日を生きる資格はない」
「未来に目覚めよ!」(ケンシロウ)

 

「お前には、地獄の炎が似合っている」(ケンシロウ)

 

「乱を呼ぶ星…」
「宿命の星が出会ってしまった」(ラオウ)

 

「”北斗現るる所、乱あり”」
「天が乱を、そして俺を呼ぶ」(ラオウ)

 

44話

「ケンシロウ、虎は貴様を敵とは思わなかったようだな」
「貴様には、この俺と継承者を競う資格などない証拠だ」(ラオウ)

 

「いや、恐るべきはケンシロウ」
「奴の前では虎ですら死を覚悟した」(リュウケン)

 

「だが、ラオウの前では虎は死を恐怖した」
「ラオウの拳は暗殺拳とは言えない」(リュウケン)

 

「それにしても、なんという剛拳」
「お前は一体…」(リュウケン)

 

「”輔星”」
「北斗七星の横に、寄り添うように光る星」
「またの名を”死兆星”」(トキ)

 

「あの星が見える者には、その年のうちに死が訪れるというが…」
「あの星をこうして見つめる時が来ようとは…」(トキ)

 

「(ユリア?) 俺がこの世で愛した唯1人の女性だ」
「いや、俺だけではない。あのラオウも…」(トキ)

 

「ユリアは俺達の青春だった」
「そしてあの時から既に」
「ケンシロウとラオウは戦う運命にあったのかもしれん」(トキ)

 

「惜しい…」
「ケンシロウにくれてやるには、あまりにも惜しい」(ラオウ)

 

「ケンシロウを捨てろ!」
「そして今日からこの俺を愛するのだ」(ラオウ)

 

「女に目のくらんだ男の背後を取ることなど造作もない」(トキ)

 

「もしそれ以上の無謀を働くというのなら」
「ケンシロウに代わって私が相手をしよう」(トキ)

 

「まあいい」
「今お前と張り合う気はない」(ラオウ)

 

「だが覚えておけ」
「俺はこの手に全てを握る人間だということをな」(ラオウ)

 

「今日は北斗七星がよく見える」
「その脇で輝く小さな星までも」(レイ)

 

45話

「私達、希望を捨てちゃいけないの!」
「私はまだ小さくて何も出来ないけど…」
「希望がある!」(リン)

 

「アイリさんだけは、助けなくちゃ!」(リン)

 

「私、嫌です!」
「あなた達みたいに、弱い者いじめをしているような悪魔には」
「絶対に…絶対に従いません!」(リン)

 

「私は…悪魔には、従わない」(リン)

 

「例え、どんなことがあっても…」
「悪魔に負けたら、人間じゃなくなる」(リン)

 

「そう…そう、ケンが教えてくれたもん」(リン)

 

「人の皮をかぶった悪魔め」(レイ)

 

「レイ…大丈夫よ、アイリさんは無事よ」(リン)

 

「あ…あれ? 安心したら涙が…」
「どうしちゃったんだろう…」(リン)

 

「自分のことよりも、アイリの身を案ずるとは」
「まだ年端もゆかぬ子供なのに…」
「それを、こんな目に…」(レイ)

 

「この悪魔め!」
「許さねえ…てめえら! てめえら!」
「てめえらの血は、何色だぁーーっ!」(レイ)

 

46話

「死にたい奴からかかってこい」
「どうした? 遠慮するな!」(レイ)

 

「上手く化けたつもりだろうが」
「そう殺気立っていては犬でも分かるぞ」(ケンシロウ)

 

「その程度の変装で俺を騙せると思ったのか?」(ケンシロウ)

 

「(初めから?) 当たり前だ」
「お前のようなばあさんがいるか」(ケンシロウ)

 

「どこの世界にヒゲを生やした女がいる?」(ケンシロウ)

 

「真面目に変装する気があるなら」
「ヒゲぐらいきちんと剃るんだな」(ケンシロウ)

 

「私は戦う! 二度と逃げたりしない」(アイリ)

 

「あのあらがう術(すべ)を知らず、周囲の風に流され」
「人形のように生きることしか出来なかったアイリが…」(レイ)

 

「私は昨日までの私じゃない」
「リンちゃんに戦うことを教えてもらったの」(アイリ)

 

「リンちゃん、私も諦めたりしない」
「どんなことがあっても、明日を信じて戦うわ!」(アイリ)

 

「俺の弱点はなくなった」
「アイリは俺から離れた」(レイ)

 

「これからは自分の意思で生き」
「自分の意思で死んでいくだろう!」(レイ)

 

「つまらん芸だ」
「その程度の大道芸で、この俺と戦うつもりか?」(レイ)

 

「哀れな奴」(レイ)

 

「お前がレイか」
「”南斗水鳥拳”、楽しませてもらった」(ラオウ)

 

「ならば貴様にも、俺の真髄を教えてやろう」(レイ)

 

「心配するな」
「俺は戦うことでしか、ケンやお前に恩を返せない男だ」(レイ)

 

「ラオウの首は、俺が取る!」(レイ)

 

47話

「1つだけ聞こう」
「北斗七星の横にある星を貴様は見たことがあるか?」(ラオウ)

 

「ほう、あるのか」
「そうか、貴様は俺と戦う運命にあったらしい」(ラオウ)

 

「よかろう」
「どこからでもかかってくるがいい」(ラオウ)

 

「お前ごとき腕でこのわしを同じ地上に立たせようと思ったのか?」
「もはやこのわしを対等に地に立たせる男はおらぬわ」(ラオウ)

 

「ならばそこで馬ごと死ぬがいい!」(レイ)

 

「悲しい運命だ。貴様が見た星は死兆星」
「神は私との戦いを見抜いていた」(ラオウ)

 

「何? 奴は手綱を握ったまま」
「動いてはいなかったのか?」(レイ)

 

「では俺が見たのはなんだ?」
「俺には無数の拳の攻撃が見えた!」(レイ)

 

「真の奥義を極めその真髄を極めた者はその身に闘気をまとうことが出来る」(ラオウ)

 

「貴様が見たものは闘いの気迫、”闘気”だ」
「貴様はこのわしに近寄ることすら出来んのだ」(ラオウ)

 

「(ケンが来るまで待て?) ならば余計にラオウを倒しておかねばならん」(レイ)

 

「俺は一度、人間としての自分を捨てた男だ」
「アイリ。お前の救出のためだけに生き、世を呪い、時代を憎んだ」(レイ)

 

「だが俺はケンに出会った」
「トキに、そしてマミヤ…」
「リン、バット、お前達に」(レイ)

 

「お前達は、飢えて乾いた狼のような俺の心に安らぎを与えてくれた」
「俺は人間に戻ることが出来たんだ」(レイ)

 

「ラオウ、貴様をここで倒す!」(レイ)

 

「黙れ! 例えこの身が砕けようと」
「貴様を生かしてはおかん!」(レイ)

 

「俺は戦うことでしか、ケンやお前達に報えない男だ!」(レイ)

 

「南斗究極奥義・断己相殺拳」
「みんな、俺に力を貸してくれ!」(レイ)

 

「見切ったわ」
「貴様は死兆星を見た男だ」(ラオウ)

 

「ケンシロウ」
「その甘い性格でよく今日まで生き延びてきた」(ラオウ)

 

「それだけは褒めてやろう」
「だが情に流される者はいずれ必ず」
「こういう運命をたどる」(ラオウ)

 

「なぜ…なぜ俺を待たなかった」(ケンシロウ)

 

「この顔が、死に行く者の顔に見えるか?」
「大丈夫だ、リン」(ケンシロウ)

 

「確かにいい顔つきになった」
「だが甘さはまだ変わっていないようだな」(ラオウ)
「確かめてみるがいい」(ケンシロウ)

 

「お前にも1つ聞こう」
「貴様は北斗七星の脇に輝く蒼星を見たことがあるか?」(ラオウ)

 

「(ない?) では、まだわしと戦う時ではないということだ」(ラオウ)

 

「この血…俺は今日までこの血を闘志に変えて生きてきた」
「血は恐怖にならぬ」(ケンシロウ)

 

「俺は昔のケンシロウではない」
「貴様のオーラは、この俺の血が破る」(ケンシロウ)

 

「黒王号をこれほどおびえさせたのは貴様が初めて」
「ケンシロウ、貴様それほどのオーラをまとうほどになったか」(ラオウ)

 

「よかろう、望みどおり相手をしてやるわ」
「来い、ケンシロウ」
「貴様の成長、とくと見せてみよ」(ラオウ)

 

「(成長?) 死をもって見届けるがよい」(ケンシロウ)

 

「バカめ!」
「今が夜ならば貴様の目には、死兆星がハッキリ見えるわ」(ラオウ)

 

「馬上の不利を知れい!」(ケンシロウ)

 

「愚か者が。貴様、命を助けられたのがまだ分からんのか」(ラオウ)

 

「この矢だ…この矢を何者かが放たなければ」
「貴様は死んでいたのだ」(ラオウ)

 

「その男には3日間の命を与えた」(ラオウ)

 

「すぐに殺しては俺の恐怖は伝わらん」
「だが3日間命を与えられた者は死の恐怖に怯え、嘆き」
「そして悲しみ抜くのだ」(ラオウ)

 

「その恐怖はやがて伝説となり」
「そしてこの拳王の名を絶大にする」(ラオウ)

 

「分かったか、ケンシロウ」
「まだまだ貴様ごとき腕ではこの俺を」
「黒王号から降ろすことは出来ぬ」(ラオウ)

 

48話

「貴様はまだ己の拳の質を知らん」
「俺が恐れたのは唯1つ、トキの拳だけだ」(ラオウ)

 

「ケンシロウは今はまだラオウと戦う時ではない」(トキ)

 

「激流を制するのは静水」
「激流に対して激流で戦っても」
「飲み込まれ砕け散るだけだ」(トキ)

 

「激流に対しては静水」
「静かな水の流れだ」(トキ)

 

「お前は殺気が強すぎる」
「半人前の技では私は倒せん」(トキ)

 

「激流に逆らえば飲み込まれる」
「むしろ激流に身を任せ同化する」(トキ)

 

「俺は…負けん!」(ケンシロウ)

 

「ど…どうしても…どうしても戦うと言うのなら」
「これだけは胸に刻み込んでおけ」(レイ)

 

「お前は、生きねばならん」
「例え相打ちでも、それは負けと同じだ」(レイ)

 

「お前はこの時代に必要な男」
「リンやバット、いや全ての人々のために」
「お前は生き続けなければならんのだ!」(レイ)

 

「例え、99%勝ち目がなくとも」
「1%あれば戦うのが」
「北斗神拳伝承者としての宿命だ」(ケンシロウ)

 

「来い、ケンシロウ!」
「貴様の闘気など」
「しょせん小波に過ぎんことを教えてやるわあ!」(ラオウ)

 

「ケンシロウ、命は投げ捨てるものではない」(トキ)

 

「ケンシロウ。レイはやがて来る己の死すら忘れ」
「お前の身を案じている」(トキ)

 

「レイはお前に全ての夢を託しているのだ」
「男の心を無駄にしてはならん」(トキ)

 

「お前は生きて、この時代を見届けねばならんのだ」(トキ)

 

「お前には、残り1%の勝ち目もない」(トキ)

 

「ケンシロウ。お前に…あの子(リン)が殺せるか?」
「もしあの子を殺せるならば、お前はラオウに勝てる」(トキ)

 

「ケンシロウ。闘う気”闘気”とは非情の血によってのみ生まれるもの」(トキ)

 

「お前もシンやこのレイとの非情な戦いの末に」
「闘気をまとうことが出来た」(トキ)

 

「だが、ラオウとお前とでは非情さが違う」
「この男は、我等の育ての父リュウケンをもその非情な手にかけたのだ」(トキ)

 

「言ったはずだ、俺は”天を握る”と」
「北斗神拳を捨てる気なら」
「養子になど最初からならぬわ!」(ラオウ)

 

「俺は誰の命令も受けぬ!」
「たとえ神の命令でもな!」(ラオウ)

 

「では、恩師リュウケンを倒し」
「俺が最強の男となろう」(ラオウ)

 

「北斗七星がなぜ死をつかさどる星か教えてやろう」(リュウケン)

 

「人の動きの中には7つの死角があり」
「その死角をたどれば北斗七星の形になるのだ」(リュウケン)

 

「すなわち、北斗七星とは敵を封ずる死への道標」(リュウケン)

 

「神は俺に運を与えた」
「やはり神はこの俺と闘いたがっているのだ」(ラオウ)

 

「トキがここに現れた以上…」
「お前達と同じ地上に降り立たねばなるまい」(ラオウ)

 

「そしてお前達2人には、死あるのみ!」(ラオウ)

 

「下がっていろ、ケンシロウ」
「見ることもまた戦いだ」(トキ)

 

「私の拳、私の戦い方が」
「いずれ必ずお前の役に立つ時が来るだろう」(トキ)

 

「北斗神拳に2対1の戦いはない」
「例え相手を倒したとしても、それは勝利ではない。」(トキ)

 

「お前は北斗神拳の正統伝承者であることを忘れてはならん」(トキ)

 

「”ラオウ”ではない、”拳王”と呼べい!」
「今や天に届かんとするこの俺の拳、とくと見せてやるわ」(ラオウ)

 

「勝負あったな、トキ」
「リュウケンも貴様も、俺と対等の腕がありながら」
「老いと病に果てるのだ」(ラオウ)

 

「見ているのだ、ケンシロウ」
「私の死をお前の糧にするがよい」(トキ)

 

「この世でラオウを倒すことの出来るのは」
「お前しかいないのだ」(トキ)

 

「トキよ、貴様も死兆星を見たのであろう」
「だが、貴様の死への使者は病ではなく」
「この拳王だったのだ」(ラオウ)

 

49話

「北斗神拳…」
「一子相伝の北斗神拳2000年の歴史は」
「俺達が思うより遥かに崇高で重い」(レイ)

 

「それをトキは、死をもってケンに教えようとしている」(レイ)

 

「トキ、お前は己の信念に命を捨てる男」
「だがそれが一体なんになる?」(ラオウ)

 

「死ねば全ては無の世界」
「どんな死も汚れた痩せ犬と変わらぬ」(ラオウ)

 

「一子相伝がゆえに、過酷なる運命がつきまとう北斗神拳」
「私の死もその1つの試練」(トキ)

 

「私の死を糧とし、伝承者の道を歩むがよい」(トキ)

 

「やめろ…ラオウ、やめてくれ!」
「その女だけは…その女だけは殺さないでくれ!」(レイ)

 

「そうだ、マミヤは…マミヤは」
「俺に愛を教えてくれたたった1人の女だ!」(レイ)

 

「ありがとう、レイ」
「あなたのその気持ちだけで」
「私はこんな時代でも生きていてよかったと思う」(マミヤ)

 

「破ったのは、俺の肉体ではない」(ケンシロウ)

 

「あくまで人間として生きようとする」
「幼い汚れなき心」
「その心が秘孔を破ったのだ」(ケンシロウ)

 

「ラオウ、貴様が握るのは死兆星だ!」(ケンシロウ)

 

「ラオウ、貴様は己の命さえ握ることはない」(ケンシロウ)

 

「ケンシロウ…」
「ここを北斗神拳2000年の終焉の地としてくれるわ!」(ラオウ)

