原作小説「銀河英雄伝説(アニメ4期前編相当)」の名言・台詞をまとめていきます。
銀河英雄伝説9巻
第一章 辺境にて
「ぼくは君が考えているような、えらい男ではないよ」
「ただヤン提督のおそばにいさせてもらって」(ユリアン・ミンツ)
「それで、ずっと勝利者のがわに身をおくことができたんだ」
「運がよかっただけだよ」(ユリアン)
「じつをいうとね、ヤン提督が生きてらしたころは」
「それほど偉大な人だとも思ってなかったのよ」(カーテローゼ・フォン・クロイツェル、通称:カリン)
「でも、亡くなってから、すこしだけわかったような気がする」(カリン)
「提督の息吹を、わたしたちは直接、感じているけど」
「その息吹はきっと時がたつほど大きくなって、歴史を吹きぬけていくんでしょうね…」(カリン)
「歴史とは、人類全体が共有する記憶のことだ、と思うんだよ、ユリアン」(ヤン・ウェンリー)
「思いだすのもいやなことがあるだろうけど」
「無視したり忘れたりしてはいけないのじゃないかな」(ヤン)
「よく60万人以上も残ったものさ」
「物ずきの種はつきないものだ」(ダスティ・アッテンボロー)
「あんな不覚悟なやつに、いてもらう必要はない」(アッテンボロー)
「立体TVの三文ドラマだったら、視聴者が泣きわめけば」
「死んだ主人公が生きかえるだろう」(アッテンボロー)
「だが、おれたちが生きているのは、それほどつごうのいい世界じゃない」
「失われた生命は、けっして帰ってこない世界」(アッテンボロー)
「それだけに、生命というものがかけがえのない存在である世界に」
「おれたちは生きているんだからな」(アッテンボロー)
「だまってろ! 青二才!」
「何だっておれがヤン・ウェンリー以外のやつの命令をきかなくちゃならない?」(オリビエ・ポプラン)
「おれには自分に命令を与える相手を、自分で選ぶ権利があるはずだ」
「それが民主主義ってものじゃないか、ええ?」(ポプラン)
「器量をためされているのは、ユリアンだけじゃない」
「おれたち全員が、歴史に問われている」(アッテンボロー)
「ヤン・ウェンリーを失ったおれたちが」
「なお希望と統一と計画性とを失わずにいられるかどうか、ということをな」(アッテンボロー)
「死んでからも働かせるのかい、と、あなたはおっしゃりたいでしょうね」
「でも、あなたがご健在なら、わたしたちがこんな責任を課せられることもなかったのよ」(フレデリカ・グリーンヒル)
「あなたのせいなのよ、ヤン・ウェンリー、全部あなたのせい」
「わたしが軍人になったのも」(フレデリカ)
「帝国軍が軍事拠点としてつくったイゼルローンが」
「いつのまにか民主主義の最後の砦になってしまったのも」(フレデリカ)
「皆がいつまでもそこにいのこって、祭りの夢を追いつづけているのも」
「ご自分の責任を自覚なさったら、さっさと生きかえっていらっしゃい」(フレデリカ)
「生きかえっていらっしゃい」
「自然の法則に反したって、一度だけなら、赦してあげる」(フレデリカ)
「そうなったら、今度は、わたしが死ぬまでは死なせてあげないから」(フレデリカ)
「自分がこれまで死なせてきた人間の数を考えると、ほんとうに怖いよ」
「一回死んだぐらいでは、償えないだろうね」(ヤン)
「世のなかって、けっこう不均衡にできているんだとう思う」(ヤン)
「わたしは、たしかにあなたを失いました」
「でも、最初からあなたがいなかったことに比べたら、わたしはずっと幸福です」(フレデリカ)
「あなたは何百万人もの人を殺したかもしれないけど」
「すくなくともわたしだけは幸福にしてくださったのよ」(フレデリカ)
「ミンツ中尉、どうして黙ってるの? あんたは、不当に非難されているのよ」
「あたしだったら、平手打の二ダースぐらい、こいつにくれてやるわ」(カリン)
「あんたは、あんたを信頼し支持してくれている人たちのために」
「自分自身の正当な権利を守るべきではないの?」(カリン)
「もう一度言ってみろ」
「暗殺された人間は、戦死した人間より格が下だとでもいうのか」(ユリアン)
「さて、この際、あんたのほうはわずかな想像力をはたらかせればいいのさ」(ポプラン)
「あんたより年齢がずっと若くて、ずっと重い責任を負わされた相手を」
「口ぎたなくののしるような人間が、周囲の目に美しく見えるかどうか」(ポプラン)
「ヤン・ウェンリーの語調を借りれば、こういうことになるかな」
「歴史はどう語るか」(ワルター・フォン・シェーンコップ)
「ユリアン・ミンツはヤン・ウェンリーの弟子だった」
「ヤン・ウェンリーはユリアン・ミンツの師だった」
「さて、どちらになるものやら」(シェーンコップ)
「はっきりわかっているのは、これだけだ」
「おれたちは、全員そろって、あきらめが悪い人間だということさ」(アレックス・キャゼルヌ)
「ヤン提督の生前はお祭りの準備にいそがしかった」
「死後は、残っていた宿題をかたづけるのに骨をおった」(アッテンボロー)
第二章 夏の終わりのバラ
「あまり元気ではないよ。エヴァの料理を長いこと食べられなかったからな」
