原作小説「ある魔女が死ぬまで」メグ・ラズベリーの名言・台詞をまとめていきます。
ある魔女が死ぬまで 1巻
第1話
もし本当に私があと一年で死ぬとするならば、
私が今までやってきたことって何なんだ。
「(変?) 生まれつきだよ!」
昔から面倒くさかったり辛気くさかったりすることを考えるのは苦手だ。
そんな私を、人はポジティブモンスターと呼ぶ。
昔は薬といえば魔女が調合して作るのが当たり前だった。
魔女が薬を提供し、医者がそれを治療に使う。
そうした交友関係が、長い歴史の上で築かれてきたのだ。
だが、現代では、薬は業者から仕入れるのが当たり前になったし、
薬を作る魔女もずいぶん減った。
アンナちゃんの(亡くなった)お母さんが暮らした痕跡は、そこかしこで見て取れた。
そっか。まだこの家の時間は、止まったままなんだ。
「(何でもできる?) それはちょっと無理」
「魔法をかけるのにも知識がいるから」
知識がなければ、魔法は使いものにならない。
この人(アンナちゃんのお母さん)はきっと、幸せだったんだ。
今の私がもし死んだとしても、きっとこんなふうには笑えない。
何度もお師匠様に言われたことだ。
人を生き返らせるなんて傲慢なことだと。
「この世には神様が決めた決まりがあってね」
「私たちはその決まりには逆らうことができないんだ」
「私たちはその決まりを、運命って呼んでる」
止まってしまったこの二人の父娘(おやこ)の時を、今の私なら動かせる気がする。
家族を失うということが…
大切な人を失うのがどういうことなのか、知ることができたから。
それは決して科学では生み出せない奇跡だった。
現象と現象の間に神秘を交えることで起こす、魔法の奇跡。
「アンナちゃんのお母さんは、自分がいなくなったあとも」
「二人に笑っていてほしかったんだ…」
「いつか大魔導師に…か」
「あんなこと言っちゃったら、まだ死ねそうにはないね、こりゃ」
第2話
「んなことやっとる場合かぁ!!」
「もう一週間だよ! 私の貴重な寿命が一週間も使われたよ! 雑務に!!」
まずい、まずいまずいぞ。
このままでは余裕で死ぬ。
人と魔女は助け合う関係にある。
だから、どんな忙しい時でも街の人のお願いは必ず聞いてあげている。
たとえ壊れたものを直すことだろうが、世界平和につながることだろうが、
お師匠様にとっては等しく平等なお願いなのだ。
「(本当に死ぬ?) みたいだねえ」
「平然としてるってか、実感がないだけだよ。悩むの苦手だし」
今と違って、昔の人はもっともっと自然と密接に暮らしていた。
そうした自然と共にある文明が生んだ古い文字には、理(ことわり)に働きかける力がある。
死んだ人は蘇らないし、寿命を終えたものはもう動かない。
でも巡り巡って、別の形でまた出会うことはできる。
「ねぇフィーネ。時計はもう動かなくなっちゃったけどさ」
「そこに宿る人の想いは消えないんじゃないかな」
余命宣告されてから、いつもと同じ日常が、少しずつ変わってきた気がする。
第3話
魔法だと詠唱に数分はかかるが、スマホなら数秒。
今や文明の利器は魔法をも凌駕していることを、人々は知らない。
「(自分の悩みなんてちっぽけ?) そうっすね」
「まぁ別に悩んでたわけじゃないんですけど」
魔法は奇跡を実現する。きっと不可能も可能になる。
どんな状況でも、どうにかできる。
魔法が起こせる結果は一つじゃない。
だって魔法の可能性は、無限大なんだから。
第4話
「助けられるかもしれないのに、見過ごすんて私はできないし、したくない」
「世の理だの流れだの言って、簡単に命を見捨てるのが大魔導師なら」
「そんなもの私はならなくていい!」
人の死を告げるのが、怖いと思った。
一度『死』を告げたら最後、もうあとには戻れない。
運命には、変えられる運命と、変えられない運命があるんだ。
神様が──理が定めた、生命の終着点にたどり着く。
死を間近にした人を前にした時、私たちは残された時間を一緒に過ごして、
悔いなく逝けるよう看取ってあげなきゃならない。
第5話
魔法さえなければ、私の人生は変わっていたかもしれない。
でも、同時に思うのだ。
きっと魔法がなければ、私はたくさんのものを手にできていなかったと。
「生まれた場所だけが、居場所じゃないですよ」
第6話
「バランス感覚はお手のものだ」
「私はマジカルよりフィジカル派」
「勝手に自己完結するな!」
「どいつもこいつも、諦めるだの、ダメかもしれないだの」
「そういうのは全部やってから結論を出すもんでしょ!」
異世界祭りは明日で終わる。
私たちのパレードも、いよいよ明日が本番だ。
学校で学園祭とかをするなら、こんな感じなのだろうか。
少しさみしいような、夢から覚めるような、そんな気分。
「私はさ、私に関わってくれた人たちに、なるべく笑っててほしいんだ」
「皆が私を信じて、自分の悩みや、過去や、想いを話してくれる」
「それが嬉しい」
「だから、私を信じてくれている人たちに何か返したいって、そう思ってる」
「私が持っているものが、少しでもその人のためになるなら…」
「私が生まれてきた意味もあるのかなって」
「私にとって魔法はさ、絆なんだ」
「私が頑張るのは、私の大好きな人たちのためだよ」
「そして、魔法はそのために私に力を貸してくれる強力な味方なんだ」
「ねぇ、お師匠様…やっぱり、魔法は、人を幸せにするためにあるんですよね」
第7話
でも、いつからだろう。人の顔を、まともに見なくなったのは。
人と、まともに向き合わなくなったのは。
ここで声をかける自分と、声をかけない自分。
その二つを天秤にかけた時、私は声をかけられる自分でありたかった。
私は、私の誇れる自分でありたかった。
頑張ってこれたのは、私が助けてあげたいって思って行動してたからだ。
そんな当たり前のことを、いつの間にか忘れていた。
「魔法は、技術と知恵だけじゃない」
「心があって初めて完成するんだって、気付いたんです」
私にとって嬉し涙の価値は、ただ寿命を長引かせるためだけの道具じゃない。
縁や、学び、経験、心…たくさんのものを得るための、人と結ぶ大切な絆。
私にとって大好きな人たちが少しずつくれた、想いの結晶なんだ。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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