 

「技と肉体ではラオウが勝る」
「だが、トキの秘孔縛すら破ったケンの魂なら」
「もしかして…」(レイ)

 

「肉体を支配するのは魂」
「北斗神拳の奥義はそこにあるはず」(トキ)

 

「もう止めはせん」
「むしろケンシロウの戦いを見てみたい」(トキ)

 

「ケンシロウよ」
「この俺が自ら”拳王”と呼ぶ訳を」
「その体でとくと知るがよい」(ラオウ)

 

「ラオウの拳は、カサンドラで多くの拳法家からあらゆる拳の奥義を奪い」
「身につけた恐るべき拳」(トキ)

 

「だがケンシロウ」
「己の拳、己の魂を信じて闘うがよい」(トキ)

 

「互いに寸前で見切っている」(レイ)

 

「達人同士の闘いでは」
「相手の技を完全に見切ることは出来ぬ」(レイ)

 

「残された方法は」
「寸前で己の肉体を切らせ骨を断つのみ」(レイ)

 

「強くなったな…」(ラオウ)
「昔の…昔のラオウだったら倒せていたものを」(ケンシロウ)

 

「野望の帝王の元には」
「野望を持った部下しか集まらぬ」
「愚かな…」(レイ)

 

「もういい、これまでだ」
「これ以上戦えないことは自分が一番知っているはずだ」(トキ)

 

「ケンよ、今日が闘いの終わりではない」
「今日が、貴様と俺の闘いの始まりなのだ」(ラオウ)

 

「俺は天をつかむ男」
「俺は俺の帝国を築くまでは、決して死なん!」(ラオウ)

 

「お…俺は拳王!」
「拳王を決して膝など地につかぬ!」(ラオウ)

 

「部下は去り、残ったのはあの馬のみ」
「彼もまた孤独」(トキ)

 

「ケンシロウ、ラオウはまたきっと現れる」
「お前の闘いはまだ続く」(トキ)

 

50話

「なぜ…なぜなの?」
「血がたくさん流れた」
「いっぱい…とてもいっぱい」(リン)

 

「ねえバット、どうして?」
「なぜこんなに傷つき、血を流さなきゃいけないの?」(リン)

 

「仕方ないんだ、あの血は俺達が流すはずの血だ」
「俺達の代わりに、ケン達が血を流してるんだ」(バット)

 

「俺も…俺も、もっと強くて力があったら…」(バット)

 

「行くでない!」
「レイに残された命は3日」
「その間、レイの体は徐々に崩壊されていく」(トキ)

 

「その苦痛にゆがむ姿をあなただけには見せたくないはずだ」
「マミヤさん、あなただけには…」(トキ)

 

「(巻き込んだ?) いいんだ、後悔はしていない」
「いや、むしろ俺はお前に感謝している」(レイ)

 

「俺は世を憎み続け、すさんだ心で生きてきた」
「だがそんな時、お前に出会った」
「そしてリン、バット、マミヤに…」(レイ)

 

「こんな時代でも、まだ見捨てたもんじゃない」
「そう思うようになった」
「そして俺も人の心を取り戻すことが出来た」(レイ)

 

「後は…後は死に方だけの問題だ」
「死に方のな」(レイ)

 

「そう、薬の町」
「そこへ行けば、薬が手に入るかもしれない」(マミヤ)

 

「レイの命は、後3日…」
「命を助けてあげることが出来ないのなら」
「せめて…せめて体の苦痛を少しでも和らげてあげたい」(マミヤ)

 

「今の私には…それぐらいしか出来ない」(マミヤ)

 

「マミヤは俺のために」
「危険なメディスンシティーに1人で行った」
「俺が行かないでどうする」(レイ)

 

「(ケンの所?) 行くな!」
「これは俺がケジメをつけることだ」(レイ)

 

51話

「死ぬ者に名乗る名前などない」(ケンシロウ)

 

「誰かは知らぬが」
「そこにいる女にほんの少しでも傷をつけてみろ」
「俺が生かしてはおかぬ」(レイ)

 

「マミヤ、もう戦いは捨てろ」
「自分の手で、自らの未来を捨てることはないんだ」(レイ)

 

「あの男(ユダ)は私の未来を奪って」
「私に戦い続けることを宿命づけた」(マミヤ)

 

「この傷は…この傷は一生消えない」
「そして、心の中にも同じ傷が…」(マミヤ)

 

「お前達…俺は美しいか?」(ユダ)

 

「そう…俺は、この世で誰よりも強く」
「そして…美しい」(ユダ)

 

52話

「俺は、神がこの世に創り出した最も美しく」
「最も強い至上の男」(ユダ)

 

「その俺を愛する資格を与えられるのは」
「完璧に美しい者だけだ」(ユダ)

 

「わめけばわめくほど醜い」
「この宮殿から消え失せろ」(ユダ)

 

「お前は醜い」
「醜い女は砂漠の奥にでも住むがよい」(ユダ)

 

「捨ててこい」(ユダ)

 

「見て、リンちゃん」
「私の腕、こんなに硬くなっちゃった」
「まるで、男の人みたいに…」(マミヤ)

 

「女だ…やはりお前は女だ」
「ユダは俺が必ず倒してやる」(レイ)

 

「私は、あなたの愛に報いる資格はない」(マミヤ)

 

「ああ、俺は奴を…ユダを知っている」
「同じ南斗の男としてな」(レイ)

 

「俺の命は後2日」
「マミヤの愛など求めぬ」(レイ)

 

「ただ俺はマミヤのために死に」
「あの女の心の中で生きていたいのだ」(レイ)

 

「こんな時代だ、男達の命は短い」
「しかし女は子を産み、そして物語を語り継ぐ」
「勇ましかった男の、戦いの物語を!」(レイ)

 

「ユダ、俺の最後を飾るにふさわしい男」
「俺は奴を必ず倒す!」(レイ)

 

「しまった!」
「お…俺は忘れていた、あのことを!」(レイ)

 

「ユダは、南斗六星のうち”妖星”を持つ男」
「南斗六聖拳はそれぞれ星を持ち、宿命を背負っている」(レイ)

 

「ユダは”妖星”、妖かしの星」
「またの名を裏切りの星」(レイ)

 

「貴様ごとき、傷ついた左腕で十分だ」
「かかってこい」(ケンシロウ)

 

「経絡秘孔”頸中”から”下扶突”を突いた」
「命だけは助けてやる」
「お前も苦しみを味わってみろ」(ケンシロウ)

 

「わめくな」
「それでもレイの苦しみに比べれば、蚊が刺したようなものだ」(ケンシロウ)

 

「お前も自分の愚かしさを、じっくりかみしめるがいい」(ケンシロウ)

 

「俺の星は最も美しく輝く妖かしの星」(ユダ)

 

「人は裏切りの星と呼ぶがそうではない」
「”妖星”は天をも動かす美と知略の星なのだ」(ユダ)

 

「妖かしの星は、ケンシロウとレイの血を吸い」
「ますます美しく光り輝く」(ユダ)

 

「ケン…もう死兆星が落ちてきそうだ」(レイ)

 

53話

「武器はない。この体と拳だけだ」(ケンシロウ)

 

「俺も昔、愛する者を取り戻すため戦ったことがある」(ケンシロウ)

 

「経絡秘孔の1つ”黒詰”を突いた」
「しゃべればお前は楽になる」(ケンシロウ)

 

「この男達の目を見ろ」
「もし人質を殺せば、彼等の怒りはお前達を襲う」(ケンシロウ)

 

「そして、俺がお前達を許すわけにはいかん!」(ケンシロウ)

 

「ユダ。貴様のために過去を悔いている女のため」
「そして、俺の人生の決着をつけるため死んでもらう!」(レイ)

 

「お前が口を割るのは分かっていた」
「お前に本当のことを教えるほど俺は愚かではない」(ユダ)

 

「お前のおかげで、ケンシロウの技を見切ることも出来た」
「仇は俺が取ってやる」(ユダ)

 

「ごくろうだったな」
「心おきなく死んでいくがよい」(ユダ)

 

「裏切りではない」
「これは戦略というものだ」(ユダ)

 

「愚か者めが!」
「俺に勝てると思っているのか?」(ユダ)

 

「ケンシロウが腕1本なら俺は…」
「指1本で十分」(ユダ)

 

「レイ、ケンシロウ!」
「奴等は俺の帝国の生贄となるのだ!」(ユダ)

 

「またしてもユダに謀られた」
「だが俺達は見た」
「この悲しみの時代でも、1つぐらい報われる愛があってもいい」(レイ)

 

54話

「レイ、哀れな男よ」
「愛する女のために俺に立ち向かおうとしたお前の命も」
「いよいよ朽ち果てるか」(ユダ)

 

「だが俺はお前を死に際まであざ笑ってやる」(ユダ)

 

「レイ、お前を愛する女のそばでは死なせない」
「お前はマミヤに看取られることなく、独り寂しく死んでいくのだ」(ユダ)

 

「人のために生きる”義星”を持つ男、レイ」
「その”義星”が、ピエロの星であることを十分に思い知らせてやる」(ユダ)

 

「無念だ、このままユダを倒せずに死んでいくとは」(レイ)

 

「いや、まだ方法はある」
「ある秘孔を突くことで、少しだけ命を延ばすことが出来る」(トキ)

 

「だが…その秘孔を突けば、今とは比べものにならぬ激痛がお前を襲う」
「場合によっては苦痛で発狂してしまうかもしれない」(トキ)

 

「もう1つ、その苦痛から今すぐ逃れる方法もある」
「それは、マミヤさんから託された薬」
「これを飲めば、すぐ死ぬ」(トキ)

 

「選ぶがよい、誰にも強制は出来ん」
「決めるのはお前だ」(トキ)

 

「レイ…あなたはもう十分に戦ったわ」
「これ以上、私のために苦しむのはやめて」(マミヤ)

 

「俺は南斗六聖拳の1人、義に生きる星の男」
「俺がどっちを選ぶかは分かっているはずだ」(レイ)

 

「トキ、頼む」
「俺は少しでも生き延びたい、マミヤのために」
「ユダを倒すまでは…」(レイ)

 

「ラオウの突きの威力は、想像を超えている」
「だがやるだけのことはやった」(トキ)

 

「後は本人の意志の力だ」
「生きる執念が上回れば、レイは生き延びるだろう」(トキ)

 

「そんなに命を無駄にしたいか」(ケンシロウ)

 

「愚かな…お前を待っているのは死のみ」(ケンシロウ)

 

「マミヤ…運命(さだめ)に縛られたどこまでも悲しい女」
「俺の命、お前に捧げよう」(レイ)

 

55話

「とうに朽ち果てているはずのこの体」
「だが…今一度命の炎を注がれた俺に、もはや迷いも悔いもない」(レイ)

 

「ユダ…今度こそ貴様を…」(レイ)

 

「ケン、俺の最後の戦いだ」
「俺にもう後はない」(レイ)

 

「泣くな、アイリ」
「俺はもう思い残すことはない」(レイ)

 

「この悲しい時代に、友と呼べる男と巡り合い、そしてマミヤとも…」
「後はただ、ユダを倒すだけ」(レイ)

 

「(マミヤを呼ぶ?) いや、未練だ」(レイ)

 

「俺は奴の力を恐れていたわけではない」(ユダ)

 

「俺は輝ける妖かしの星の男、奴に負けるはずはない」
「ただ…俺の手でトドメを刺してやろうと思ってな」(ユダ)

 

「レイ…お前の墓は俺が作ってやろう」(ユダ)

 

「あの日から、私は女の感情を捨てた」
「いいえ、捨てたつもりでした」(マミヤ)

 

「でも、今私のために残り少ない命を投げ出し、戦ってくれる人がいる」
「私は…私はどうしたらいいのか分からない」(マミヤ)

 

「マミヤ、お前も死兆星が見えるらしいな」
「その死の鍵を握るのは俺だ」(ユダ)

 

「どうやらお前たち親子は俺の手にかかる運命だったらしい」(ユダ)

 

「お前の血もまた、俺の体を美しく染めるだろう」(ユダ)

 

「俺がここに来たのは、哀れなお前を見物するためよ」
「そして、義の星の光を”妖星”の輝きをもって消し去るため」(ユダ)

 

「お前は哀れなピエロだ」
「たかが女1人のためにやつれ果て、残り少ない命さえ捧げようとするお前はな」(ユダ)

 

「しかもそれが、俺の紋章を刻まれ」
「死兆星をも見た明日なき女のためとはな」(ユダ)

 

「言いたいことはそれだけか」
「例え、マミヤが死にゆく運命(さだめ)にあろうとも、俺の気持ちは変わらん」(レイ)

 

「マミヤ、悲しい女よ」
「せめて、お前のために死んでゆく男が1人ぐらいいてもいい」(レイ)

 

「義の星は所詮ピエロの星」
「妖かしの星を一段と光り輝かせるクズ星に過ぎん」(ユダ)

 

「死ねい! 虫ケラのごとく!」(ユダ)

 

「お…俺の顔に傷がーーっ!」
「この美しい顔に傷がーーっ!」(ユダ)

 

「ユダ、”妖星”を二度と輝かせはせぬ!」(レイ)

 

「俺は、貴様を血祭りにあげる日を待っていた」
「あの…あの屈辱の日からーーっ!」(ユダ)

 

「なんたる不覚…」
「例え一瞬とはいえ、俺はレイの動きに魂を奪われた」(ユダ)

 

「生まれて初めて、他人を美しいと…」(ユダ)

 

「この屈辱は、決して忘れぬ」(ユダ)

 

「レイ、いずれこの手で最も醜く哀れな死をくれてやろう」(ユダ)

 

「分かったか、義の星が”妖星”より美しく輝くことはあり得ん」
「そのことを、今日こそ思い知らせてやろう」(ユダ)

 

「死ぬのはお前だ」
「来い、ユダ」(レイ)

 

「俺を支えているものは、マミヤへの愛」
「この熱き思い、愛を知らぬお前には分かるまい」(レイ)

 

「貴様もこれで終わりだ」
「ユダ。”妖星”は今日、地獄の闇に落ちる!」(レイ)

 

「俺様の星は、美と知性に輝く星」
「なんの戦略も持たずここに来たと思うか?」(ユダ)

 

「聞こえるぞ」
「もうすぐ貴様は地獄を見る」(ユダ)

 

「南斗水鳥拳の奥義は、その華麗な足の動きにある」
「その下半身の動きを封じられた今、貴様は羽をもがれた水鳥」(ユダ)

 

「この俺の手で醜く死ぬのだ」(ユダ)

 

56話

「南斗紅鶴拳奥義・伝衝裂波!」
「ようやく貴様を醜く切り刻む時が来た」
「俺が1歩近づくごとに深く切り裂く」(ユダ)

 

「切れろ、切れろ、切れろ、切れろーーっ!」(ユダ)

 

「義の星のレイ、哀れなピエロよ」
「女1人救うことも出来なかったな」(ユダ)

 

「後1歩…後1歩でお前の最後だ!」(ユダ)

 

「南斗水鳥拳奥義・飛翔白麗!」
「ユダ、お前には俺を倒せない」(レイ)

 

「不覚…またしても、俺は貴様の拳に魂を奪われてしまった」(ユダ)