「味覚の水準が低下してしまった」(ウォルフガング・ミッターマイヤー)
「皇帝をお怨みするにはあたらぬ」
「ヴェスターラントに対する熱核攻撃を黙認するよう、皇帝に進言したのは私だ」(パウル・フォン・オーベルシュタイン)
「卿は皇帝ではなく、私をねらうべきであったな」
「妨害する者もすくなく、ことは成就したであろうに」(オーベルシュタイン)
「もうヴェスターラントでひとりも殺してはならぬ」
「いいか、彼を殺してはならんぞ」
「処置はおってさだめるゆえ…」(ラインハルト・フォン・ローエングラム)
「あの男の言ったとおりだ」
「予は人殺しで、しかも卑怯者だ」(ラインハルト)
「とめようと思えばとめられたのに、予はそうしなかったのだ」
「愚劣なブラウンシュヴァイク公は自らすすんで悪をおかした」(ラインハルト)
「そして予は、彼の悪に乗じて、自分が利益を独占した」(ラインハルト)
「わかっているのだ。予は卑劣漢だということは」
「予は、皇帝の地位はともかく、兵士たちの歓呼には値しない人間なのだ」(ラインハルト)
「陛下は、罪を犯されたとしても、その報いをすでに受けておいでだ」
「と、わたしは思います」(ヒルデガルド・フォン・マリーンドルフ、通称:ヒルダ)
「そして、それを基調に、政治と社会を大きく改革なさいました」
「罪があり報いがあって、最後に成果が残ったのだ、と思います」(ヒルダ)
「どうかご自分を卑下なさいませんよう」
「改革によって救われた民衆はたしかに存在するのですから」(ヒルダ)
「フロイライン」
「帰らないでほしい。ここにいてくれ」(ラインハルト)
「今夜は、ひとりでいることに耐えられそうにないのだ」
「たのむ、予をひとりにしないでくれ」(ラインハルト)
「…はい、陛下、おおせにしたがいます」(ヒルダ)
「…お父さま、わたし立てない」(ヒルダ)
「もし、フロイライン・マリーンドルフに、その、あのようなことをして」
「責任をとらなかったとしたら」(ラインハルト)
「予は、ゴールデンバウム王朝の淫蕩な皇帝どもと同類になってしまう」
「予は、予は、やつらと同類になる気はないのだ」(ラインハルト)
「陛下、責任をお感じになる必要はございません」
「私の娘は、自分の意思によって陛下のお相手をつとめたはずでございます」(フランツ・フォン・マリーンドルフ)
「一夜のことを武器として陛下のご一生をしばるようなことは、あの娘はいたしません」(マリーンドルフ伯)
「西暦の17世紀に、北方の流星王と呼ばれる小国の王がいたそうだよ」
「15歳で即位し、しばしば隣国の大軍を破り、軍事的天才として知られた」(マリーンドルフ伯)
「30代で死ぬまで、異性であれ同性であれ、ついに肉欲と縁がなかったそうだ」(マリーンドルフ伯)
「異常な才能というものは、一方で、どこかそれに応じた欠落を要求するものらしい」
「ラインハルト陛下を見ていると、そう思う」(マリーンドルフ伯)
「まあ君主としては、逆の方向へ異常でないだけよいのだがね」(マリーンドルフ伯)
「(愛してるかは)わからないわ、わたし。尊敬はしています」
「でも男として、女として、愛しているかどうか、わたし、自信がありません」(ヒルダ)
「やれやれ、何もラインハルト陛下にかぎったことではないようだね」(マリーンドルフ伯)
「私の自慢の娘も、ときには考えることより感じることのほうを」
「重んじてくれればよいと思うのだがな」(マリーンドルフ伯)
「いつも、ではなく、ときには、だがね」(マリーンドルフ伯)
人間は、自分より欲望の強い人間を理解することはできても、
自分より欲望の弱い人間を理解することは至難であるから。
「偉人だの英雄だのの伝記を、子供たちに教えるなんて、愚劣なことだ」
「善良な人間に、異常者をみならえというも同じだからね」(ヤン)
第三章 鳴動
熱狂する群衆のなかで理性を堅持しえる者は、絶対的少数派である。
「おれはいい部下を持ったものだ」
「武器を持たぬ民衆に発砲するなど、勇気と義侠心のない人間には」
「とうてできぬことだからな」(オスカー・フォン・ロイエンタール)
「侵略者の善政など、しょせん偽善にすぎぬ、か。そのとおりだな」
「それにしても、どう事態をおさめるか…」(ロイエンタール)
「私は単なる(集会の)一参加者にすぎない」
「だが、参加したこと自体が罪と言われれば、甘んじて受けよう」(シドニー・シトレ)
「(責任者は)知らない」
「知っていても、申しあげるわけにはいかない」(シトレ)
「釈放されれば、私は今度こそ自分の主導によって」
「あなたがたの不法な支配に対する抗議の運動をおこすことになるだろう」(シトレ)
「唯一、私の後悔は、自分が大勢に流されてしまったことだ」(シトレ)
「そうなさるべきですな。それが、あなたにとっての正義であり道徳であるのだから」
「あなた個人には何ら怨恨は感じない」(シトレ)
「偉大な敵将と戦うのは武人の栄誉だが、民衆を弾圧するのは犬の仕事にすぎぬ」(ロイエンタール)
「ヤン・ウェンリー元帥、卿は中道に倒れて、あるいは幸福だったのではないか」(ロイエンタール)