 

「だが…だが…俺はこんな死に方はせん」
「こんな死に方はな!」(ユダ)

 

「レイ…俺より強く、美しい男よ」(ユダ)

 

「レ…レイ、俺の心の中には、いつもお前がいた」(ユダ)

 

「俺は、ずっと幻影を追っていた」
「お前を…そして美しい南斗水鳥拳の舞を」(ユダ)

 

「だが、とうとう俺はお前を超えることが出来なかった」
「最後の最後まで、幻影を突き放すことが出来なかった」(ユダ)

 

「俺が心から美しいと認めてしまったもの、その前では俺は何も出来ない」
「それが俺の弱さ」(ユダ)

 

「俺が、お前に心ひかれた時から」
「妖かしの星は義の星により、その光を消す運命にあったのだ」(ユダ)

 

「レイ…俺が唯1人認めた男」
「この世で最も強く美しい男」(ユダ)

 

「せめて、その胸の中で死にたい…」(ユダ)

 

「ユダ、お前もまた孤独な拳士」
「だが俺もすぐに行く」(レイ)

 

「さらばだ。南斗六聖拳・紅鶴拳」
「妖かしの星ユダ」(レイ)

 

「なぜ、2人は血を流し合わなきゃならないの」(リン)

 

「とうとう俺にも最期の時が来たらしい」(レイ)

 

「マミヤ…いいか、死兆星が頭上に落ちる日まで精一杯生きろ」(レイ)

 

「例え一瞬でもいい、女として生きろ」
「女の幸せを求めるのだ」(レイ)

 

「さらばだ」(レイ)

 

「来るな!」
「来てはならん」(レイ)

 

「俺は…お前にだけは俺の砕けていく無様な死に方を見せたくない」(レイ)

 

「マミヤ、幸せにな」(レイ)

 

「ケン、生き続けろ、死ぬなよ」(レイ)

 

「今の時代、この不幸な時代にお前の北斗神拳が必要なのだ」
「涙を笑顔に変えるために」(レイ)

 

「アイリ、先に逝く兄を許せ」(レイ)

 

57話

「なすべきことは全てなした」
「俺は南斗六聖拳、義の星の男」(レイ)

 

「義の星は人のために生き、人のために死ぬ」
「悔いはない」(レイ)

 

「レイ…お前の生き様、忘れはせぬ」
「お前もまた、シンと同じように俺の中に生き続ける」(ケンシロウ)

 

「星が…”輔星”が見えない」
「死兆星が消えた…」(マミヤ)

 

「南斗六聖拳、義の星の男レイ」
「お前の伝説は…永遠に消えない」(ケンシロウ)

 

「さらば、レイ」(ケンシロウ)

 

第3部 乱世覇道編

58話

「トキ、何かが…何かが俺を呼んでいる」(ケンシロウ)
「お前を呼んでいるのは宿命だ」(トキ)

 

「俺には戦いの荒野が待っている」(ケンシロウ)

 

「俺の望みはそんなちっぽけなものではない」
「この世紀末の世の全てをこの手に握りしめること」(サウザー)

 

「俺は聖帝サウザー」
「あの拳王ラオウでさえ、俺との戦いを避けた」(サウザー)

 

「兵を進めよ、大地を奪い尽くせ」
「我が聖帝の旗を、全ての地になびかせよ!」(サウザー)

 

「どうした? 震えているようだな」
「お前達みたいな奴等は脅すに限る」(ケンシロウ)

 

「(聖帝正規軍?) 知らんな」
「俺には弱い者イジメのゴロツキにしか見えん」(ケンシロウ)

 

「不幸な時代だ、悲しき兵士達よ」(ケンシロウ)

 

「聖帝サウザー、お前が新しい敵か」(ケンシロウ)

 

「情けのために動けぬか?」
「ならばその元を断ち切ってやろう」(サウザー)

 

「お前達だけでも逃げられたものを」
「情けがあるから無駄に命を捨てることになる」(サウザー)

 

「俺の星は”将星”」
「南斗十字星、生まれついての帝王の星」
「帝王に、愛も情けも要らぬ」(サウザー)

 

59話

「今、俺には休息が必要だ」
「ケンシロウとの戦いの傷を癒やさねばならぬ」(ラオウ)

 

「だが、俺は必ず帰ってくる」
「サウザーよ、今のうちに走るがよいわ」(ラオウ)

 

「聖帝サウザー」
「汚れなき子供達までを…」(ケンシロウ)

 

「(目は見えない) されど心の目は開いておる」
「私の名はシュウ、南斗白鷺拳のシュウだ」(シュウ)

 

「そう、私も乱世に散り、己の星の宿命に生きる南斗六聖拳の1人だ」(シュウ)

 

「”南斗乱れる時、北斗現れり”」
「六星が乱れた時から私とお前は戦う運命(さだめ)にあったのだ」(シュウ)

 

「俺を倒そうという人間には、全てこの拳で答えるのみ」(ケンシロウ)
「ならば我が拳の恐ろしさ、その体で知るがよい」(シュウ)

 

「目は見えぬが心は読める」
「私にはお前の拳に対する恐怖はない」(シュウ)

 

「恐怖は気配を作り、敵に容易に間合いをつかませてしまう」(シュウ)

 

「俺は死なん」
「誓いを交わした友のためにも」(ケンシロウ)

 

「改めて誓おう」
「俺はこの時代を生き抜き、この世紀末に光を呼び戻す」(ケンシロウ)

 

「だがこの私を倒さぬことには光は戻らぬ」(シュウ)

 

「お前達は、北斗神拳が何故一子相伝の最強の拳法かを知らぬ」
「それを今、教えてやろう」(ケンシロウ)

 

「北斗神拳奥義・水影心」
「北斗神拳は、一度戦った相手の拳を己の分身と出来る」(ケンシロウ)

 

「甘いな、なぜ今の一撃でトドメを刺さん」(シュウ)
「ならば聞こう。お前の技にはなぜ殺気がない?」(ケンシロウ)

 

「強い。レイが己を懸けたのがよく分かる」(シュウ)

 

「すまぬ。命を懸けねばあなたの力を知ることが出来なかった」(シュウ)

 

「私はレイの親友、仁の星シュウ」
「待っていた。ケンシロウ、あなたの来るのを」(シュウ)

 

「聖帝サウザーを倒せる唯一の男、北斗神拳の継承者を」(シュウ)

 

60話

「サウザーに伝えろ」
「十字陵を造るのなら、自らの汗を流せ」
「力なき子供達を恐怖で支配し働かせるなと」(ケンシロウ)

 

「お前達など、俺1人で十分だ」(ケンシロウ)

 

「なんの得にもならんだと?」
「今より輝こうとする子供達の光を奪うことなど、絶対に許せんだけだ!」(シュウ)

 

「ありがとう、10人目の相手があなたでよかった」
「拳法の厳しさを、教えてもらいました」(ケンシロウ、子供時代)

 

「ダメだ!」
「この少年は殺させぬ」(シュウ)

 

「私は感じた」
「この少年は誰よりも強く、激しく光る可能性を秘めている」
「その輝きを止めてしまう権利は、誰にもない!」(シュウ)

 

「ただで命をくれとは言わん」
「代わりに…俺の光をくれてやる」
「これで文句はなかろう」(シュウ)

 

「忘れていたわ」
「奴は南斗六星、仁の星の男」
「広く愛を施し、未来の希望に生きる宿命の星」(サウザー)

 

「それにしてもあの小僧」
「シュウのくすぶっていた仁の星の宿命を目覚めさせるとは…」(サウザー)

 

「ケンシロウ、気にすることはない」
「目が見えぬ代わりに心が開いた、全てが手に取るように分かる」
「これも仁の星の宿命だったのだ」(シュウ)

 

「私は間違っていなかった」
「私が失った光よりも、お前は強く激しく光り始めた」(シュウ)

 

61話

「そう、これ(子供達)が私の戦う理由だ」(シュウ)

 

「その辺でやめておけ、弱い者イジメは」(ケンシロウ)

 

「(演技?) お前の顔に、嘘と書いてある」(ケンシロウ)

 

62話

「他の五星は、将星の衛星に過ぎん」
「南斗聖拳では、サウザーを倒すことは出来んのだ」(シュウ)

 

「聖帝との戦いで死んでいった子供達(の墓)だ」
「光を失ったこの目にも、涙だけは枯れぬ」(シュウ)

 

「お前が一番、邪魔なんだ」(ケンシロウ)

 

「お前の行進も、ここで終わりだ」(ケンシロウ)
「でかい口をきくようになったな、小僧」(サウザー)

 

「(南斗双斬拳?) 面白い見世物だな」
「もう一度やってみろ」(ケンシロウ)

 

「経絡秘孔の1つ”児鳩胸”を突いた」
「お前達の目が遠近感を失ったことに気がつかなかったのか?」(ケンシロウ)

 

「確かに強くなった」
「どうやらシュウが惚れた素質が目覚めたようだな」(サウザー)

 

「だが、果たしてこの俺を倒すことが出来るかな」(サウザー)

 

「まだ早い…まだ早い!」
「奴ではサウザーに勝てぬ!」(ラオウ)

 

「俺は南斗聖拳最強の拳法、南斗鳳凰拳を身につけた男」
「俺は聖帝、愛も情けも要らぬ」(サウザー)

 

「俺の体には生まれながらに帝王の血が流れているのだ」
「かかってくるがいい」(サウザー)

 

「俺の拳、南斗鳳凰拳に構えはない」(サウザー)

 

「構えとは防御の型」
「我が拳にあるのは、ただ制圧前進のみ」
「それが帝王の拳なのだ」(サウザー)

 

「来ぬのならこちらから行くぞ」(サウザー)

 

「よくぞ極星十字拳をかわした」
「だが俺の拳の前では、お前の動きなど止まって見えるわ」(サウザー)

 

「それはどうかな?」
「お前の拳は既に見切った」(ケンシロウ)

 

「確かにケンシロウは、一度相手の拳を見ればその拳を見切れる」
「力はサウザーより上かもしれぬ。だが!」(ラオウ)

 

「ある謎を解かぬことにはケンシロウは勝てぬ」
「その謎こそ、わしがサウザーとの戦いを決しなかった理由なのだ!」(ラオウ)

 

「秘孔の中で最も破壊力をもつ必殺の秘孔”人中極”を突いた」
「貴様の命は後3秒だ」(ケンシロウ)

 

「3秒…」
「面白い。ならばその3秒、俺が数えてやろう」(サウザー)

 

「バカな!? 確かに秘孔は突いたはず」(ケンシロウ)
「この体には北斗神拳は効かぬ」(サウザー)

 

「俺の体は生まれついての帝王の体」
「誰も俺を倒すことは出来んのだ」(サウザー)

 

63話

「俺は帝王。貴様らとは全てが違う」(サウザー)

 

「拳の速さ、寸分狂わぬ秘孔への突き」
「さすが北斗神拳正統継承者」
「拳の勝負ではお前の勝ちかもしれぬ」(サウザー)

 

「だが、貴様はこの体に流れる帝王の血に負けたのだ」(サウザー)

 

「本当のこと言って!」
「たとえどんなことがあっても、私達はケンを信じています」(リン)

 

「ケンは…ケンはきっと帰ってくると」
「決して死んだりしない!」(リン)

 

「もし…もしケンが死んだりしたら、私達の希望がなくなってしまう」
「ケンはそんなこと、絶対しない!」(リン)

 

「ケンシロウ、生きていてくれ」
「あの子達のためにも」(シュウ)

 

「父上、お願いがあります!」
「ケンシロウさんを救い出す役目、僕にやらせて下さい!」(シバ)

 

「シバ…私は南斗白鷺拳伝承者でありながら、息子のお前に拳法を教えようとしなかった」
「なぜだか分かるか?」(シュウ)

 

「私が背負っている仁の星の宿命を、お前にまで背負わせたくなかったからだ」(シュウ)

 

「子を思う愚かな親心と笑うがいい」
「しかし私の星、仁の星とはそれほど悲しい宿命を持っているのだ」(シュウ)

 

「だが、シバよ」
「仁の星の血はお前の体にも立派に流れていたようだ」(シュウ)

 

「お前の顔をさわらせてくれ」
「目には見えぬが、お前の顔はよく分かる」
「お前の面差しは母親にそっくりだ」(シュウ)

 

「さあ、行け。行っておのが星の道を極めよ!」(シュウ)

 

「もはや再び会うことはないかもしれぬ」
「これも仁の星の宿命、しかし子供にはむごすぎる運命(さだめ)」
「死ぬな、シバ!」(シュウ)

 

「待っておれ、ケンシロウ」
「北斗神拳継承者であるお前を人柱にすれば」
「我が南斗聖拳・聖帝十字陵はいよいよ光り輝く」(サウザー)

 

「(なぜ?) リンやバットや父があなたを信じているように」
「私もあなたを信じているからです」(シバ)

 

「聖帝サウザーを倒せるのは、この世で唯1人あなただと」
「この世紀末の救世主だと」(シバ)

 

「あなたが生きている限り、希望の火は消えません」
「父と同じ仁の星の宿命を受けた僕は、そのために命も懸けます」
「それが僕の務めです」(シバ)

 

「ケンシロウさん、生きて下さい」
「生きて、希望の光を灯し続けて下さい」
「さようなら」(シバ)

 

「シバ、この俺のために…」
「俺は…俺は、シュウだけでなく、その子にまで命を助けられた」(ケンシロウ)

 

64話

「(シュウ) すまぬ。俺には、言葉すら見つからん」(ケンシロウ)

 

「褒めてやってくれ」
「私も今、
我が息子シバを褒めていたところだ」(シュウ)

 

「お前は何も気にする必要はない」
「シバにも、仁の星の血が流れていた」
「私は、シバを誇りに思っている」(シュウ)

 

「情けをかけるな!」
「聖帝サウザーに逆らう者は、降伏すら許さぬ」(サウザー)

 

「よいか、リン、バット。ケンが目覚めたら伝えてくれ」
「この拳に、私やそして不幸な時代に生きる子供達の悲願が懸かっていることを」(シュウ)

 

「初めて会った時のお前はシバと同じぐらいの年であったろうか」
「ケンシロウ、一目でもお前の成長した姿を目の当たりに見たかった」(シュウ)

 

「たとえこの身は死すとも、我ら親子は、南斗の星となりお前を見ているぞ」
「ケンシロウ、頼む」(シュウ)

 

「シュウ、死なないで」
「どんなことがあっても、絶対死んじゃダメ」
「死んじゃダメよ、シュウ」(リン)

 

「大丈夫だ、リン」
「お前の涙が、私をいっそう強くするだろう」(シュウ)

 

「ついに出てきたか、ドブネズミのリーダーめ」
「だがお前に俺は倒せない」(サウザー)

 

「俺の星は”極星”」
「他の星は俺の周りを回る惑星に過ぎぬ」(サウザー)

 

「たとえ貴様を倒せなくとも、阿修羅となって戦おう」
「この命尽きるまで」(シュウ)

 

「敵の動きを知るのは目でも耳でもない」
「私は心で気配を見切る」(シュウ)

 

「惜しいな」(サウザー)

 

「さあ、もう一度突いてみろ」
「貴様に100人の人質の命を見捨てることが出来るかな?」(サウザー)

 

「さあ、突くなら突け! 俺は抵抗せぬ」
「この俺を倒すことが貴様の悲願」(サウザー)

 

「ケンシロウですら敵わなかったこの俺を倒せるのだ」
「二度とないチャンスだ」(サウザー)

 

「仁の星とは悲しい星だな」(サウザー)

 

「南斗白鷺拳の奥義は足技にある」
「貴様の足の筋を斬った」
「これでお前の拳法は二度と使えまい」(サウザー)

 

「帝王を支えているのは情けではない!」
「俺は蟻の反逆も許さぬ」
「一度でも俺に逆らった者は皆殺しだ」(サウザー)

 

「シュウ。仁の星がいかに輝こうとも貴様1人の力では」
「人を助け世を救うことなど出来ぬのだ」(サウザー)

 

「ケンシロウ。聞け、我が魂の叫びを!」(シュウ)

 

「シュウが…シュウが俺を呼んでいる」
「俺を呼んでいる、俺を呼んでいる!」
「シュウが呼んでいる!」(ケンシロウ)

 

65話

「誰も、今のケンを止めることは出来ない」
「あの胸の傷も、流れる血でさえも」(バット)

 

「皮肉なことだな、シュウ」
「この俺に反旗をひるがえしてきた貴様も俺の足元にひれ伏した」(サウザー)

 

「そして貴様の手で、この聖帝十字陵を完成させるのだ」(サウザー)

 

「この聖碑を頂上まで運んでもらおうか」
「無論、貴様1人でな」(サウザー)

 

「バカめ。なぜ死に急ぐ、ケンシロウ」
「まだサウザーの体の謎を解いてはおるまい」(ラオウ)

 

「ケンシロウの命運も、もはやこれまでか」(ラオウ)

 

「私には見えた」
「南斗の星が乱れ、そして北斗の星が集まるのが」(トキ)

 

「”南斗乱るる時、北斗現れり”」
「ケンシロウは必ずサウザーの所へ現れるだろう」(トキ)

 

「私には、ぜひともケンシロウに伝えねばならぬことがある」(トキ)

 

「さあ、行け!」
「南斗聖拳と極星の帝王、サウザーの威を讃える聖帝十字陵」
「その頂上の石を積むのだ!」(サウザー)

 

「よいか、その聖碑を落としてはならぬ」
「落とせばガキ共は皆殺しだ!」(サウザー)

 

「いずれケンシロウは現れよう」
「その時こそ、北斗神拳の伝承者を人柱に」
「聖帝十字陵は盤石のものとなるのだ!」(サウザー)

 

「聖帝十字陵の最後の頂は、南斗聖拳の伝承者によって築かれねば点睛を欠く」
「シュウ、この俺に最後まで逆らった貴様の手により十字陵は完成する」(サウザー)

 

「なんと皮肉なことよ」
「貴様はこの俺に屈したのだ」(サウザー)

 

「シュウ! その頂は十字陵の聖碑、地につけてはならぬ」
「もし地に落とせば、人質の血で償ってもらう!」(サウザー)

 

「心配するでない」
「この岩をお前達の命と思えば重くない」(シュウ)

 

「たとえ力尽きようとも、この私の魂で支えてみせよう!」(シュウ)

 

「皆も聞くがよい! 今動くことはない」
「お前達の中にある心が…心が動いただけで十分だ」(シュウ)

 

「強く生きよ、我が息子達」(シュウ)

 

「せいぜい嘆き悲しむがよい」
「俺には見える」
「お前達の悲しみが野を駆け巡り、ケンシロウを再び俺の元へ呼び戻すのが」(サウザー)

 

「そして、奴は俺の体の謎の前に倒されるのだ」(サウザー)

 

「(なぜ?) 星が私を導いた」
「ケンシロウのために、道を開いておけということか」(トキ)

 

「回復を測る稽古台にもならぬわ」(ラオウ)

 

「ほう…サウザーめ、よく仕込んであるわ」
「しかし愚かなことよ」(ラオウ)

 

「仁の星の涙が、北斗を呼ぶ」(ケンシロウ)

 

66話

「道を空けるがよい」
「さもなくば私が相手になろう」(トキ)

 

「トキ、病は進んでもその拳は衰えを見せぬようだな」(ラオウ)

 

「(なぜ?) ケンシロウの最期を見届けるためよ」
「サウザーの謎を解かぬ限り、ケンシロウは死ぬ」(ラオウ)

 

「私はサウザーの謎を知っている」(トキ)

 

「ケンシロウを殺させはせぬ」
「彼にはまだなすべきことが残っている」(トキ)

 

「クズ共め、わしが手を汚すまでもないわ」(ラオウ)

 

「さあ、行こう。ケンシロウの元へ」
「彼の戦いを見届けに」(トキ)

 

「待っていたぞ。北斗神拳伝承者・ケンシロウ」(サウザー)

 

「失せろ、雑魚共に用はない」(ケンシロウ)

 

「道を空けるがよい」
「ケンシロウの道を阻む者は、この北斗の長兄と次兄が許さぬ」(トキ)

 

「”南斗乱るる時、北斗現れり”と言うが…ちょうどよい! 北斗三兄弟!」
「まとめて聖帝十字陵の礎にしてくれるわ」(サウザー)

 

「来るな! 来るでない!」
「私は、この聖碑を積まねばならぬ」(シュウ)

 

「この石は、100人の人質の命」
「そして南斗六聖拳の乱れを防ぎきれなかった、私の心の痛み」(シュウ)

 

「どこまでも愚かな奴よ」
「六星の乱れに責めを感じておるとはな」(サウザー)

 

「サウザーよ。この石を抱えたまま、この場で死ねと言うのか?」(シュウ)
「いかにも」(サウザー)

 

「よかろう! 貴様のためではない」
「散っていった南斗六星のため、死んでいった星の男達のため」
「せめて聖碑を積もう」(シュウ)

 

「しかし、この聖帝十字陵はいずれ崩れ去る」
「北斗神拳伝承者の手によって」(シュウ)

 

「それが南斗の宿命」
「南斗は、天帝の星として輝かぬ!」(シュウ)

 

「ただ積んだだけでは完成せぬ」
「南斗の血が漆喰となってこそ、十字陵はより堅固なものになるのだ」(サウザー)

 

「ケン…どうやら私の命もここまで…」
「一目見たかった、お前の成長した姿を…」(シュウ)

 

「ケンシロウか?」
「お前が、ケンシロウ。見える、な…なんということだ」
「神が…最後に1つだけ願いを叶えてくれた」(シュウ)

 

「たくましくなったな、ケンシロウ」
「お前には、我が息子シバの面影が見える」(シュウ)

 

「もはや悔いはない」
「私の仁の星の血は間違っていなかった」(シュウ)

 

「行け、ケンシロウ。そして時代を開け」
「私は、いつもお前を見ているぞ」(シュウ)

 

「シバが…待っている、妻も…」
「さらばだ、ケンシロウ」(シュウ)

 

「仁の星は最後に強く輝いた」
「さらばだ、シュウ」(トキ)

 

「みごとな最期だった」(ラオウ)

 

「俺の中で生きよ、仁の星の男」(ケンシロウ)

 

「サウザー!」
「貴様の髪の毛1本も、この世には…残さーーん!」(ケンシロウ)

 

67話

「ケンシロウ、その遠吠えが貴様の遺言となる」(サウザー)

 

「”南斗乱るる時、北斗現れり”と言う」
「ならば、お前と闘うが俺の宿命」(サウザー)

 

「今こそ、南斗屈辱の歴史に終止符を打つ時」
「南斗と北斗、2000年の争いに決着をつける時だ」(サウザー)

 

「兄達より先にこの墓に果てるがよい」(サウザー)

 

「サウザー! この石段はシュウの悲しみ」
「貴様が今まで重ねてきた罪の重さ、1歩1歩噛みしめて上ってくるがいい」(ケンシロウ)

 

「そうではない」
「この歩みは北斗神拳終焉への秒読み」(サウザー)

 

「手出しはならぬ」
「この闘いを邪魔する者は許さぬ!」(ラオウ)

 

「見るがいい! この子供を」
「シュウへの思いがこんな子供をすら血迷わせる」(サウザー)

 

「愛ゆえに、人は苦しまねばならん!」
「愛ゆえに、人は悲しまねばならん!」
「愛ゆえに!」(サウザー)

 

「みなしごだった俺は、南斗鳳凰拳の先代継承者オウガイに拾われた」
「子のなかったオウガイは、俺を実の子のように育てた」(サウザー)

 

「厳しい修行の日々ではあったが」
「それをつらいと思ったことは一度もなかった」(サウザー)

 

「俺はどんな厳しい修行にも耐えた」
「1つの技を体得した後、あの大きな手、大きな温もりに抱かれる喜びのために」(サウザー)

 

「そして、俺が15歳になった時…」(サウザー)

 

「南斗極星の拳・南斗鳳凰拳もまた一子相伝」
「新たなる継承者に倒されていくのも、我等が宿命」
「真の継承者への道に情けはないのだ」(オウガイ)

 

「わしに悔いはない」
「わしはお前の瞳の中に、極星・南斗十字星を見ていたのだ」(オウガイ)

 

「こんなに…こんなに悲しいのなら…こんなに苦しいのなら…」
「愛など…愛などいらぬーーっ!」(サウザー)

 

「俺はその時から愛を捨てた」
「いや、帝王の星が目覚めたのだ」(サウザー)

 

「帝王に愛などいらぬ」
「歯向かう者は、死あるのみ!」(サウザー)

 

「ならば俺は、愛のために戦おう」(ケンシロウ)

 

「ケンシロウ! お前は俺に敗れた男」
「何度挑もうが、北斗神拳ではこの聖帝を倒すことは出来んぞ」(サウザー)

 

「貴様は神が与えたこの聖帝サウザーの肉体の前に敗れ去るのだ!」(サウザー)

 

「滅びるがいい、お前の愛する愛と共に!」(サウザー)
「愛は滅びぬ」(ケンシロウ)

 

「せめてひと傷、貴様の体にシュウの拳を浴びせたかった」(ケンシロウ)

 

「だが貴様を倒すのはあくまでも乱世の拳、北斗神拳!」(ケンシロウ)

 

「愚かな男よ。どこまでも悲しみを引きずっていくつもりか」(サウザー)

 

「この遺体は我が師オウガイ」
「この聖帝十字陵は、偉大なる師オウガイへの俺の最後の心」(サウザー)

 

「そして、この俺の愛と情けの墓でもあるのだ!」(サウザー)

 

「俺は愛も情けも捨てた」
「悲しみを引きずる貴様の拳では、俺を傷つけることはできても」
「この俺の血を絶やすことは出来ん!」(サウザー)

 

「南斗の極星が天に輝く!」
「次に鳳凰拳の前に敗れ去るのは誰だ!」(サウザー)

 

「サウザー!」
「貴様の体の謎、見切った!」(ケンシロウ)

 

68話

「お前の鼓動と血の流れが、俺に謎を解かせた」(ケンシロウ)

 

「心臓の位置も逆、そして秘孔の位置も表裏・逆」
「それがお前の体の謎」(ケンシロウ)

 

「さすがに北斗神拳伝承者だな、ケンシロウ」
「だがそれだけで俺の謎をつかんだことにはならん」(サウザー)

 

「ならばこちらも南斗極星の拳の伝承者として」
「奥義を尽くさねばなるまい」(サウザー)

 

「帝王の拳・南斗鳳凰拳に構えはない」
「敵はおのずからひざまずく」(サウザー)

 

「だが対等の敵が現れた時、帝王自ら虚を捨て立ち向かわねばならん」
「すなわち”天翔十字鳳”、帝王の誇りを懸けた不敗の拳!」(サウザー)

 

「(奥義?) ならばその礼に応えてやろう」(ケンシロウ)

 

「天も宿命の対決に興奮しておるわ」(サウザー)

 

「天空に2つの極星は要らん!」(サウザー)

 

「天空の鳳凰は落ちぬ!」(サウザー)

 

「鋼鉄をも切り裂く俺の拳を受けて、その程度の傷で済むとはな」(サウザー)

 

「北斗神拳の真髄は闘気」
「闘気は肉体を鋼鉄以上に変える」(ケンシロウ)

 

「我が師オウガイよ」
「もうすぐあなたの聖帝十字陵は完成する」(サウザー)

 

「そして北斗神拳2000年の歴史も、ここで幕を下ろす」(サウザー)

 

「”南斗乱るる時、北斗現れり”」
「北斗の影に怯え、今日まで沈黙を強いられてきた南斗の先人達」
「だが、それも今日終わる」(サウザー)

 

「極星は1つ! 天に輝く天帝は南斗十字星!」
「この聖帝サウザーの将星なのだ!」(サウザー)

 

「”天破活殺”の奥義は闘気」
「すなわち闘う気迫をもって、触れずして秘孔を突くことにあり」
「将星、落ちるべし!」(ケンシロウ)

 

「ま…まだだ」
「た…たとえ我が秘孔が表裏逆と判明しても、正確には俺の秘孔の位置は分かるまい」
「南斗の将の体に傷をつけた罪、償ってもらうぞ!」(サウザー)

 

「その謎を覆う鎧、既に剥がれている」(ケンシロウ)

 

「経絡とは、いわば血の流れ、神経の流れ」
「秘孔とはその要」(ケンシロウ)

 

「もはや貴様は、帝王という鎧を剥がされた」
「ただの人間に過ぎん」(ケンシロウ)

 

「だが俺は、南斗聖拳最強の男」
「見ろ! たとえ秘孔が判明しようと、闘気だけで俺を倒すことは出来ぬ!」(サウザー)

 

「貴様に俺を倒す秘孔は突けぬ」
「天空を舞う羽と化す、南斗鳳凰拳に致命の拳を突き入れることは出来んのだ」(サウザー)

 

「”鳳凰すでに翔ばず”」
「貴様は翼をももがれたのだ」(ケンシロウ)

 

「俺は聖帝サウザー! 南斗六星の帝王」
「ひ…退かぬ! 媚びぬ! 省みぬ!」(サウザー)

 

「帝王に敗北はない!」(サウザー)

 

「き…貴様…苦痛を生まぬ有情拳を…」
「こ…この俺の死でさえ、情けで見送るのか」(サウザー)

 

「鳳凰の…聖帝の夢は、潰えたか…」(サウザー)

 

「さ…最後に、お前に聞きたいことがある」
「愛や情けは悲しみしか生まぬ」(サウザー)

 

「なのに、なぜ悲しみを背負おうとする?」
「なぜ苦しみを背負おうとする?」(サウザー)

 

「悲しみや苦しみだけではない」
「お前も温もりを覚えているはずだ」(ケンシロウ)

 

「温もり…」(サウザー)

 

「お前の命はもはやこれまで」
「一番死にたい所で死ぬがいい」(ケンシロウ)

 

「負けだ、完全に俺の負けだ」
「北斗神拳伝承者、相手に不足はなかった」(サウザー)

 

「オウガイ先生…」
「せ…先生…昔のように、もう一度温もりを…」(サウザー)

 

「悲しい男よ。誰よりも愛深きゆえに…」(ケンシロウ)

 

「シュウの仁の星も泣いている」(トキ)

 