「平和な世の武人など、鎖につながれた番犬にすぎぬ」
「怠惰と無為のなかで、ゆっくりと腐敗していくだけではないか」(ロイエンタール)
「平和の無為に耐えうる者だけが、最終的な勝者たりうる」(ヤン)
「ロイエンタール元帥は猛禽だ」
「籠のなかに安住して平和の歌をさえずりつつ一生をすごせる男ではない」(オーベルシュタイン)
「陰気で消極的なビッテンフェルト、女気なしのロイエンタール」
「饒舌なアイゼナッハ、浮気者のミッターマイヤー」(ラインハルト)
「無教養で粗野なメックリンガー、いたけだかなミュラー」
「皆、彼ららしくない」(ラインハルト)
「人それぞれ個性というものがある」(ラインハルト)
「ロイエンタールが法を犯したとか、相手をだましたとかいうならともかく」
「色恋ざたで一方だけを被告席に着かせるわけにもいくまい」(ラインハルト)
「キルヒアイスがいなくなったとき、もうこれで失うものは何もないと思ったのに…」(ラインハルト)
「智と勇との均衡がとれているという一点において評するなら」
「あの当時、オスカー・フォン・ロイエンタールが」(エルネスト・メックリンガー)
「敵と味方をあわせても随一の存在であったと思われる」(メックリンガー)
「100の興味が集まれば、事実のひとつぐらいにはなるだろうな」
「とくに、力のある者がそれを望めば、証拠など必要ない」(ロイエンタール)
「卿らの憎む、いや、憎んだ専制政治では、とくにな」(ロイエンタール)
「ことばで伝わらないものが、たしかにある」
「だけど、それはことばを使いつくした人だけが言えることだ」(ヤン)
「正しい判断は、正しい情報と正しい分析の上に、はじめて成立する」(ヤン)
「何かを憎悪することのできない人間に、何かを愛することができるはずがない」(ヤン)
「生き残っていただかないと、こまるところでした」(ユリアン)
「(スール)少佐が健在でいらっしゃるから」
「ぼくたちは、どうにか自分たちをなぐさめることができるんです」(ユリアン)
「どうせトリューニヒトの野郎、よからぬことをたくらんでいるに決まってるんだ」
「おれとしては、もう、せめて皇帝にだけは、小物に害されたりしてほしくないんだよ」(アッテンボロー)
「もっとも、おれたちだって小物だがな」(アッテンボロー)
「まあトリューニヒトの狐野郎が何をしかけても」
「噂に聞くオーベルシュタイン元帥の相手は荷が重いだろうて」(アッテンボロー)
「クロイツェル伍長がおれのことをどう思うか」
「それは彼女の問題であって、おれの問題ではないね」(シェーンコップ)
「おれが彼女をどう思っているか、ということなら」
「それこそおれの問題だがね」(シェーンコップ)
「美人をきらったことは、おれは一度もないよ」
「まして、生気のいい美人をね」(シェーンコップ)
「いまにして思うのだけど、ジェシカ・エドワーズ女史が生きてらしたら」
「いいお友だちになれたかもしれないわね」(フレデリカ)
「シェーンコップ中将は、卑怯の二文字とは縁がない人よ、と、そう言っただけよ」
「事実ですものね」(フレデリカ)
「父親には父親の夜の生活があるものよ」
「第一、家庭団欒の似あう人じゃないわね」(オルタンス・キャゼルヌ)
「(彼女たちは)よくもまあ、あんなしょうもないゲームに熱中できるもんだ」
「…しかし、まあ、笑声のほうが、泣声よりずっとましではあるがね」(キャゼルヌ)
第四章 発芽
「…皇帝が美貌であったがゆえに、多情であったにちがいない、多情であるべきだ」
「と決めつける者は、好色な醜男の存在を、どう説明するのであろうか」(メックリンガー)
「そもそも皇帝はご自身が卓れた芸術品でいらっしゃるのだから」
「わざとらしい芸術に興味をいだかれる必要はないのだ」(ミッターマイヤー)
「統治者は芸術に対しては金銭だけ出していればよい」
「目も口も出す必要はない」(ミッターマイヤー)
「統治者の好みに媚びることで大家面する、えせ芸術家どもを生みだすだけではないか」(ミッターマイヤー)
「今夜、私は、聴いてもわかるはずのない前衛音楽とやらを」
「皇帝のおともで拝聴せねばならないのですよ」(ナイトハルト・ミュラー)
「いっそ戦争なり内乱のほうが、はるかにましです」(ミュラー)
「ロイエンタールが予を暗殺などするはずがない」
「予も彼を疑ったりせぬ。恐れもせぬ」(ラインハルト)
「卿らはくだらぬ世迷言にたぶらかされて、予と重臣との間を裂くつもりか」(ラインハルト)
「ロイエンタール元帥と取っくみあいになる、とでもいうのなら」
「陛下は卿をおつれになるだろうよ」(コルネリアス・ルッツ)
「だが、今回は平和な旅でなければ困るからな」(ルッツ)
「ラングごとき小人の佞言にたぶらかされるような陛下ではない」(ロイエンタール)
「現に、この春にも、奴はおれを貧弱な罠におとしこもうとして」
「みじめに失敗したではないか」(ロイエンタール)
「わが皇帝がオーベルシュタインやラングごときの木偶になりさがるとすれば」
「興ざめもいいところだな」(ロイエンタール)
第五章 ウルヴァシー事件
「旧い世代からの無理解は、若い変革者の背負う宿命だ」