「ケンシロウ…もはや私が手を貸す男ではない」(トキ)

 

「我が生涯の敵がまた1人…」(ラオウ)

 

「(どこへ?) 再び天へ」(ラオウ)

 

「トキ、いずれ貴様とも闘うことになろう」
「2人の敵、貴様とケンシロウを倒さぬ限り、天は握れぬ」(ラオウ)

 

69話

「傷は、まだ完全に癒えぬ…まだ!」
「だが俺は…拳王は必ず復活する!」
「乱世を支配するのは、この拳王だ!」(ラオウ)

 

「私は一生を子供達や病に苦しむ人々と共に終わるつもりだった」(トキ)

 

「だが…ケンシロウ、お前の戦いを見ているうちに考えが変わった」
「血が燃えるのだ。熱く、強く!」(トキ)

 

「私も一度は拳法を目指した男」
「その男の本能が私を突き動かす」(トキ)

 

「ラオウ…不憫な奴よ」
「まだ拳も野望も捨てられぬのか」(コウリュウ)

 

「ラオウ…お前の無念、この私が一番よく分かる」
「それゆえ…それだからこそお前の捨てられぬ拳、この私が封じよう」(コウリュウ)

 

「それも北斗2000年の掟」
「かつて継承者を目指した男の宿命」(コウリュウ)

 

「拳王復活の確かな証を!」(ラオウ)

 

「私も己の宿命に生きよう」(トキ)

 

「北斗神拳は一子相伝。あの男の拳を封じねばなるまい」
「我が生涯の敵、その名はラオウ!」(トキ)

 

70話

「我が傷の回復の度合いを測る相手、コウリュウ以外になし」(ラオウ)

 

「コウリュウ、すまんが命をもらう」(ラオウ)

 

「感謝してるの」
「果物食べるなんて久しぶりだもん」(リン)

 

「こんな大きな果物作るなんて、この村の人達の努力の積み重ねね」(リン)

 

「出来ることなら、この子達とずっと旅をしていたかった」
「だが私には宿命がある」(トキ)

 

「北斗2000年の掟を破った男、ラオウ」
「ラオウの拳、それを誰かが封じねばならぬ」(トキ)

 

「俺は拳王、拳法の覇道を行く男!」(ラオウ)

 

「よかろう、これもまた北斗の宿命」(コウリュウ)

 

「伝承者争いに破れ散っていった男達」
「お前も、その男達同様、ここで供養してやろう」(コウリュウ)

 

「ラオウ、お前は北斗2000年の闇に消えるべき男」(コウリュウ)
「ならば…俺は北斗の闇を光の中に浮かび上がらせよう!」(ラオウ)

 

「傷は癒えた!」
「拳王は死なず」(ラオウ)

 

「ラオウ、トキ、ケンシロウの三兄弟により、北斗神拳は今最強の時代」
「神はなぜ、同じ時代に3人の非凡な男を送り出したのだ」(コウリュウ)

 

「もし…もしも3人が別の時代に生きたのなら」
「各々が名に恥じぬ伝承者となったであろう」(コウリュウ)

 

「ケンシロウ」
「この私の病んだ体では、復活したラオウを倒せぬと言うのか」(トキ)

 

「よかろう、その目で確かめるがよい」
「私の病が拳をも蝕んでいるかを」(トキ)

 

「ケンシロウ、お前と闘うのは恐らくこれが最後であろう」
「拳法家として、男として、一度闘ってみたかった相手」(トキ)

 

「北斗神拳伝承者の拳、存分に味わおう」(トキ)

 

「トキ。俺が引かれ追い続けた」
「北斗2000年の歴史の中で最も華麗な技を持つ男」(ケンシロウ)

 

「見事だ、ケンシロウ。伝承者の拳、確かに味わった」(トキ)
「トキ、もし病に侵されていなければ…」(ケンシロウ)

 

「お前と互角に闘えたのは宿命の持つ力」
「今倒れてはならぬという宿命が、この病んだ体をも突き動かしているのだ」(トキ)

 

「私には逃れえぬ宿命がある」
「ケンシロウ、この魂はお前に残そう」
「そして、この肉体は…ラオウとの死闘に捨てよう」(トキ)

 

「同じ道を進めば、同じ宿命を背負う」
「真(まこと)の兄弟ならば、違う道を進むがよい」(ラオウ)

 

「北斗の掟は俺が守る」
「俺がラオウを倒す」(ケンシロウ)

 

「いや私には、どうしてもあの男を…ラオウを倒さねばならぬ理由があるのだ」
「私とラオウだけが知っている宿命が」(トキ)

 

「死兆星…私の死期は近い」
「ならば私も1人の拳士として、この生を全うしよう」(トキ)

 

「あの日、あの時、同じ日にリュウケンの養子となり」
「北斗神拳の道に踏み込んだのが、この宿命の始まりだ」(ラオウ)

 

「トキ…来るか、トキ!」
「トキーーッ!」(ラオウ)

 

71話

「やはりここに足が向いたか、トキ」(ラオウ)
「父と母が私達兄弟を引き合わせてくれたらしい」(トキ)

 

「ここの他にあなたと闘う場所はない」(トキ)

 

「泣くな、トキ」
「泣いても父や母は帰ってこん」(ラオウ)

 

「俺達は強く生きねばならん」
「そのために、俺達は今日まで拳法を学んできた」
「強い男になるんだ!」(ラオウ)

 

「俺達兄弟は誰にも負けん!」
「この世で一番強い兄弟であることを!」(ラオウ)

 

「私が養子の約束をしたのは1人」
「2人は要らん」(リュウケン)

 

「這い上がってこい!」
「這い上がってきた方を養子としよう」(リュウケン)

 

「強くなくては、北斗神拳伝承者への道は歩めぬわ!」(リュウケン)

 

「弟と一緒でなくては養子に行かん!」
「トキの面倒は俺が見る!」(ラオウ)

 

「この子…わしの想像を超える男になるかもしれん」(リュウケン)

 

「ラオウ。あなたは師父リュウケンの想像を超え、あまりにも強くなりすぎた」
「そしてその野望も!」(トキ)

 

「後悔せぬか?」(ラオウ)
「自ら望んで選んだ道、なんのためらいもない」(トキ)

 

「それでこそ我が弟、トキ」
「ならば互角の闘いが出来よう」(ラオウ)

 

「(止めることは)出来ぬ」
「2人の血の間には、誰も入ることは出来ぬ」(ケンシロウ)

 

「確かに迷いも見えぬ、怯えも見えぬ」
「死期が貴様の拳を高めたか?」(ラオウ)

 

「私の拳を高めたのは死期ではない」
「ラオウ、あなた自身の存在だ」(トキ)

 

「俺は負けん! 絶対にくじけん!」
「俺がくじけたら、お前も放り出される」
「そんなことは絶対にさせん」(ラオウ)

 

「それにな、俺は強くなりたいんだ」
「見てろよ、トキ」
「俺は必ずこの世で一番強い男になる」(ラオウ)

 

「そして、このラオウの名を天下に鳴り響かせてみせる!」(ラオウ)

 

「兄さんを超えたいから」(トキ)

 

「いいか、トキ」
「もし俺が道を誤った時は、お前の手で俺の拳を封じてくれ」(ラオウ)

 

「誓いの時は来た」
「今私はあなたを超える!」(トキ)

 

「さすが我が弟よ」
「だがお前は決して俺を超えることは出来ん」(ラオウ)

 

「相変わらず優しい拳だ」(ラオウ)

 

「だが甘い!」
「必殺の間合いに入って来ねば、この俺は倒せぬわ!」(ラオウ)

 

「トキ。このラオウを目指していたのであれば、なぜ非情の剛の拳を学ばなかった」
「剛の道に踏み込めなかったその優しさが、命取り!」(ラオウ)

 

「もはやこの勝負、見えたわ!」(ラオウ)

 

「忘れたか、ラオウ」
「私があなたの全てを目指していたことを」(トキ)

 

「私の中に流れるラオウと同じ血は、私にこの拳を会得させた」(トキ)

 

「ラオウ、この拳は私の最後の闘い」
「あなたとの闘いまでは使わぬと誓っていた」(トキ)

 

「天を見よ!」
「見えるはずだ、あの死兆星が」(トキ)

 

「な…なんと、我が頭上に死兆星が!」(ラオウ)

 

「北斗2000年の歴史の中に言い伝えがある」
「”互角の拳を持つ強者(つわもの)相闘う時、その両者の頭上に死兆星輝く”と」(ケンシロウ)

 

「さあ、宿命の幕を閉じよう、ラオウ!」(トキ)

 

72話

「北斗神拳は一子相伝」
「その伝承者がケンシロウと決まった今、俺がここにいる理由はない!」(ラオウ)

 

「北斗神拳は第一歩に過ぎぬ」
「俺は天を握り、あらゆる拳法を手中に修める」(ラオウ)

 

「(約束?) 覚えておる、この拳を封じるのはお前だ」
「いつでもこの拳を封じに来るがいい」(ラオウ)

 

「さらば、ラオウ!」
「今約束を果たそう!」(トキ)

 

「トキ…これが貴様の剛拳か?」(ラオウ)

 

「き…効かぬ」
「き…効かぬのだ、トキ!」(ラオウ)

 

「病を得ず、柔の拳ならば俺に勝ったかもしれぬものを…」(ラオウ)

 

「哀れトキ」
「幼き時より俺を追い続け、非情の宿命に生きてきた我が弟よ…」(ラオウ)

 

「さらばトキ、死兆星はお前の頭上に落ちる!」(ラオウ)

 

「トキよ…お前の命を奪うのは俺ではなかった」
「既に、病がお前の命を奪っていた」(ラオウ)

 

「ありあまる才能がありながら、北斗の男が病ごときに…」(ラオウ)

 

「この病も、逃れられない宿命の1つ」
「ならば、全身で受け止め最期まで闘うのみ」(トキ)

 

「泣くな! 二度と涙を流してはならぬ!」(ラオウ)

 

「この兄を超えたくば、涙は捨てろ」
「涙は拳に無用」
「涙を、己の望みと拳に変えるのだ!」(ラオウ)

 

「俺はもう既に涙を捨てた」
「この拳のため、そして天をつかむために!」(ラオウ)

 

「そこまで、死期がせまった体でありながら…」
「トキ! その心が、幼き日のままの心が」
「死を覚悟してなおかつ、まだこのラオウを目指そうとした心が…」
「この俺の枯れた涙を呼び戻した!」(ラオウ)

 

「もはや悔いはない」
「宿命の幕を閉じよ、ラオウ」(トキ)

 

「ケンシロウ、よく見ていろ」
「これが宿命…血を分けた兄弟が同じ拳の道に進み、唯一最強の拳士を目指した」
「それもこれまで、この俺の拳で全ては終わる!」(ラオウ)

 

「トキよ…これが俺の生涯で流す最後の涙となろう」(ラオウ)

 

「さらば、我が生涯最強の敵…」
「さらば、我が最愛の弟…」
「これが、貴様が目指した兄ラオウの拳!」
「よく見て死ぬがよい!」(ラオウ)

 

「この一撃は、お前の悲しき宿命への兄の恨みの一撃と思え」(ラオウ)

 

「今、拳王を目指した男トキは死んだ」
「ここにいるのはただの病と戦う男トキ」(ラオウ)

 

「残る余生、安らかに暮らすがよい」(ラオウ)

 

「泣きたくば泣くがよい、もう責めはせぬ」
「体をいとえよ、トキ」(ラオウ)

 

「トキは死んだ! そして俺も!」(ラオウ)

 

「ケンシロウ! 拳王恐怖の伝説は今より始まる!」
「この命奪いたくば、いつでも来るがよい!」(ラオウ)

 

73話

「心配するな、女子供には何もせぬ」(リュウガ)

 

「(名?) 狼…その墓をいつまでも守ってくれ」(リュウガ)

 

「果たして、この乱世にあの虹をつかむのは…」(リュウガ)

 

「心配することはない」
「死ぬのは奴等だ」(ケンシロウ)

 

「お前は人の上には立てぬ」
「この村は私がもらい受けよう」(リュウガ)

 

「私の名はリュウガ」
「我が宿命の星は”天狼星”」(リュウガ)

 

「諦めるんだな」
「悪党の最期はこんなものだ」(ケンシロウ)

 

「腐った枝は大木には要らん!」
「腐った枝は、切り払うのみ!」(リュウガ)

 

「この乱世には大木が必要なのだ」
「強大な力を持った支配という名の大木がな」(リュウガ)

 

「さらばだ、ケンシロウ」
「だが、いずれまた会うだろう」(リュウガ)

 

「あなたの伝説を汚すであろう、腐った枝を払っておきました」(リュウガ)

 

「(部下には)あえて我が心中は語らず」
「しかし、あなたへの誓いは変わりません」(リュウガ)

 

「(褒美?) もし許されるならば…ケンシロウとの闘いを」(リュウガ)

 

「我が宿命、天狼星のゆえに」(リュウガ)

 

「ケンシロウ…天狼の星リュウガが、お前の持つ宿命見届けよう」(リュウガ)

 

74話

「欲望がむき出しか、嫌な時代だ」
「いつまでこんな悲しい時代が続くのか」(リュウガ)

 

「この世には巨木が必要」
「この混乱を治めるには、まず恐怖」(リュウガ)

 

「時代は拳王様を…北斗を望んでおります」
「私は喜んであなた様の刃になりましょう」(リュウガ)

 

「私の望みは1つ」
「もう1人の北斗の男を、この目で確かめること」(リュウガ)

 

「天狼星は極星を目指す星ではございません」(リュウガ)

 

「北斗にもくみせぬ孤独な星」
「極星を目指さぬ星、天狼星」(リュウガ)

 

「(無抵抗が武器?)  ならば、その武器でこの小僧の命を守ってみよ!」
「うぬらの笑いで守ってみよ!」(ラオウ)

 

「小僧…怖くば俺の腕を食いちぎってでもあらがえ」
「戦わねばその震えは止まらぬ」(ラオウ)

 

「意思を放棄した人間は人間にあらず」
「ただ笑いと媚に生きて何が人間だ」(ラオウ)

 

「己を捨てて何が無抵抗だ」
「よいか! この拳王には無抵抗は武器にはならぬ!」(ラオウ)

 

「天狼の星は、しょせん極星になれぬことを知りました」
「極星として輝くのは、あなたのような覇道を目指すお方」(リュウガ)

 

「ラオウは子供に恐怖と戦いを教え、ケンシロウは子供の無垢な心を捉える」
「時代は、果たしてどちらの巨木を欲しているのか」(リュウガ)

 

「だが、時代は急ぐ。強烈なる巨木なくばこの世は治まらぬ」
「そのためなら、天狼は望んで血に飢えた狼となろう」(リュウガ)

 

75話

「一度お前達が食料を運べば、奴等は味をしめて何度も同じことをやらせるだろう」
「繰り返すうちに、お前達は本物の悪党になる」(ケンシロウ)

 

「なぜ戦わぬ?」
「死ぬ気があるなら、悪党共を倒すのは容易いはず」(ケンシロウ)

 

「知らないのか?」
「人の食べ物を奪う奴は、ろくな死に方をせん」(ケンシロウ)

 