「ともに起って、彼らを過去の追憶のなかへ追いやってしまおうぜ、諸君」(ポプラン)
「独身主義のほうが、おれを返上しそうにないよ」
「おれも長年、やつと交際してきたのでね、捨てるに忍びなくてね」(アッテンボロー)
「指導者に対する悪口を、公然と言えないような社会は開かれた社会とは言えない」(ユリアン)
「帝国の人民は、20世代近くにわたって、統治されること、支配されることに慣れてきた」
「彼らにとって政治とは、何かをされること、何かをしてもらうことだった」(ユリアン)
「だから、これまでよりずっとよいことをしてくれるローエングラム支配体制を」
「支持するのは当然だ」(ユリアン)
「ローエングラム王朝が時の風化作用のなかで自壊への坂道を下りはじめる」
「そのときこそ民主共和制が意味を持ちはじめるのではないだろうか」(ユリアン)
「ユリアン・ミンツは作曲家ではなく演奏家だった」
「作家ではなく翻訳家だった」(アッテンボロー)
「彼はそうありたいと望んで、もっとも優秀な演奏家に、また翻訳家になったのである」
「彼は出典を隠したことは一度もなかった」(アッテンボロー)
「剽窃よばわりされる筋合はまったくない」
「演奏されずに人々を感動させる名曲などというものはないのだ」(アッテンボロー)
「陛下には危険を避ける義務がおありです。小官らに誹謗の罪があれば」
「後刻つぐないますゆえ、いまは御身の安全だけをお考えください」(ミュラー)
「無用の心配をするな、エミール」
「予はいますこし見栄えのする場所で死ぬように決めている」(ラインハルト)
「皇帝の墓所はウルヴァシーなどというのは、ひびきがよくない」(ラインハルト)
「仮にロイエンタールが叛したとすれば、その計画は、分子がもれる隙もなかろう」
「いまごろは、予も卿らも自由の身ではあるまい。そうではないか…?」(ラインハルト)
「新領土において、総督たるロイエンタール元帥には」
「陛下のご安全を保障する責任がありましょう」(ルッツ)
「にもかかわらず、この現実、彼が批判に値せぬとは残念ながら思えません」(ルッツ)
「撃つがいい。ラインハルト・フォン・ローエングラムはただひとりで」
「それを殺す者もひとりしか歴史には残らないのだからな」(ラインハルト)
「そのひとりに誰がなる?」(ラインハルト)
「ひとりだからよかったが、また新手が来るのは目に見えている。おれが残って奴らを防ぐ」
「卿は陛下を守護したてまつってブリュンヒルトに乗れ」(ルッツ)
「おいおい、いちおうおれは卿より5歳ばかり年長なのだぞ、ばかはないだろう」
「年長者の責任をはたすだけのことだ」(ルッツ)
「卿には卿にしかはたしえぬ責任をはたせ。いれ以上、形式論を聞かせてくれるなよ」
「そんなことをしたら、謝礼として左腕を撃ちぬいてやるからな」(ルッツ)
「予は、卿を、死後に元帥にするがごときを望まぬ」
「いくら遅れてもかまわぬ、後から必ず来いよ」(ラインハルト)
「もとより、小官は生きて元帥杖を手にするつもりでございます」
「おそれながら、陛下とは建国の労苦をともにさせていただきました」(ルッツ)
「ぜひ今後の安楽と栄華をも、わかちあたえていただきたいと存じますので」(ルッツ)
「せっかくの機会だぞ。ローエングラム王朝の上級大将が、どのような死にかたをするか」
「卿らが死ぬにせよ、生き残るにせよ、見とどけていったらどうだ?」(ルッツ)
「わが皇帝、あなたの御手から元帥杖をいただくお約束でしたが」
「かなわぬことのようです」(ルッツ)
「お叱りはヴァルハラでいただきますが、どうかそれが遠い未来のことであるように…」(ルッツ)
「聞いてのとおりだ、ベルゲングリューン」
「おれはローエングラム王朝における最初の叛逆者ということになったらしい」(ロイエンタール)
「皇帝に頭を下げるのはかまわぬ」
「いや、臣下としてはそれが当然のことだ。だが…」(ロイエンタール)
「反逆者になるのは、いっこうにかまわん」
「だが、反逆者にしたてあげられるのは、ごめんこうむりたいものだな」(ロイエンタール)
「たとえ事実と異なっても、いっこうにかまわん」
「おれがそう思いたがっているのだから、そう思わせてくれ」(ロイエンタール)
「ヤン・ウェンリーのような用兵の芸術家にならともかく、奴ごときの手で鎖をはめられて」
「おめおめと余生を送るのでは、この身があわれすぎるな…」(ロイエンタール)
自分たちは、戦いおえた後、黄金の首輪をはめられた犬となって宮廷に列し、
宝石づくりの檻のなかで酒色と惰眠をむさぼりつつ、老残の身を養うべきなのか。(ロイエンタール)
そういう境遇に甘んじて、平和と安逸のなかですこしずつ腐っていくべきなのだろうか。(ロイエンタール)
「少年時代が幸福に思えるとしたら」
「それは、自分自身の正体を知らずにいることができるからだ」(ロイエンタール)
「ミッターマイヤー、卿ともう一度、酒をくみかわしたかったな」
「おれは自分自身の手で、その資格をそこねてしまったが…」(ロイエンタール)
わが友、蜂蜜色の髪をした「疾風ウォルフ」よ、卿はきっとおれのために身命を賭して、
皇帝に弁護してくれるだろう。(ロイエンタール)
だが、卿の善意を上まわる悪意が、皇帝とおれとに働きかけている。
おれは自分の矜持のため、戦わざるをえまい。(ロイエンタール)
戦うからには、おれは全知全能をつくす。勝利をえるために、最大限に努力する。
そうでなくては、皇帝に対して礼を失することになろう…。(ロイエンタール)
「民主共和政治とやらの迂遠さは、しばしば民衆をいらだたせる」(ロイエンタール)
「迅速さという一点で、やつらを満足させれば」
「民主共和制とやらにこだわることもあるまい…」(ロイエンタール)
「おどろくことはない。おれが欲するのは、帝国の支配権だ」
「旧同盟領など、民主共和主義者の残党どもに、くれてやる」(ロイエンタール)
「いずれにしても、軍事上の不利を自ら招くことはないからな」
「策は打っておくとしよう」(ロイエンタール)
「もし奴らが望むなら、民主政治の裏ぎり者」
「ヨブ・トリューニヒトの生身なり首なりを付録につけてやってもよい」(ロイエンタール)
「そのことを忘れずにな」(ロイエンタール)
「思うに、ロイエンタールは、地位が高まり、舞台が広がるのに応じて」
「力量を充実させていく男です」(ウィリバルト・ヨアヒム・フォン・メルカッツ)
「リップシュタット戦役以前は、経験の差で」
「彼に負けるとは、私は思っていませんでしたな」(メルカッツ)
「当然、彼が皇帝ラインハルトにおよぶはずもないと考えていました」
「ですが、二正面作戦を避け、補給の限界を待てば、活路があるかもしれませんな」(メルカッツ)
第六章 叛逆は英雄の特権
「ルッツを帝国元帥に叙する」
「彼はいやがるだろうが、約束を破った者に対する、これは罰だ…」(ラインハルト)
「そのようなたわごとは、今年の霜と同じく、春先に消えてしまったと思っていたが」
「そうではなかったらしいな」(ミッターマイヤー)
「きさまも夏に雪を降らせて喜ぶ輩か」(ミッターマイヤー)
「卿を残した理由は、諒解していよう。ロイエンタールは当代の名将だ」
「彼に勝利しうる者は、帝国全軍にただ二名、予と卿しかおらぬ」(ラインハルト)
「ゆえに、卿を残した」
「意味はわかろう?」(ラインハルト)
「…おれは、ロイエンタールのやつに負けてやりたい」
「いや、こいつはうぬぼれもいいところだな」(ミッターマイヤー)
「全知全能をあげても、おれはロイエンタールに勝てはしないだろうに」(ミッターマイヤー)
「皇帝の御手を汚してはならんのだ」(ミッターマイヤー)
「ロイエンタールとおれと、双方が斃れても、銀河帝国は存続しうる」(ミッターマイヤー)
「だが皇帝に万一のことがあれば」
「せっかく招来した統一と平和は、一朝にして潰えるだろう」(ミッターマイヤー)
「勝てぬとしても、負けるわけにはいかんのだ」(ミッターマイヤー)
「オーベルシュタインはいい」
「だが、いまひとり、奴は、奴だけは赦せぬ」(ミッターマイヤー)
「おれは出陣にさきだって、陛下のおんために、害虫を駆除してさしあげねばなるまい」(ミッターマイヤー)
「いずれにしても、生前の地位など、これから将先の卿には無要のものだろう」
「いいか、そこをうごくなよ、おれが行くまで」(ミッターマイヤー)
「ラングの非道をただすには、法をもってする」
「でなければ、ローエングラム王朝の、よって立つ礎が崩れますぞ」(ウルリッヒ・ケスラー)
「重臣中の重臣、宿将中の宿将であるあなたに」
「そのことがおわかりにならぬはずはありますまい」(ケスラー)
「わが皇帝に敗れるにせよ、滅びるにせよ」
「せめて全力をつくして後のことでありたいものだ」(ロイエンタール)
「戦うからには勝利を望むべきだ。最初から負けることを考えてどうする」
「それとも、敗北を、滅亡をお前は望んでいるのか」(ロイエンタール)
「度しがたいな、吾ながら…」(ロイエンタール)
「いつ予がオーベルシュタインやラングごときに国政の壟断を許したか!」(ラインハルト)
「かりにロイエンタールの言うとおりだとしたら」
「そもそも彼が新領土総督になりうる道理がないではないか」(ラインハルト)
「叛逆を正当化するために、そこまで予を貶める必要があるのか!」(ラインハルト)
「…フロイラインに言われるまでもない」
「ラングとやらが小人であることは、予も承知している」(ラインハルト)
「だが鼠一匹、倉庫の穀物を食い荒らすとしても、被害は知れたものだし」
「そのていどの棲息を許しえないようでは、銀河帝国も狭すぎるではないか」(ラインハルト)
「…ルッツはよく予を見すてずにいてくれたものだ」
「それどころか、生命を擲って予を救ってくれた」(ラインハルト)
「予は愚かだった」
「小人の権利を守って、有能な忠臣に不満と不安をいだかせていたとはな」(ラインハルト)
「あなた、ウォルフ、わたしはロイエンタール元帥を敬愛しています」
「それは、あの方があなたの親友でいらっしゃるから」(エヴァンゼリン・ミッターマイヤー)
「でも、あの方があなたの敵におなりなら」
「わたしは無条件で、あの方を憎むことができます」(エヴァンゼリン)