「お前はもう死んでいる」
「しかし、貴様には貴様にふさわしい最期がある」(ケンシロウ)

 

「なぜ彼等の顔はあれほど明るい?」(リュウガ)

 

「俺は拳王と共に戦い、多くの町を平定した」
「だが、そこで行われたのは拳王の恐怖による支配」(リュウガ)

 

「人々の顔は暗かった、まるで死人のように」
「だが、彼等の顔はあんなにも生きる喜びに輝いている」(リュウガ)

 

「時は来た」
「ケンシロウ、あの男とは戦わねばならぬ」(リュウガ)

 

「ケンシロウ。俺の星は天狼星、天駆ける孤独な狼」
「その牙がお前を餌食と定めた」(リュウガ)

 

「(何故?) 時代のため」(リュウガ)

 

「全ては宿命」
「南斗にも北斗にもくみせぬはぐれ星」
「天狼星の宿命なのだ」(リュウガ)

 

「お前の瞳は凍てつき寒い」
「だが、輝きを失っていない」(ケンシロウ)

 

「ユリア…我が妹ユリアよ」
「分からん…果たして時代はどちらの巨木を欲しているのか」(リュウガ)

 

「だが、時代は急ぐ」
「許せ、ユリア。俺はお前の愛した男と闘う」
「ユリア、兄を許せ!」(リュウガ)

 

76話

「これよりこの村は拳王様のもの」
「逆らう者には、死あるのみ」(リュウガ)

 

「今すぐ村を立ち去れ」
「この村は自ら井戸を掘り、地を耕した村人達のもの」(ケンシロウ)

 

「ならばこの拳で…お前に聞こう」(ケンシロウ)

 

「ユリアよ、お前はケンシロウに何を見たのか」
「冬の時代に輝く、太陽の安らぎか?」
「大地の匂いか?」(リュウガ)

 

「だがこの乱世、優しさだけでは治まらぬ」(リュウガ)

 

「ユリアよ許せ、俺はケンシロウを倒す」
「俺は望んで魔の狼の衣をまとおう」(リュウガ)

 

「北斗神拳の真髄は怒りにあると聞く」
「怒りなくしては、その全てを発揮せぬ」(リュウガ)

 

「奴がこの俺を倒せぬようであれば時代は奴を必要とせん」(リュウガ)

 

「リュウガ。その全身に浴びた返り血が」
「お前の…お前の涙に見える」(トキ)

 

「ケンシロウを深き悲しみの淵に落とす」
「そのためには、お前の死が必要なのだ」(リュウガ)

 

「奴はまだ真の悲しみを知らぬ」
「お前が死ねばケンシロウが…時代が動く」(リュウガ)

 

「そうか…いいだろう、ならば殺すがよい」
「この残り少ない命をもって」
「リュウガ…その目に時代をしかと見定めよ」(トキ)

 

「頭は下げぬぞ、トキ」
「天狼はあえて魔の狼の悪名をかぶろう」(リュウガ)

 

「トキ…我が弟よ、ついに地に落ちたか」(ラオウ)

 

77話

「ラオウ、あなたへの務めは終わった」
「後はケンシロウを倒すのみ」(リュウガ)

 

「ユリア、我が妹よ」
「お前がケンシロウに何を見たのか、この目で確かめたい」(リュウガ)

 

「(無駄な殺戮?) 闘え、ケンシロウ」
「俺と闘えば分かる」(リュウガ)

 

「それほどまで、この俺と闘いたいか」(ケンシロウ)

 

「こんな程度か…こんな程度では、この時代は動かん」(リュウガ)

 

「リュウガ…それほど死にたいか」
「ならば、死をくれてやる!」(ケンシロウ)

 

「そこまでだ、ケンシロウ…そこまでだ」(トキ)

 

「トドメを刺す必要はない」
「その男は既に、自分で自分にトドメを刺しているのだ」(トキ)

 

「見ろ、ケンシロウ」
「この床に伝わる血は、リュウガ自身の血、この男の涙だ」(トキ)

 

「真の平和を求めるこのリュウガは、あえて血に飢える魔の狼となった」(トキ)

 

「だが、拳王が天を握らんとする日が近づきつつある今」
「魔の狼の役に自ら幕を下ろしたのだ」(トキ)

 

「時代を…時代をこの目で確かめたかった」(リュウガ)

 

「許せ、ケンシロウ」
「だがこれほどとは…これほどすさまじいとは」
「この天狼の目をもってしても見抜けなかった」(リュウガ)

 

「今こそ確信した」
「時代はこの男を…ラオウよりもケンシロウを選ぶであろう」(リュウガ)

 

「ケ…ケンシロウ」
「お前を選んだ我が妹、ユリアの目にやはり間違いはなかった」(リュウガ)

 

「悲しむな、ケンシロウ」
「その悲しみを怒りに変えて生きよ」(トキ)

 

「拳王の覇道は恐怖の支配によってなされる」
「されど、その後の真の平和はお前の手で…」(トキ)

 

「リュウガよ、行こう」
「乱世に生き、宿命に殉じた男達の元へ」(トキ)

 

「そして私達も星となり、熱き男達と共にケンシロウを見守ろう」(トキ)

 

「死兆星よ…さらば、ケンシロウ」(トキ)

 

第4部 最終章

83話

「俺は拳王、目指すは天」
「望むものは全て手に入れる、邪魔する者には死あるのみ」(ラオウ)

 

「拳王に伝えよ」
「恐怖で人の心はつかめぬ、野望は必ず打ち砕かれると」(ケンシロウ)

 

「(俺を倒す?) 甘い夢は捨てろ」(ケンシロウ)

 

「北斗神拳を甘く見ていたようだな」
「わずかな気配も北斗神拳は見逃さん」(ケンシロウ)

 

「お前の命は後7秒」
「身も心も清めてから地獄へ行け」(ケンシロウ)

 

「世紀末覇者と救世主、並び立たず」
「ケンシロウ、雌雄を決する時がやってきた!」(ラオウ)

 

84話

「北斗に風雲あり、五車星立つべき時が来た」
「まず俺が…俺が動く」
「南斗六聖拳最後の将のために」(ヒューイ)

 

「拳王につく者は皆殺しにする、風の旅団」
「そして俺は風のヒューイ」(ヒューイ)

 

「我が拳は風を友とし、風の中に真空を走らせ」
「その力は鋼鉄をも断つ」(ヒューイ)

 

「この拳王に弓を引く愚か者が、ケンシロウの他にまだいるというのか」(ラオウ)

 

「(誰だ?) ケンシロウ…貴様達を倒すために来た」(ケンシロウ)

 

「顔に”怖い”と書いてある」(ケンシロウ)

 

「北斗神拳はあらゆる試練を乗り越えてきた」
「その2000年の歴史を教えてやろう」(ケンシロウ)

 

「貴様! 1人の男の運命をねじ曲げ、その上用がなくなると殺す」
「許せん!」(ケンシロウ)

 

「命令ばかりしないで、お前が闘ったらどうだ」(ケンシロウ)

 

「貴様たち拳王軍団は、恐怖という鎖でつながれているこけおどしの集まりだ」
「見ろ! 今度は体中が”怖い”と言っている」(ケンシロウ)

 

「拳王の配下の者だな?」
「地獄でゆっくり言い訳をしろ」(ヒューイ)

 

85話

「風は一夜にして千里を走る、一瞬にして敵を殺める」
「そして後に影も残さず」(ヒューイ)

 

「(救世主?) 俺はただ、旅を続けているだけだ」
「俺にとって…北斗神拳にとって、最後の旅を」(ケンシロウ)

 

「そんな柔な拳では、この体に傷1つ付けることは出来ぬわ!」(ラオウ)

 

「さすがだな、拳王。想像を絶する強さだ」
「だがお前の運命もここまで、南斗五車星は必ずお前を倒す」(ヒューイ)

 

「拳王、地獄で待っている」(ヒューイ)

 

86話

「この町、まるで死んでるみたい」(リン)
「拳王の支配する町は皆同じだ」(ケンシロウ)

 

「拳王よ。風が強ければ強いほど、炎の勢いは増すと知れ」
「この炎のシュレンが貴様を倒す」(シュレン)

 

「我等の怒りの炎で貴様は燃え尽き、灰となるのだ」(シュレン)

 

87話

「愚かなことを」
「この拳王の拳に、邪魔立てする者には死あるのみ」(ラオウ)

 

「(拳王の部隊?) 知らんな」
「だが拳王の手先と知った以上、許すわけにはいかん」(ケンシロウ)

 

「貴様は知らぬ、恐怖を背負った人間の力をな」
「引くことは出来ぬこの男共の後ろにあるのは、この拳王による確実なる死」(ラオウ)

 

「五車炎情拳」
「我が身に触れようとする者は、怒りの炎に包まれる」(シュレン)

 

「奴の行進は、この俺の命で食い止める」(シュレン)

 

「貴様らのようなちっぽけな集団などゴミ同然」
「うせるがよい」(ラオウ)

 

「将の…我が将の永遠の光のため」
「拳王。貴様が我が将の前に立てば、永遠の光が涙にぬれる!」(シュレン)

 

「それだけは…それだけはさせぬ!」(シュレン)

 

「だがその程度の炎では、俺の野望を灰にすることは出来ぬ」(ラオウ)

 

88話

「当たり前のことが出来ない」
「今はそんな不幸な時代だ」(ケンシロウ)

 

「シュレン、ヒューイ、お前達の死は無駄にはせん」
「この命懸けても、南斗の将を守りきろう」(フドウ)

 

「1人の男の願いのこもったニワトリだ、貴様らが食べる物ではない」
「その代金は命であがなえ!」(ケンシロウ)

 

「愚かな夢だ」
「だがお前達は地獄に落ちた時、その夢から覚めるだろう」(ケンシロウ)

 

「名もない男だからこそ、ささやかな幸せを望んだ」
「名もない男だからこそ、それを壊したお前達が許せん!」(ケンシロウ)

 

「お前達の動きはバラバラだ」
「せめて死ぬ時ぐらい一緒に死ね」(ケンシロウ)

 

「ケンシロウさん、あなたをお迎えに参りました」
「あえて名乗らなかったのは、あなたを見定めるため」
「何とぞお許しを」(フドウ)

 

「私は五車星の1星、山のフドウ」
「我が南斗六聖拳最後の将があなたをお待ちです」(フドウ)

 

「俺は自由よ」
「くだらんことには、興味はねえ」(ジュウザ)

 

「俺は雲だ、限りなく自由」
「世間も南斗も、かんけえねえ」(ジュウザ)

 

89話

「我が南斗六聖拳最後の将の永遠の光のため」
「我ら五車の星は、天を舞い地を駆けます」(フドウ)

 

「そしてそのためなら、五車の星は粉々に砕け散っても本望」(フドウ)

 

「南斗北斗は表裏一体」
「両者が一体となった時、この乱世は治まるでしょう」(フドウ)

 

「我が将は2つの北斗のうち、拳王ではなくあなたを選びました」
「世紀末覇者より、世紀末救世主を」(フドウ)

 

「俺は救世主などではない」
「ただ北斗の掟を破ったラオウの…拳王の拳を封じたいだけだ」(ケンシロウ)

 

「あなたは、我が南斗最後の将と会わねばなりません」
「それがあなたの宿命」(フドウ)

 

「フドウ、お前の目の光を信じよう」(ケンシロウ)

 

「どうやら、ガマガエルにかけちまったようだな」
「その汚えツラは洗剤でも落ちねえな」(ジュウザ)

 

「女達は、この雲のジュウザがもらったぜ」(ジュウザ)

 

「どけ、道は天下のもの」
「誰が通るのも自由」(ケンシロウ)

 

「お前達の体からは血の臭いがただよっている」
「今までに何人もの人を殺しているな」(ケンシロウ)

 

「拳王の名を語り人々を殺め、物を奪う悪党共、かかってこい」(ケンシロウ)

 

「世が乱れれば、このような小悪党がはびこる」(フドウ)

 

「ケンシロウさん」
「だからこそあなたは、我が南斗最後の将に会わねばなりません」(フドウ)

 

「やなこったい」
「俺は誰にも縛られねえ、誰の命令も聞かねえ」(ジュウザ)

 

「俺は食いたい時に食い、飲みたい時に飲む」(ジュウザ)

 

「俺はあの雲のように、自由気ままに生きるのよ」(ジュウザ)

 

90話

「何を今更、人のために命を懸けねばならんのだ?」(ジュウザ)

 

「見ろ、この美しい女達を」
「盗賊共に捕らわれていたところを、俺が頂いてきたんだ」(ジュウザ)

 

「俺はこうやって、毎日を面白おかしく遊んで暮らすのよ」
「自由気ままにな」(ジュウザ)

 

「忘れい!」
「そのことを忘れねば、うぬらをこの場で叩き殺す!」(ジュウザ)

 

「やはり、忘れられない…」
「俺が幼い頃に妹のようにかわいがり、そして育てた女…」(ジュウザ)

 

「(叶わぬ?) そのようなバカなこと、私には納得がいきません」
「(本当の)妹…」(ジュウザ)

 

「俺は今、虫の居所が悪いんだ」
「手を出せば死ぬぞ」(ジュウザ)

 

「やるなら来やがれ」
「折りたたんで墓場に放り込んでやるぜ!」(ジュウザ)

 

「我が拳は我流、誰のマネでもなく誰にもマネは出来ない」
「それゆえ、誰にも読むことは出来ぬ」(ジュウザ)

 

91話

「この拳王の進軍を阻むことは誰にも出来ぬ」
「今この俺に立ち向かえるのは、ジュウザ唯1人」(ラオウ)

 

「だが、ジュウザは動かぬ」
「奴はこの世に魂を捨てた男」(ラオウ)

 

「既にお前の相棒はいない!」
「いよいよ最期だ」(ケンシロウ)

 

「表で綺麗事を言いながら裏で脅かす」
「だがそんな方法では、人々の真の心は捉えられぬ」(ケンシロウ)

 

「(お前は)死刑だ」
「村人達を苦しめた罪、地獄であがなえ」(ケンシロウ)

 

「生きてるうちが花なのよ」
「楽しく飲もうぜ! 大いに騒ごうぜ!」(ジュウザ)

 

「俺には弱点が1つだけあってな」
「あんたみたいな美人に弱いってこ…」(ジュウザ)

 

「ジュウザ」
「わたくしのためにお前の命が欲しい」
「わたくしの願いを聞いてくれぬか?」(ユリア)

 

「あんた…あんただったのか?」
「よかろう。このジュウザの命、あんたにくれてやるぜ!」(ジュウザ)

 

92話

「ジュウザ、全てはお前の拳にかかっている」
「我が将の瞳を涙で曇らせてはならぬ」(リハク)

 

「分かってる、俺の好きでやることだ」
「あの人に涙は流させん…必ずな!」(ジュウザ)

 

「てめえら! 相手を誰だと思っていやがるんだ!」
「拳王だぜ!」(ジュウザ)

 

「今や飛ぶ鳥を落とす権勢、世紀末覇者の拳王だ!」
「死ぬぜ…必ず」(ジュウザ)

 

「行き先は地獄だぜ!」(ジュウザ)

 

「その思い上がり、打ち砕いてくれる」(ケンシロウ)

 