「心配しなくてもいいよ、エヴァ」
「第一、まだ、かならず戦うことになるとは決まっていないからね」(ミッターマイヤー)
「陛下はラング内務次官を逮捕なさったし」
「それでロイエンタールの気もすむかもしれないのだからね」(ミッターマイヤー)
「だから、祈るとしたら、戦わずにすむように、と、そう祈ってほしいな」
「ぜひそうしておくれ、エヴァ」(ミッターマイヤー)
第七章 剣に生き…
「いや、ワーレン提督、お気づかいは必要ない」(ミッターマイヤー)
「ロイエンタール元帥とおれとの友誼は、つまるところ私事であって」
「公務の重さと比較はできないからな」(ミッターマイヤー)
「ロイエンタールがひざを折る相手は、宇宙にただひとり」
「わが皇帝ラインハルト陛下があるのみだろう」(ミッターマイヤー)
「それに先だって軍務尚書にひざを折るということが、彼には耐えられないにちがいない」
「おれだっていやではあるが…」(ミッターマイヤー)
「予に問題があるのではない。ロイエンタールのほうにこそ、卿は問うべきだ」
「いや、すぎたことについてではない。これからのことだ」(ラインハルト)
「ひとたび叛旗をかかげ、戦い終わって後、予に頭をさげて助命を請う気があるかどうか」
「そのことを卿はロイエンタールに問うべきなのだ。そうではないか?」(ラインハルト)
「だが、ロイエンタールを討って、それでおれの心は安らぎをえるのだろうか」(ラインハルト)
「奴が頭をさげさえすればよいではないか。そうすれば、あえて奴を討つ必要はない」
「ロイエンタールのほうにこそ、この事態により大きな責任がある」(ラインハルト)
「おれに頭をさげるのが、それほど嫌か」(ラインハルト)
「ヤン・ウェンリーの後継者が」
「単に目前の混乱を利用しようとする小策士であるにすぎないなら」(ラインハルト)
「ロイエンタールに加担するであろうよ」
「いずれにしても奴ら自身が決めることだ」(ラインハルト)
「ミッターマイヤー、おれも卿と戦いたくはない」
「だが、あえておれは卿と戦う」(ロイエンタール)
「なぜかと問うか?」
「戦って卿を斃さぬかぎり、皇帝はおれと戦ってくださらぬだろうからだ」(ロイエンタール)
「おれは自分が何のためにこの世に生を亨けたか、長いことわからなかった」
「知恵なき身の悲しさだ。だが、いまにしてようやく得心がいく」(ロイエンタール)
「おれは皇帝と戦い、それによって充足感をえるために」
「生きてきたのではなかったのか、と」(ロイエンタール)
「疾風ウォルフの約束には、万金の値があるな」
「いや、だめだ、ミッターマイヤー」(ロイエンタール)
「卿の身は、おれの存在などと引きかえてよいものではない。卿はつねに正道をゆく」
「おれにはできぬことだ。おれにできることは…」(ロイエンタール)
「酔っているな、卿は」
「酒にではない、血の色をした夢に酔っている」(ミッターマイヤー)
「夢は醒める。さめた後どうなる?」
「卿は言ったな、皇帝と戦うことで充足感をえたいと」(ミッターマイヤー)
「では戦って勝った後、どうするのだ」
「皇帝がいなくなった後、どうやって卿は心の飢えを耕すつもりだ?」(ミッターマイヤー)
「夢かもしれんが、いずれにしてもおれの夢の話だ。卿の夢ではない」
「どうやら接点も見出しえないようだし、もう無益な長話はやめよう」(ロイエンタール)
「…さらばだ、ミッターマイヤー、おれが言うのはおかしいが、皇帝を頼む」
「これはおれの本心だ」(ロイエンタール)
「ロイエンタールの大ばか野郎!」(ミッターマイヤー)
「ロイエンタールの弱点は、信頼すべき副司令官が存在しないことにある」
「作戦を立案する点において問題などないが、それを実行できるかどうかだ」(ミッターマイヤー)
「移動も展開も、何という迅速さだ」
「だが、惜しいことに、陣容が薄い」(ロイエンタール)
「むりもない」
「ミッターマイヤーの快足に、凡人がついてこれるものではないからな」(ロイエンタール)
「前進、力戦、敢闘、奮励」
「突撃だ! ミッターマイヤーに朝食を摂る時間をつくってやろう」(フリッツ・ヨーゼフ・ビッテンフェルト)
「醜態を見せるな! 帝国軍どうし戦うのは、リップシュタット戦役で経験ずみではないか」
「いまさら何をうろたえる!?」(ビッテンフェルト)
「青二才に、用兵の何たるかを教えてやるとしようか」(ロイエンタール)
「現にしてやられつつあるところだ。完了形で言うのは早すぎる」
「この後に逆接の接続詞をつづけたいものだな」(ミッターマイヤー)
「ロイエンタールが完璧だとしても、部下どもはそうではない」
「そのあたりに活路が開けるだろう」(ミッターマイヤー)
「退くな! 退くなと言っておるだろうが!」
「退く奴は、かまわん、王虎(ケーニヒス・ティーゲル)の主砲で吹きとばしてやれ」(ビッテンフェルト)
「卑怯者として生きのびるより、はるかに武人の本懐だろうよ!」(ビッテンフェルト)
「ヤン・ウェンリーがいかに苦心したか、ようやくわかったような気がする」
「その真の偉大さもな」(ロイエンタール)