「(なぜ?) 雲ゆえの気まぐれよ」
「ラオウ、ここは通さん」(ジュウザ)

 

「だが魂を捨て、執念も何もない貴様のふぬけた拳では」
「この俺は倒せぬぞ!」(ラオウ)

 

「ならば試してみるがよい」
「我が拳に一点の曇りがあるかどうか、お前の体でな!」(ジュウザ)

 

「浅かったわ」(ジュウザ)

 

「分からぬ…だが、貴様に心と拳が蘇った今この俺も」
「馬より降りて戦わねばなるまい」(ラオウ)

 

「では我が南斗最後の将のためこの場に拳王」
「お前を葬ろう」(ジュウザ)

 

93話

「ジュウザが立ち上がってくれた」
「だが…果たしてこれ以上の血を流してよいものか」(ユリア)

 

「(容赦?) したら、お前の負けだ」(ジュウザ)

 

「ジュウザよ。この世の覇者の拳、死出の土産に持っていくがよい」(ラオウ)

 

「俺の拳法は自ら編み出した我流、自らの拳に懸けるのみ」
「恐怖など感じている暇はない」(ジュウザ)

 

「そして我が拳は誰にも読めぬ」(ジュウザ)

 

「この拳王の膝を地に付かせるとは」(ラオウ)

 

「さすがだ、ラオウ」
「他の男なら最初の一撃で死んでいる」(ジュウザ)

 

「殺めた人の数を誇るな」
「その虚しさを知らぬ貴様は、死ぬべきだ」(ケンシロウ)

 

「どうやら1万人目を飾るのは、お前自身のようだな」(ケンシロウ)

 

「だが、うぬの拳には弱点がある」
「自ら編み出した拳法・我流の拳は、攻撃において威力を発揮するが」
「守備に回ればもろさを出す」(ラオウ)

 

「俺の拳は邪拳ゆえ、タネ明かしは一度っきり」(ジュウザ)

 

「ラオウ、貴様の足を奪った!」
「俺はまだ死なん、生きていてこそ楽しみがある」(ジュウザ)

 

「これが雲のジュウザの生き方よ!」(ジュウザ)

 

「俺は…何日奴を止めればいい?」
「そうか、2日…」(ジュウザ)

 

「恐るべし、ラオウ」
「やはり…この命、捨てねばなるまい」(ジュウザ)

 

94話

「(車?) いらぬ!」
「この拳王が体を預けるのは黒王号のみ」(ラオウ)

 

「あなたに会えば、あのお方の悲しみに打ち沈んだお顔が」
「温かい微笑みに変わりましょう」(フドウ)

 

「そのためならば我ら五車星の血など、最後の1滴まで流れて本望」(フドウ)

 

「そしてあなたの宿命の旅も」
「そこで終止符が打たれるかもしれません」(フドウ)

 

「それにしても…あなた(リン)の目は、我が将の目によく似ている」(フドウ)

 

「この山のフドウ、思う存分働いてみせるわ」(フドウ)

 

「これで…もう一度戦闘服に身を包まねばならなくなったか」(ジュウザ)

 

「(もう真面目になる?) 少し遅かったな」
「この足を離したら、お前は死ぬ」(ケンシロウ)

 

「しっかりつかまれ、父さんはここにいるぞ」
「お前達を見捨てはせん、未来あるお前達を!」(フドウ)

 

「すまぬ将よ、俺はもはやここまで」
「しかし、誰かがこの子らに愛を信じさせてやらなければ…」(フドウ)

 

「もう大丈夫だ」(フドウ)

 

95話

「将の涙も、この子の涙も違いはない」(ケンシロウ)

 

「人の血と涙で、己の未来をつかもうとは思わぬ!」(ケンシロウ)

 

「将と会うのが宿命ならば、必ず会えるだろう」(ケンシロウ)

 

「この子達をこのまま死なせはせん!」(フドウ)

 

「この傷の痛みは一瞬」
「あんたの死の痛みは一生残る」(フドウ)

 

「つまらぬ拳だ。そんな拳を持ったゆえに鬼となったか」(ケンシロウ)

 

「その(流砂の)穴の中で、己が犯した罪の1つひとつ」
「ゆっくり思い起こすがよい」(ケンシロウ)

 

「ケンシロウさん…この人は我々の想像より遥かに強く」
「そして心が温かい」(フドウ)

 

「ケンシロウ、さすがにユリアが愛した男よ」
「このジュウザ、安心したわ」(ジュウザ)

 

96話

「ケンシロウとラオウ」
「果たして運命はどちらを先にこの城に呼び寄せるのか」(ユリア)

 

「我が将よ…この命、あなたに捧げよう」(ジュウザ)

 

「来るんじゃねえ」
「お前達の出る幕じゃねえ、これからは俺と拳王2人の戦いだ」(ジュウザ)

 

「生きろよ、自分の命をつかむんだ」(ジュウザ)

 

「命を捨てに戻ったか、ジュウザ」(ラオウ)

 

「ただでは捨てぬ、俺は寂しがり屋でな」
「貴様を道連れにして行こうと思っている」(ジュウザ)

 

「久しぶりに体が燃えるわ」(ラオウ)

 

「見事この俺を止めてみろ、ジュウザ」
「うぬの秘拳、この目で確かめてやる」(ラオウ)

 

「もとより、秘拳なくして貴様を止めることなど出来ぬ」
「我が拳の真髄、その目に焼き付けておくがよい」(ジュウザ)

 

「我流の拳の真髄は背水の陣」
「防具があればそこに油断・甘えが生ずる」(ジュウザ)

 

「生か死か!」
「いずれか1つの背水の拳の威力はラオウ」
「お前が一番よく知っているだろう」(ジュウザ)

 

「追い詰められたネズミは猫も噛むという」
「自ら命を懸けてネズミと化したか、ジュウザ」(ラオウ)

 

「だが、ネズミに獅子は倒せぬ」(ラオウ)

 

「ジュウザ。身をすり合わすほどの接近戦が、お前の秘奥義と見た!」(ラオウ)

 

「さすがだな、ラオウ」
「最後のタネも一瞬に見抜かれたか」
「この肩を突いて、致命の一撃をかわすとは」(ジュウザ)

 

「その通り、そこは”鏡命”という秘孔」
「もはやここまでだ、ジュウザ」
「その手は崩れ去る」(ラオウ)

 

「ダメだ」
「フドウ、お前を連れて行くわけにはいかん」(ケンシロウ)

 

「あなたを南斗の都までお連れするのが五車の星、山のフドウの使命」
「たとえこの身が砕けようとも…」(フドウ)

 

「お前のためではない」
「子供達はどうする?」(ケンシロウ)

 

「この子達には、お前しかいないんだ」
「父とも母とも頼む者は」(ケンシロウ)

 

「フドウ、お前は死んではならぬ男だ」(ケンシロウ)

 

「さあ! 討ってこい、ラオウ!」(ジュウザ)
「よかろう! では、あの世に逝くがよい!」(ラオウ)

 

「将よ…あんたに会った時から、覚悟は決めていた」
「この命ないものと思っていた」(ジュウザ)

 

「これで最後だ!」(ジュウザ)

 

「冥土の土産に貴様の腕1本、もらった!」(ジュウザ)

 

「ケチケチすんなよ、いい取引だと思うぜ」(ジュウザ)

 

「後一息…後一息もってくれ!」(ジュウザ)

 

「全ては南斗六聖拳最後の将のため」(ジュウザ)

 

「(何者?) 言わぬ。言えば貴様は疾風となり我が将のもとに走る」
「天を握った貴様が最後に望むもの、それが我が将」(ジュウザ)

 

「ジュウザ、うぬはこの拳王の力を見誤ったわ!」(ラオウ)

 

「拳王の鋼鉄の肉体は」
「砕けぬ! 折れぬ! 朽ちぬ!」(ラオウ)

 

「今日まで我が将の正体をひたすら隠しておりましたが、その理由は唯1つ」
「世紀末恐怖の覇者、拳王の耳に入るのを防ぐため」(フドウ)

 

「正体を知れば、ラオウは歓喜して奪いに走りましょう」
「我が将は…女性でございます」(フドウ)

 

「南斗六聖拳最後の将は…」
「その女性は…あなたが愛したユリア様でございます」(フドウ)

 

97話

「ユリア様はいずれ、南斗の将となられる運命(さだめ)」
「南斗正統血統として死すべき時まで、ユリア様をお守りするのが我等の務め」(リハク)

 

「生かせよ。ユリア殺しの悪名、あえて俺がかぶろう」
「ケンシロウとの決着をつけるには、むしろ好都合よ」(シン)

 

「いずれ俺かケンシロウ、どちらかが再びユリアの前に立つ」
「その時まで決して死なすではないぞ」(シン)

 

「俺は雲。俺は…俺の意思で動く」(ジュウザ)

 

「何事も力ずくか」
「それはてめえの思い上がりってもんだぜ」(ジュウザ)

 

「ラオウ、てめえは確かに強え」
「だが、全てが思い通りになると思うなよ」(ジュウザ)

 

「ジュウザ、せめて奥義で葬ろう」(ラオウ)

 

「死してなお戦うとはすさまじき男」(ラオウ)

 

「ここに葬ってやろうというのか?」
「黒王」(ラオウ)

 

「責めはせぬ」
「この拳王以外、うぬが唯一その背中(せな)を許した男の死」
「その気持ちも分かる」(ラオウ)

 

「ジュウザよ…うぬが語らずとも」
「その壮絶な死が、俺に将の正体を悟らせてくれたわ」(ラオウ)

 

「北斗と南斗は表裏一体」
「我が覇道は、ユリアを手にして成就せり」(ラオウ)

 

「ユリアを、ケンシロウに渡すわけにはいかぬ」
「ユリア、この拳王にふさわしい唯1人の女」(ラオウ)

 

「わたくしはただ、ケンシロウを待ち続けるだけ」
「今も昔も…」(ユリア)

 

99話

「待ちます、わたくしはケンシロウを待ち続けます」
「たとえどのような運命が、わたくしに降りかかろうと」(ユリア)

 

「それが、わたくしの変わらぬ宿命」(ユリア)

 

「こざかしい」
「我が覇道の前を阻むものなし!」(ラオウ)

 

「北斗神拳はもともと暗殺拳だ」
「毒に対するには気でもって体内の経絡を活性化し」
「毒を体外に排出させるも奥義の1つ」(ケンシロウ)

 

「北斗神拳には毒は効かぬ」(ケンシロウ)

 

「とうとう…お前をこの手に握る時が来た、ユリア!」
「長かったぞ、あの修行の日々」
「俺の心に焼き付いたあの日から…」(ラオウ)

 

「俺はついに天を握った!」
「そして俺の覇道はユリア、お前を得(う)ることで完成する」(ラオウ)

 

「誰を愛そうが、どんなに汚(けが)れようが構わん!」
「最後に、このラオウの横におればよい」(ラオウ)

 

「バカな女よ…思いが届かぬのなら、なぜこの俺を殺さぬ」(ラオウ)

 

「殺せば、二度と誰の手にも渡らぬわ!」
「一生、お前の心の中に生き続けるものを」(ラオウ)

 

「このラオウの思い届かねば、ユリア!」
「お前にも死あるのみ!」(ラオウ)

 

「南斗最後の将よ!」
「服従か死か、自ら決めよ!」(ラオウ)

 

100話

「海のリハクか。世が世なら万の軍勢を縦横に操る天才軍師」
「この部屋全体が殺気に凍りついておるわ」(ラオウ)

 

「もはやこれまでだ、ラオウ」
「せめて南斗の聖地で果てるがよい」(リハク)

 

「今ユリアとは会えん」
「ラオウある限り、ユリアに生はない」(ケンシロウ)

 

「世紀末覇者ラオウ」
「その黒い野望のためには、必ずや南斗最後の将ユリアを」
「自分の前にひざまずかせる」(ケンシロウ)

 

「ならば、俺はラオウと戦わねばならん」(ケンシロウ)

 

「聞こえる、ケンの声が」
「必ずラオウを倒して、ここに戻って来ると…」(ユリア)

 

「分かりました、わたくしはここで待ちます」
「わたくしはあの人を待つために生きてきました」(ユリア)

 

「待ち続けるのがわたくしの宿命、そしてケンとの約束」
「ラオウとの戦いを終えて帰ってくるまで待ちましょう、いつまでも…」(ユリア)

 

「荒波ごときで砕けるラオウではない」(ラオウ)

 

「そこまでだ、ラオウ」
「荒れ狂う世紀末覇者よ、死すべき時が来た」(ケンシロウ)

 

「俺はユリアのためにお前と戦う」(ケンシロウ)

 

「立て、ラオウ」
「天に帰る時がきたの」(ケンシロウ)

 

「ケンシロウ」
「うぬがどれほど強大になっていようとも、このラオウを倒すことは出来ぬ」
「この天の覇者、拳王の前では赤子同然」(ラオウ)

 

「俺の拳は敵が強ければ、その倍強くなる剛拳」
「何者にも到達できぬ拳だ」(ラオウ)

 

「お前が強ければ強いほど、俺の拳もまた強くなる」(ラオウ)

 

「なんという悲しい目だ」
「まさか、これがリュウケンが最後に言った」
「北斗神拳究極奥義・無想転生!」(ラオウ)

 

「わしにも教えることは出来ん」
「北斗2000年の歴史の中で、それを体得した者はおらん」(リュウケン)

 

「この世で最強のものは”無”」
「その無より転じて生を拾う、それが無想転生」(リュウケン)

 

「うぬがいかに強大になろうとも、この奥義だけはつかめぬ」(リュウケン)

 

「分かるか、ラオウ」
「うぬはあまりに強大なその野望ゆえに、悲しみを知らぬ」(リュウケン)

 

「そ…それは、悲しみを背負った人間のみがなしうる…」(リュウケン)

 

「ラオウ、トキが待っている」(ケンシロウ)

 

101話

「ケンシロウが…弟が…史上最強の男のはずなどない!」
「たとえ万人が認めても、このラオウだけは認めぬわ!」(ラオウ)

 

「バ…バカな! 俺が…このラオウが、ふ…震えて!」
「このラオウが震えて…」(ラオウ)

 

「ラオウよ。それが、恐怖というものだ」(ケンシロウ)

 

「い…生き方を否定し、軟弱者と断言した男に、この俺が恐怖を…」
「末弟のケンシロウごときに、このラオウが恐怖を…」(ラオウ)

 

「認めぬわ!」
「恐怖とは感じるものではなく、与えるもの!」(ラオウ)

 

「ましてや俺は北斗の長兄、そして世紀末覇者・拳王!」
「この俺に後退などない、あるのは前進のみ!」(ラオウ)

 

「俺にも後退はない」(ケンシロウ)

 

「ラオウ。今こそ、野望果てる時だ」(ケンシロウ)

 

「北斗の掟は、俺が守る!」(ケンシロウ)

 

「この目をえぐれ! この腕を砕け!」
「ケンシロウ。されど、お前には死あるのみ!」(ラオウ)

 

「運は我にあり!」
「やはり天は、このラオウを望んでいるのだ!」(ラオウ)

 

「ラオウを追う」(ケンシロウ)

 

「大丈夫だ。かつて、目が見えずとも闘い続けた男がいた」
「そして、その男も俺の中で生きている」(ケンシロウ)