「一度失ったものを、もう一度失っても、べつに不自由はせんよ」(アウグスト・ザムエル・ワーレン)
「さて、これで悪運を切り離したぞ」
「恐れるべきものは、怯懦のみだ」(ワーレン)
「そうだな、なるべく早く頼むよ」
「腰が落ちついてしまうと、つい若い連中のやることに口を出したくなる」
「もう私の席はここにはないのにな」(ムライ)
「拒否するか、そうだろうな」
「何、私は君たちに条件を伝えるだけだ。交渉を成立させる責任はないのでね」(ムライ)
「じつは、ユリアン、君に謝罪しなくてはならんな」
「私は君が目前の利にとらわれて判断を誤るのではないか、と思ったのだ」(ムライ)
「だから、出しゃばりでも、制止せねばならんと考えたのだ」(ムライ)
「だが、私などの心配は無用だったな」
「君はやはりヤン提督の一番弟子だった」(ムライ)
「ユリアン、ひとつおれをムライ中将といっしょにハイネセンに行かせろよ」(シェーンコップ)
「主目的はそれだが、ついでにやっておきたいことがあるのでな」
「つまり、左手にロイエンタール元帥の首…」(シェーンコップ)
「そして右足の下に、ヨブ・トリューニヒトの首。右手に戦斧」
「この姿で記念写真を撮影して、ジャーナリズムに売りこんでやりたいのでね」(シェーンコップ)
「死ぬのがこわくて生きていられるか」(ポプラン)
「さすがに当代の名将だ。戦いつつ後退し、しかもまったく混乱がない」
「戦術の教科書にも、これほどみごとな例は載っていないだろう」(ワーレン)
第八章 剣に斃れ
「不幸な内戦は、いま唯一のささやかな幸福を吾々にもたらそうとしている」
「つまり、終結するのだ」(メックリンガー)
「終結がないよりまし、というていどのものではあるが…」(メックリンガー)
「こちらの要請に応じて通してくれるというのだ、通してもらうほうがいい」(メックリンガー)
「ありがたいことに、ヤン・ウェンリーは、もののわかった後継者を遺してくれたようだな」
「先方にはべつの思案があるだろうが、それは将来のこととしておいてよかろう」(メックリンガー)
「用心すれば雷神のハンマーが無力化できるのかね?」(メックリンガー)
「だとしたら、いくらでも用心するが」
「もはや吾々にはそのような権利はないのだ、と私は思っている…」(メックリンガー)
「いっそ帝国軍が撃ってこないものかな」
「そうすれば、雷神のハンマーで、やさしく頭をなでてやるのに」(アッテンボロー)
「贅沢は言わない、ちょっと花火見物をしたい」
「はでになったらそれでもいいけどな」(ポプラン)
「要するに敵も味方もセンチメンタリストの集まりだってことだな」
「イゼルローンは聖なる墓、か」(シェーンコップ)
「(展望は)そんなところです」
「でも、平坦な道だと思っているわけではありません」(ユリアン)
「いうなれば、宇宙はひとつの劇場だよ」(ヤン)
「騒ぐな、負傷したのはおれだ、卿ではない」(ロイエンタール)
「放っておけ」
「ここで生き残ったほうが、奴にはかえって不運だ」(ロイエンタール)
「皇帝も、ミッターマイヤーも、あのような輩を赦しておくものか」(ロイエンタール)
「手術は好きじゃないな」(ロイエンタール)
「いや、好き嫌い以上の問題だ、軍医」
「おれにはパジャマを着て病院のベッドで死ぬのは似あわない」
「そう思わんか?」(ロイエンタール)
「心配するな。それより、軍服とシャツの着がえを持ってきてくれ」
「自分の血の匂いというやつは、五分も嗅いでいると飽きるものでな」(ロイエンタール)
「どのみち、おれたちの人生録は、どのページをめくっても、血文字で書かれているのさ」
「いまさら人道主義の厚化粧をやっても、血の色は消せんよ」(ビッテンフェルト)
「思うに、ウルヴァシーで皇帝陛下に危害を加えようとした首謀者は」
「ロイエンタール元帥ではあるまい」(メックリンガー)
「第一に、彼の為人にそぐわぬ」
「第二に、彼の能力にふさわしくない」(メックリンガー)
「…ふたりの人間の野心を、同時代に共存させるには」
「どうやら銀河系は狭すぎるらしい…」(メックリンガー)
「裏ぎりによって勝つことなど、皇帝がお望みになると思うか!」
「…いや、そう思ったからこそ、卿はロイエンタール元帥を裏ぎったのだな」(メックリンガー)
「ねずみの知恵は、獅子の心を測ることはできぬ」
「卿もついに、獅子の友となりえぬ男だったか」(メックリンガー)
「ミュラーが旗艦を棄てて賞賛されたのは、激戦の渦中で指揮をつづけたからだ」(ロイエンタール)
「敗れて逃げる身が、旗艦までも棄てたとあっては」
「オスカー・フォン・ロイエンタールの名は臆病者の代名詞になるだろうよ」(ロイエンタール)
「そうか、案外、世のなかにはばかが多いな」(ロイエンタール)
「きさまが民主共和政治を愚弄しようと、国家を喰いつぶそうと、市民をたぶらかそうと」
「そんなことは、おれの関知するところではない。だが…」(ロイエンタール)
「だが、その穢らわしい舌で、皇帝の尊厳に汚物をなすりつけることは赦さん」(ロイエンタール)
「おれはきさまごときに侮辱されるような方におつかえしていたのではないし」