 

「今のラオウは手負いの獅子」
「今倒さなければ、ラオウは触れるもの全てを打ち砕き、荒れ狂うであろう」(ケンシロウ)

 

102話

「このラオウが…世紀末覇者・拳王たるこの俺が…」
「夢にまで怯えるというのか…」(ラオウ)

 

「わたくしは今でも、ケンシロウを待っています」(ユリア)

 

「まだ闘うのですか?」
「あなたは負けたのです」
「傷つき疲れ果てた1人の戦士」(ユリア)

 

「心惹かれた女より受ける情けは、男にとって最大の屈辱」
「この屈辱、無念!」
「このラオウもはや拳王の名はいらぬ!」(ラオウ)

 

「悪鬼となり修羅と化し、魔王となりて」
「ケンシロウを血の海に砕き沈めてやるわ!」(ラオウ)

 

「あの男…ただ一度、若い日の俺に恐怖を感じさせたあの男」
「ケンシロウへの恐怖が気の迷いか否か」
「奴の鬼の気迫を飲み込む以外ない!」(ラオウ)

 

「ありがとう、お前達。よ~し、父さんは行って来るぞ」
「そして必ず、お前達のもとへ帰って来る」(フドウ)

 

「貴様の拳と命だ!」
「この肉体より恐怖を拭い去り魔王となるには」
「うぬの中に流れる鬼の血が必要なのだ」(ラオウ)

 

103話

「よかろう。山のフドウ、鬼となろう」
「鬼とならねば貴様を倒せん!」(フドウ)

 

「俺にとって闘いは生か死か、2つに1つ」
「命懸けで闘う奴はいねえか!?」(フドウ)

 

「若造! 死の覚悟は出来ておるか?」(フドウ)

 

「命?」
「命などウジ虫よ、湧いて出るわ」(フドウ)

 

「ラオウよ、動けぬか?」
「お前でも鬼には勝てぬか?」(リュウケン)

 

「あの時の気迫、動けなかった」
「あれは、まさに鬼の気迫」(ラオウ)

 

「このラオウ、恐怖を感じたのは後にも先にもあの時一度限り」(ラオウ)

 

「今こそ、奴の鬼の気迫を飲み込み」
「ケンシロウへの気の迷いなど吹き飛ばしてくれるわ!」(ラオウ)

 

「あの頃の俺は、村々へ押し入り、倒し・奪い・食らい・飲む」
「鬼の生活だった」(フドウ)

 

「この子が命懸けで守ったものは、この犬(の母子)…」(フドウ)

 

「ね? 生きてるでしょ、暖かいでしょ?」
「これが命よ」(ユリア、子供時代)

 

「俺は母も知らず父も知らずに育った」
「だからそれまで命など、ウジ虫のごとく湧き出るものと思っていた」(フドウ)

 

「しかし…その子犬のあまりのか弱さに、ただたじろいだ」
「そして、まだ幼かったユリアに、知るはずもない母を見た」(フドウ)

 

「その日より、俺は鬼の鎧を捨て」
「南斗慈母星に仕える五車星の男、山のフドウとして生きることを誓った」(フドウ)

 

「だが今、その鎧を着ける時がきた」
「お許しくだされ、ユリア様」
「このフドウ、汚れなき命のために、鬼と戻り闘おう」(フドウ)

 

「よいか!」
「俺が一歩でもここより引いたら容赦はいらぬ!」
「この背に全ての矢を打ち放て!」(ラオウ)

 

「もし、この線より引くならこのラオウ、死あるのみ!」
「弟ケンシロウに勝てぬ愚かな兄よ」(ラオウ)

 

「フドウ、俺の血をすする気でこい!」
「さもなくば貴様に勝ち目はないぞ」(ラオウ)

 

「この拳王、かつてのラオウとは違う」
「鬼のフドウの恐怖など微塵も感じぬ」(ラオウ)

 

「やはりケンシロウに感じた恐怖など気の迷いに過ぎぬ」(ラオウ)

 

「どうかな…貴様が、俺の中に鬼を見るのはこれからだ!」(フドウ)

 

「この悲しき目の光こそ、俺がケンシロウに感じた同じ光」
「これだ…これが恐怖だ」(ラオウ)

 

「フドウ! 今こそ貴様の血と共に恐怖を飲み込んでくれるわ!」(ラオウ)

 

104話

「そうやすやすと秘孔を突かせるわけにはいかん」
「ラオウ! 貴様はここで死に果てるのだ!」(フドウ)

 

「お…お前達。その小さな体で、ラオウと闘おうというのか」
「この父さんのために、闘ってくれるというのか」(フドウ)

 

「そのいたいけな魂の叫びが、このフドウに最後の力を与えてくれよう」(フドウ)

 

「(音?) ならば、己の耳を閉ざそう」(ケンシロウ)

 

「無駄な闘いはしたくないと言ったはずだ」(ケンシロウ)

 

「貴様には分かるまい」
「たとえ、この体が一塊(ひとかたまり)の肉、1滴の血となろうとも」
「俺は闘い続けるであろう」(フドウ)

 

「このフドウの足を進ませているのは」
「この子供達のいたいけな心だ」(フドウ)

 

「お前には見えるか」
「この悲しき瞳に宿る力が」(フドウ)

 

「こ…この拳王が退いている」
「この俺が退くとは…」(ラオウ)

 

「貴様は子供達の瞳の中にケンシロウを見、この俺の拳の中にもケンシロウを見た」
「その肉体に再び恐怖がよみがえったのだ」(フドウ)

 

「恐怖に硬直したその肉体は退かねば、砕け散っていたのだ」
「勝ったのは、俺とケンシロウなのだ!」(フドウ)

 

「こ…ここで俺は倒れても、その体に恐怖が刻み込まれている限り」
「もはや二度とケンシロウには勝てぬぞ」(フドウ)

 

「ラ…ラオウよ…」
「悲しみを…悲しみを知らぬ男に勝利などないのだ」(フドウ)

 

「お前達…よく最後まで見ていたな」(フドウ)

 

「そうだ、父さんは勝ったのだ」
「み…みんな、強くなったな」(フドウ)

 

「どこまでもゲスな奴等よ!」
「この拳王、敗れてまで命を拾おうとは思わぬわ!」(ラオウ)

 

「泣くな、お前達」
「父さんが頑張れたのは、お前達のおかげだ」(フドウ)

 

「これからはみんなで力を合わせて生きていくのだぞ」
「いいな?」(フドウ)

 

「これで父さんも心おきなく…」(フドウ)

 

「ケ…ケンシロウさん」
「こ…これからは、その手でこの子供達を…」
「いや、この時代の全ての子供達を抱き包んでくだされ」(フドウ)

 

「そ…それが、山のフドウの願いです」(フドウ)

 

105話

「五車の魂、決して無駄にはせん」
「ユリアは必ず、この俺の手に」(ケンシロウ)

 

106話

「あの人は…ラオウは、北斗の長兄なのです」
「闘いのみに生きる男」(ユリア)

 

「ラオウには、ケンシロウとの闘いのみが宿命となっているのでしょう」(ユリア)

 

「ラオウの心、分かってあげて下さい」(ユリア)

 

「また宿命が動き出した」
「ラオウ…あなたは今、何を思う」(ユリア)

 

「フドウ。お前もまた、俺の心に生きる」(ケンシロウ)

 

「悲しみとは…愛か!」(ラオウ)

 

「ユリア。お前の命、俺にくれ!」(ラオウ)

 

「技も肉体も闘気も、ケンシロウには劣らぬ」
「だが俺は、未だ悲しみを知らぬ。愛を知らぬ」(ラオウ)

 

「愛は悲しみを生み、悲しみが愛を呼び起こすと聞く」
「それをお前を失って初めて知ることが出来るかもしれぬ」(ラオウ)

 

「うぬらも、ユリアの母の星の光に打たれたか!?」
「だが、聞けぬ!」(ラオウ)

 

「ユリア、恨んでも構わぬ」(ラオウ)

 

「傷が気になっていては、存分に闘うことは出来ないでしょう」(ユリア)

 

「壮絶な男達の闘いに、わたくしが出来ることは」
「心おきなく送り出すことだけ」(ユリア)

 

「わたくしに見つめられていては突きにくいでしょう」
「わたくしも、天に帰りましょう」(ユリア)

 

「(命は)新しき光のために」
「わたくしには見えます、新しき光の時代が」(ユリア)

 

「その光の時代のために、あなたとケンシロウの闘いは避けられない定め」
「そのために必要とあれば、わたくしの命捧げましょう」(ユリア)

 

「それは野望ではない」
「それが愛だ、ラオウ」(トキ)

 

「今は分かるまい」
「だがいずれそれは涙となって、お前の心を突き動かすだろう」(トキ)

 

「その時こそ、お前は愛を…悲しみを知ることになる」(トキ)

 

「な…涙? あ…愛?」
「こ…これが愛だというのか? トキ」(ラオウ)

 

「愛ゆえに、俺はユリアを追い続けていたというのか?」(ラオウ)

 

「今はユリアとケンシロウ、2つは望めぬ」
「このラオウ…いや、拳王の生き方は1つ」(ラオウ)

 

「許せ、ユリア!」
「我が心に悲しみとなって生きよ!」(ラオウ)

 

「雨…みんなが待っていた雨。でもなぜなの?」
「とっても悲しい、お空が泣いているみたいな気がする」(リン)

 

「ラオウが呼んでいる」(ケンシロウ)

 

「ケーーン! 死なないでーーっ!」(リン)

 

「北斗練気闘座」
「北斗2000年の歴史の中で、最も神聖な修行の場」
「代々の継承者争いの決着は、この場でつけられた」(ケンシロウ)

 

「ケンシロウ」
「うぬの骨と北斗2000年の歴史を葬るには、ここより他に場所はない」(ラオウ)

 

「ラオウ、お前の野望も拳も今ここに終わる」(ケンシロウ)

 

107話

「もう天など、どうでもよいわ!」
「いや、俺が望んだ天とは、貴様だったのかもしれぬ」(ラオウ)

 

「ケンシロウよ、最強の北斗を屠る者の名はラオウ」
「このラオウより真の強者の歴史は始まるのだ」(ラオウ)

 

「死ぬのはお前だ」(ケンシロウ)

 

「北斗の掟を破った唯1人の男、ラオウ」
「北斗神拳正統継承者として、貴様を許すわけにはいかん」(ケンシロウ)

 

「北斗神拳究極奥義・無想転生の前には”死”あるのみ」(ケンシロウ)

 

「この俺も、心を血に染めて悲しみを背負うことが出来たわ」(ラオウ)

 

「生まれて初めて、女を手にかけたわ」
「だがユリアの命が、この俺に無想転生を吹き込んでくれた」(ラオウ)

 

「何もいらぬ、光もいらぬ」
「この俺の望むものは拳の勝利」(ラオウ)

 

「お前を倒して、地上最強の男になることのみ」(ラオウ)

 

「互いに究極奥義・無想転生を身にまとった今、他の奥義は武器にならん」
「いわば無に戻ったのだ」(ラオウ)

 

「ならばこの戦いは赤子の戦いと同然」(ラオウ)

 

「神に感謝せねばなるまい」
「我が前に、これだけの男を送り出してくれたことを」(ラオウ)

 

「もはや次の一撃が、我ら最後の別れとなろう」(ケンシロウ)

 

「俺もトキと同じく目指した、あの偉大なる長兄ラオウ」
「その思い未だ消えず、この心に焼き付いている」(ケンシロウ)

 

「ユリアさん、見て」
「ケンが、ユリアさんの心と一緒に戦っている」(リン)

 

「もうすぐ来るわ」
「長かった2人の闘いに終わりの時が」(ユリア)

 

「そして、あの2人の魂に安らぎが訪れる時が」(ユリア)

 

「よかろう、ならば打ち砕いてみせよう」
「北斗2000年の歴史を、この拳に我が生涯の全てを込めて」(ラオウ)

 

「受けてみよ、我が全霊の拳を!」(ラオウ)

 

108話

「天に滅せい! ケンシロウ!」(ラオウ)

 

「お前の心は1人」
「だが俺の中には長兄ラオウへの思い」
「そして、ユリアへの思いが生きている」(ケンシロウ)

 

「天地を砕く剛拳でさえ、この思いだけは砕くことは出来ぬ」(ケンシロウ)

 

「わたくしに与えられたのは、限られた命」
「ならば何事にもあらがうことなく、天命の流れのままに生きようと思いました」(ユリア)

 

「南斗の将動けば、北斗も動き、天また動く」
「その南斗六聖拳最後の将の宿命、そのままに…」(ユリア)

 

「このわたくしの命で、世紀末に光をもたらすのであれば」(ユリア)

 

「こ…殺せぬ」
「このラオウに、この女を捨てることは出来ぬ!」(ラオウ)

 

「ユリアよ、うぬへの愛を一生背負っていってやるわ!」(ラオウ)

 

「この北斗の長兄ラオウが、愛を背負ったなど恥辱」(ラオウ)

 

「俺は北斗の長兄、死にも誇りがある」(ラオウ)

 

「見せようぞ!」
「世紀末覇者、ラオウの死に様を!」(ラオウ)

 

「今こそ悟った」
「お前は今日まで、死を見切って生きてきたのだと」(ラオウ)

 

「凄絶なる友たちとの戦いの中で」
「生と死のはざまを見切ったのだと」(ラオウ)

 

「友か…思えば、俺には友と呼べる男がトキしかいなかった」(ラオウ)

 

「見せてくれ…このラオウを倒した男の顔を」(ラオウ)

 

「見事だ…我が弟よ」(ラオウ)

 

「ユリア! お前の命は後数年は持とう」
「残る余生、ケンシロウと2人で静かに、そして幸せに暮らせよ」(ラオウ)

 

「さらばだ、ケンシロウ」
「俺もまた天へ…トキのもとへ帰ろう」(ラオウ)

 

「来るな! 何をしにここへ来るつもりだ?」
「お前の目には、もはやユリアしか見えないはず」(ラオウ)

 

「ましてやこのラオウ、天に帰るに人の手は借りぬわ!」(ラオウ)

 

「我が生涯に、一片の悔いなし!」(ラオウ)

 

「もしラオウが、自らの闘気をユリアに分け与えていなかったら」
「俺は負けていたかもしれん」(ケンシロウ)

 

「この暴力の荒野は、恐怖によって統治するよりすべはありませんでした」
「しかし、恐怖による統治には本当の安らぎはありません」(ユリア)

 

「ラオウは、愛を持つ者に倒されることを」
「そしてこの荒野に再び暖かい光が降り注ぐことを」
「きっと願っていたのでしょう」(ユリア)

 

「わたくしには、そんな気がしてなりません」(ユリア)

 

「ラオウよ…俺にはあなたが最大の友だった」(ケンシロウ)

 

「ラオウ、トキと共に眠れ」
「俺はあなたの生き様を胸に、北斗神拳伝承者として生きる」(ケンシロウ)

 

「ダ…ダメ、絶対に追わないって約束したでしょう」(リン)

 

「お願い、2人だけにさせてあげて」
「2人だけで、静かに暮らさせてあげて」(リン)

 

「でも、いつか…いつかきっとケンは帰ってくる」
「きっと…」(リン)

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 
 
 
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