「背いたのでもない」(ロイエンタール)
「どこまでも不愉快な奴だったな」
「おれが生涯の最後に殺した人間が武器を持っていなかったとは…」(ロイエンタール)
「不名誉な所業を、おれにさせてくれたものだ」(ロイエンタール)
「じゃまをせんでほしいな」
「おれは死ぬのではなく、死んでいく」(ロイエンタール)
「その過程を、けっこう楽しんでいるところだ」
「おれの最後の楽しみをさまたげんでくれ」(ロイエンタール)
「もうすこしだけ待っているがいい。望みがかなう」
「どうせなら、おれも、女性の望みをかなえてやりたい」(ロイエンタール)
「古代の、えらそうな奴がえらそうに言ったことばがある」(ロイエンタール)
「死ぬにあたって、幼い子供を託しえるような友人を持つことがかなえば」
「人生最上の幸福だ、と…」(ロイエンタール)
「ウォルフガング・ミッターマイヤーに会って、その子の将来を頼むがいい」
「それがその子にとっては最良の人生を保障することになる」(ロイエンタール)
「遅いじゃないか、ミッターマイヤー…」
「卿が来るまで生きているつもりだったのに、まにあわないじゃないか」(ロイエンタール)
「疾風ウォルフなどという、たいそうなあだ名に恥ずかしいだろう…」(ロイエンタール)
第九章 終わりなき鎮魂曲
「表面的には互角に見えるかもしれないが、おれにはワーレンとビッテンフェルトがいた」
「ロイエンタールには誰もいなかった」(ミッターマイヤー)
「いずれが勝者の名に値するか、論議の余地もない」(ミッターマイヤー)
「キルヒアイス元帥も亡くなった。ロイエンタール元帥も」
「ヴァルハラへおもむいて、おふたりに挨拶する以外、もはや楽しみはない」(ハンス・エドアルド・ベルゲングリューン)
「皇帝陛下にお伝えしてくれ」
「忠臣名将をあいついで失われ、さぞご寂寥のことでしょう、と」
「つぎはミッターマイヤー元帥の番ですか、と」(ベルゲングリューン)
「功に報いるに罰をもってして、王朝の繁栄があるとお思いなら」
「これからもそうなさい、と」(ベルゲングリューン)
「あれを見たか。おれは一生、この光景を忘れられないだろう」
「疾風ウォルフが泣いているぜ…」(カール・エドワルド・バイエルライン)
「おれ自身が戦ってこそ、ロイエンタールを満足させてやれたのだろうか…」(ラインハルト)
「卿がこれまで犯罪容疑者をどのように遇してきたか、記憶があるとすれば」
「あまり強情をはらぬほうがよいとわかるだろう」(ケスラー)
「卿が独占してきた効果的な尋問法を、卿自身の上にためしてもよいのだぞ」(ケスラー)
「それにしても、私も口数が多くなったものだ」(オーベルシュタイン)
「卿は死ぬな。卿がいなくなれば、帝国全軍に」
「用兵の何たるかを身をもって教える者がいなくなる」(ラインハルト)
「予も貴重な戦友を失う」
「これは命令だ、死ぬなよ」(ラインハルト)
「ロイエンタール元帥のお子さんをミッターマイヤー元帥がお育てになるのですもの」
「どれほどの名将が誕生しますことか」(ヒルダ)
「あなたは帝国軍の至宝でいらっしゃいます」(ヒルダ)
「陛下のご身辺が寂しくなってまいりましたけども、どうぞ元帥には」
「今後もかわることなく、陛下をお守りいただけるよう、お願いします」(ヒルダ)
「私は、故人となったジークフリード・キルヒアイスにも」
「オスカー・フォン・ロイエンタールにも、遠くおよばず、才とぼしき身です」(ミッターマイヤー)
「たまたま生き残っただけで、過分の呼称をいただくのは心ぐるしいかぎりですが」
「お約束させていただきましょう」(ミッターマイヤー)
「彼らの分まで皇帝におつかえいたします」
「たとえ皇帝が何をなさろうとも、私の忠誠心は不変であることを誓約いたします」(ミッターマイヤー)
「風邪などひいたらたいへんです、陛下」
「お腹の子供にさわりますから」(ヒルダ)
「はい、陛下、お受けいたします」
「わたしでよければ…」(ヒルダ)
「フロイライン・マリーンドルフ、いえ、ヒルダさん」
「弟を好きになってくださって、ありがとうございます」(アンネローゼ・フォン・グリューネワルト)
「あなたのような方が、弟のそばにいてくださって、弟は幸福です」
「どうかラインハルトのことをよろしくお願いしますわね」(アンネローゼ)
「私の指揮で、何百万人という将兵が死んでいったよ」
「死にたくなんてなかったろうに」(ヤン)
「誰だって平和で豊かな人生を送りたかったろうに」
「私だってそうだったさ」(ヤン)
「惜しむべき人間が死なずにすむなら」
「戦争もそれほど悪いものじゃないかもしれないけどね…」(ヤン)
「あの人は、仲間うちのお祭り騒ぎをきらったことは一度もありませんでした」
「むしろあの人のために、にぎやかにやってくださるよう、お願いします」(フレデリカ)
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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